短編の部屋

メトシミウム

恋の問題

第一問 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。 (配点 15)


 ある日、たかし君は繁華街の通りで、Pkm。あゆみさんのことが気になったたかし君は、あゆみさんと点Pに見つからないように、こっそりと後をつけることにしました。なお、たかし君はあゆみさんのことが好きですが、自分ではそのことに気がついていないものとします。


「このあとどうする。カラオケでも行く?」

「うん」


 後をつけ始めてから5分後、あゆみさんと点Pはおもむろにカラオケ店に入ろうとしました。物陰に隠れているたかし君からは二人の表情は見えていませんが、雰囲気は悪くなさそうです。

 と、そのときでした。あゆみさんと点Pのいる地点を点A、たかし君のいる地点を点Bとした場合の直線AB上に、点Aから点Bの方向に向かって毎秒18メートルの速さで風が吹いたのでした。その勢いは凄まじく、さながら機嫌の悪い巨竜の鼻息のような乱暴さで、直線AB上にある喫茶店の看板をなぎ倒しました。


「たかし君……」

 看板の音に振り返ったあゆみさんは、物陰から身を乗り出しているたかし君を見つけました。

 たかし君は引きつった笑顔で、精一杯の挨拶をしました。

「や、やあ、あゆみちゃん。どうしたの、こんなところで。彼氏とデート?」

 あゆみさんは、ちらと、点Pの方へ目をやると、照れ笑いを浮かべてこう言いました。


「【A】」


 あゆみさんの言葉を聞いて、たかし君は自分の勘違いを恥ずかしく思いました。

 なんであゆみさんをつけてしまったのだろう。変に思われていないだろうか。顔は赤くなっていないだろうか。そもそも、なぜ自分はこんなにもあゆみさんのことが気になるのか。色々な想いが頭に沸いてきましたが、たかし君にはその原因がわかりませんでした。

 たかし君とあゆみさんはしばらくの間無言で見つめ合い、そしてどちらからともなく、ぷっ、と吹き出すと、お互いに大きな声で笑いました。

 二人の間にはさきほどとはうってかわって、穏やかな春の風が吹いていました。


(1)次の文章を読んで、空欄に入る言葉をそれぞれ次のア~エのうちから選びなさい。


 たかし君とあゆみさんの関係をXとする。その場合Xの取りうる範囲は【1】≦ X <【2】である。


(ア)友達

(イ)クラスメイト

(ウ)天敵

(エ)恋人


(2)冒頭の傍点部の時点で、たかし君、あゆみさん、点Pの三点を結んでできる関係のことをなんと呼ぶか。最も適当なものを次のア~エのうちから一つ選びなさい。


(ア)泥沼関係

(イ)師弟関係

(ウ)親子関係

(エ)三角関係


(3)【A】に入るあゆみさんの言葉として、最も適切なものを次のア~エのうちから一つ選びなさい。


(ア)違うわよ、これは私の法定代理人よ

(イ)違うわよ、これは私の専属料理人よ

(ウ)違うわよ、これは私のお兄ちゃんよ

(エ)違うわよ、これは私の遺産相続人よ

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