十和里山伝説「紡ぎの時計」第二十七幕 道すがら
十和里山伝説「紡ぎの時計」
作者:神崎 小太郎
第二十七幕 道すがら
※誤字脱字・構文など
> 小百合さんは約束の本は持っており、俺たちの宿も手配したから、心配しないでほしいと言ってくる。
⇒「小百合さんは」「約束の本は」と助詞「は」がふたつあります。範囲を絞る助詞「は」ですので、わからないでもないのですが、単純な構文を考えてみます。
「小百合さんは約束の本を持っており、」でもいいですし、係り受けとしては「約束の本は」「持っており」と「小百合さんは」「言ってくる」とに分けられると判断もできます。その場合は、以下のように移動させます。
> 約束の本は持っており、俺たちの宿も手配したから、心配しないでほしいと小百合さんは言ってきた。
⇒ここは「心配しないでほしい」の後に「と」があることでコトの文が切れていると判断できます。であれば「小百合さんは」は「と」の後に置くのが自然でわかりやすくなります。
> 彼女の電話がきてから、根本さんは顔色が明るくなってゆく。
⇒「明るくなった」で変化していますので、補助動詞「てゆく」でさらに継続を書くとチグハグになりますね。以下でもかまわないですね。
> 彼女の電話がきてから、根本さんは顔色が明るくなった。
> 一ノ関の駅を過ぎたあたりで、一面の田園風景となってくる。
⇒「一面が田園風景となった。」かなと思います。ここも補助動詞「てくる」が「継続してこちらに向かう」を意味しますので、場面の切り替えとしては若干文末がうるさい印象を受けます。シンプルに書くことを心がけましょう。
>農家の軒下には柿の実が吊るされており、白銀の世界にオレンジ色が映えていた。
⇒これはよい着眼ですね。モノトーンの世界になりそうなところで、他の色を出すことで生命が感じられるようになります。
> 空気は冷たく透き通っており、耳には渓流や氷瀑の音が鳴り響く。
⇒「氷瀑」は「凍りついた滝」のことなので、音は聞こえてこないかなと。
>この世界は淡い色彩の世界だ。
⇒「世界」が二回出てくるので単調に映ります。
「淡い色彩の世界だ。」「色彩の淡い世界だ。」「この世界は淡い色彩で満たされている。」のような書き換えをしてみましょう。
※寸評
雪が覆うモノトーンの世界に飛び込んだことがよくわかりますね。
指摘しましたがここに「干し柿」を出したことで、よりモノトーンが強調されています。
根本さんの表情の変化が見せどころのようです。
そわそわしていたり、明るくなったり、そうかと思うと泣いていたり。
主人公でない人間の感情を豊かに描いて、文章の赴きを変えていこうという作戦はよいと思います。
本来なら最も感情を揺さぶられるのは視点保有者である主人公であるべきなのですが、本作は勇希くんよりも根本さんのほうが感情豊かです。実作のようにそちらを冷静に観察する主人公の勇希くん、という立ち位置のほうが物語が映えますね。
あと、この幕は「第二十七幕」ななのですが、「第二十六幕」の間違いでしょうか。
書き終えましたら、次幕もご応募いただけたらと存じます。
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