十和里山伝説「紡ぎの時計」第二十五幕 おみくじ

十和里山伝説「紡ぎの時計」

作者:神崎 小太郎

第二十五幕 おみくじ





※誤字脱字・構文など

> ……歳月は、人の都合などに構わず、刻々と過ぎ去ってゆく。

⇒「過ぎ去る」「過ぎてゆく」のいずれかですね。

 おそらく「今まさに過ぎ去っている最中だ」というニュアンスを出したいのだと思いますが、「過ぎ去る」は「結果」の動詞なので「結果の最中だ」だと少し噛み合いませんよね。


> けれど、耳を澄ませば、どこからか箏と尺八による「春の海」の邦楽が聞こえてくる。正月らしい曲に癒されてしまう。

⇒補助動詞「てしまう」は「ついうっかりと」の意がありますので、ここは「癒される。」「癒された。」のように言い切ったほうがいいですね。


> 氏神さまへの沿道には所狭しとバラエティーな屋台が立ち並んで食べ歩きが楽しめる。

⇒多くは「バラエティーに富んだ」「バラエティー豊かな」ですね。バラエティーは「多様性」の意味ですが、それだけだと「どのくらい」という程度がわからないんですね。なので多くの場合は「バラエティーに富んだ」「バラエティー豊かな」と「選択肢が豊富にある」ことを表しているのです。


> 今年は珍しい物も見つけてしまう。

⇒ここも補助動詞「〜てしまう」ですね。単に「今年は珍しい物も見つけた。」でいいですね。


> 今朝、薫は我が家でおせち料理に箸を付けていたのに、手に持ちきれないほど抱えていた。

⇒「何を手に持ちきれないほど抱えていた。」のかですね。例示された「たこ焼き」「鶏のから揚げ」「リンゴ飴」「チョコレートバナナ」「電球ソーダ」「フライ麺」のうちどれなのかがわかりません。これらとは違うのかもしれない。全部なのかもしれない。そこがわからないと読み手は頭にハテナが浮かびます。


> 今日は薫の着物デビューの幕開けでもあった。

⇒「デビュー」は「初めてする」意、「幕開け」は「これから始まる」意なので、意味が若干かぶっています。

> 今日は薫の着物デビューでもあった。

⇒くらいのさらっとした説明が合っています。





※寸評

 なにげない正月のワンシーン。こういう平穏を挟むことで、物語がいったんリセットされます。それが前回から月日が経った風景として読めますね。

 多少文法等でミスはあるものの、全体的な流れはよいです。


 さらに変えたければ、ふたりがもう少し楽しんでいる姿があってもよかったかな、と。

 最後の「焼きそば」と「おみくじ」だけ詳細に書いていますので、もうひとつ詳しく書けたらよりバランスがとれます。例を挙げるときは「三つ」が最も安定するのです。これを「三例法」と言います。

 そのうえで最後に幕題である「おみくじ」で締めるときっちりとパズルのピースがハマりますよ。




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