十和里山伝説「紡ぎの時計」第三十五幕 冬の嵐
十和里山伝説「紡ぎの時計」
作者:神崎 小太郎
第三十五幕 冬の嵐
※誤字脱字・構文など
>雪下ろしの雷とは、春になる前に雪を溶かすために神が怒った証拠だという。
⇒助詞「に」が三つありますね。時間の助詞「に」が「春に」と「なる前に」の二回、理由の助詞「に」が「溶かすために」の一回です。
で、助詞の重複は「機能が同じものはなるべく避ける」のが鉄則で、機能が違えば重複していても許容されます。そうなると時間の「春に」「なる前に」をどうにかしたいところです。
たとえば「春になる前、」と読点にしたり「春の前に」と助詞「の」にしたり。
ただし、「春になる」は時間経過の慣用句とも解釈できますから、意図的にリズムを出そうと「春になる前に」とするのは「あり」です。
それぞれ一長一短ございますので、著者様のご判断に委ねます。
>「薫……。」
⇒「薫……」ですね。句点があると原稿用紙の使い方も知らないのかとハネられかねませんので注意しましょう。
> 俺は野口さんの言葉に動揺して、信じられない気持ちで聞き返した。
⇒勇希くんの一人称視点なので、取り立てて「俺は」と書く必要はありませんが、韻律を整えたいのであればこれでかまいません。
それよりも「動揺して」と感情を説明してはなりません。同じことで「どぎまぎして」「うろたえて」も同様です。
「体の動作で感情を表現する」ようにしましょう。たとえば「野口さんの言葉に息が詰まり、」のようにですね。感情語をそのまま使うよりも、テンプレートや慣用句でいいので、「体の動作」で表現してみましょう。
>「分かれるって、どうしてですか?」
⇒「別れる」ですね。「分かれる」は別々になる・別々である意、「別れる」は人がわかれわかれになる、また恋人・夫婦の関係を断つ意です。
>「ああ、……。ひとつ忘れていた。沢渡さんには黙っていてくれと頼まれんだけど」
⇒「頼まれたんだけど」かなと。
> けれど、自分で身動きできない四面楚歌の状況下で、彼らが帰るのをただ手をこまねいて、このままずるずると待つことは我慢できない。
⇒注意喚起です。「手をこまぬく」が本来の読みで、「手をこまねく」は比較的新しい読みです。なので、用語用字としては「手をこまぬく」と書くべきなのですが、この作品は勇希くんの一人称視点です。つまり勇希くんが「手をこまねく」との表現が普通だと思っているのなら、「手をこまねく」でもかまいません。
ただし公募に出すのであれば、本来の読み方のほうが評価を落とさないと思います。
>そう叫びながら、薫の眠る病室で心静かに待つように制した。
⇒「制された。」ですね。叫んだのは野口さんなので、「待つように」言ったのも野口さん。であれば勇希くんの能動である「制した。」ではなく、勇希くんが受身の「制された。」であるべきです。
※寸評
勇希くんの懸ける思いがひたひたと伝わってきますね。
前半は勇希くんと薫さんの話、後半は勇希くんと野口さんの話。そこに小百合さんと根本さんのことがかぶさってくる構成です。
一見とっ散らかりそうですが、登場人物を片手で把握できる五人に抑えているのでそれほどわかりづらさもありません。
あとは感情を言葉でなく行動で見せていきましょう。
「手に汗をかく」「鼓動が早くなる」なら緊張しているとわかりますよね。感情語よりも慣用句のほうがましです。
感情語で直接書くよりも、効果が高いのです。
以上さえ気をつけてくだされば、今話は問題ありませんよ。
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