第2話 合掌
5~6歳頃の自分に戻ったようだった。
愛犬のマルがまだ生きていて……春だろうか……眩しくて温かくて、家の中の風通しもよかった。
※
母がニコニコ笑っていた。昼ご飯の時間らしい。
私はマルと遊び疲れ、母の膝の上に座ってご飯を食べていた。大好物の母のチャーハンだ。
※
母が慣れた手つきで私の口にスプーンでチャーハンを運んでくる。
マルは母の足下に座り、尻尾を振りながら穏やかな目で私を見ていた。
私は心から安心して、母の膝の上でチャーハンを咀嚼する。
~お昼ご飯にお母さんにマル、この時間がずっと続いたら良いのにな~
私はそう呟いた。
すると母は私の頭を優しく撫でてくれて、マルが私に向かって、言葉を話した
『 ずっと大事だよ 』
※
目が覚めた。
部屋は暗い。
35歳……母もマルも、もういない……
正座して、両手を合わせて拝んだ。
泣くのを堪えようとして失敗した。
しばらく拝んだ。
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