十和里山伝説「紡ぎの時計」第二十三幕 家族崩壊
十和里山伝説「紡ぎの時計」
作者:神崎 小太郎
第二十三幕 家族崩壊
※誤字脱字・構文など
> 残念ながら、天気は南の島に台風が近づき下り坂である。
⇒係り受けが悪いですね。(1)「天気は」「下り坂である。」と(2)「南の島に台風が」「近づき」と、係り受け(1)が(2)を内包してしまっているんですね。解決するなら係り受けを内包捺せ無ければよいですね。
> 残念ながら、南の島に台風が近づき、天気は下り坂である。
>きっと、孫も初めての旅行に胸を躍らせると信じている。
> 一抹の不安が脳裏をよぎったが、僕は家内と一緒に自宅に残り、娘夫婦を送り出していた。
⇒ここは補助動詞がうるさいのですが、根本さんの口ぐせとして、あえて補助動詞を付けているようにも見受けられます。勇希くんのパートではこんなに補助動詞は多くなかったはずなので。そうであれば、とくに問題ありません。
もし意識せずに補助動詞が多くなった場合は、削れるものは削るといいですよ。
減らすなら下のようになります。
>きっと、孫も初めての旅行に胸を躍らせると信じている。
> 一抹の不安が脳裏をよぎったが、僕は家内と一緒に自宅に残り、娘夫婦を送り出した。
>時計の爆発音と同時に終わりを告げてゆく。それと同時に、僕と家内は絶望の淵に崩れ落ちていた。
⇒「終わりを告げた。」「僕と家内は絶望の淵に崩れ落ちた。」ここはあえて文末を「た。」で揃えたほうが印象が強くなります。
> 近くを走っていた運転手の話によれば、山道を走っていた彼らの車は、突然の夏の嵐による土砂崩れに巻き込まれていた。
⇒「土砂崩れに巻き込まれたという。」としないと「話によれば、」を受ける語がありません。
> 稲光が轟き、土石が降り注ぐ中、一台の車の前には山の斜面が崩落する。
⇒「土石が降り注ぐ」と大惨事ですね。たとえば「雨が滝のように降り注ぐ中、」とするとか。
「一台の車の前には山の斜面が崩落する。」は少しおかしな文です。
「一台の車の前には」「崩落する」だと変ですよね。
たとえば「一台の車の手前で山の斜面が崩落した。」と助詞を整えて過去形にして、そのときを写し取っていくのです。
>自然の神に怒り、恨むと同時に、命の尊さや儚さを感じて、涙が止まらなくなってしまう。
⇒ここは「涙が止まらなくなった。」でいいですね。ここも根本さんの口調だと客観性がなくなります。事実を伝えるのでなく、根本さんの胸中を伝えたい、というのであれば原文ママでもかまいません。
>良心の呵責を苛まれながらも、女性と一夜を共にしている。
⇒「良心の呵責に苛まれる」が慣用句なので、助詞は「に」ですね。
>そこで、儚くも悲しいメッセージを見つけてゆく。
⇒「メッセージを見つけた。」でいいですね。ここに補助動詞「てゆく」を付けるとニュアンスがおかしくなります。
> いくら自問自答を繰り返しても、彼女からは返事は戻ってこない。
⇒ここは「彼女から返事は戻ってこない。」でいいですね。助詞「からは」は「から」でも「は」でもないのですが、「からは」にすると「は」の範囲指定がさらに狭まってしまうので、ここは「から」が正解です。
※寸評
優奈ちゃん一家と過去の早川由紀子さんとの奇妙な一致。
それは本当に偶然だったのか。
読み手に謎を提示していてうまいですね。
前半の優奈ちゃん一家の顛末に涙し、後半の由紀子さんもたしかそんな顛末だったと気づく。
根本さん夫婦は優奈ちゃん一家を失ってしまった。それは小さなエゴが生んだ奇跡が、小さなエゴのために崩壊してしまったのでしょうか。
そして同じ言葉を残した由紀子さんも、やはり小さなエゴによる犠牲者なのかもしれない。
そう根本さんが思うに至ったことからなにかが変わっていくのかもしれませんね。
謎をうまく表現できていますね。
補助動詞が多いことは、もしかすると根本さんの口ぐせとして意図的かもしれませんので、その場合は直さなくて結構です。
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