【冒頭】例えばバナナで独裁者の影武者を作る方法。

例えばバナナで独裁者の影武者を作る方法。

作者 誰か様

https://kakuyomu.jp/works/16817330658111644571

ep.1 イヤイヤだけど仕方ない

https://kakuyomu.jp/works/16817330658111644571/episodes/16817330658112502646




寸評


 まず「テキスト」とはなにか、から物語がスタートします。


 そして「クラーケン」が出て、オカルトやファンタジーの類かなと思わせます。


>「他にはこのバナナの挿絵。このバナナはおおよそ8割、人間の身体を生成する遺伝子と共通のものを持っているものの糖質が多く、多用すると高血圧の人体が生成されやすいので注意だとか、」

 ここで表題の「バナナ」を回収しつつ、人体を構成する遺伝子が出てきて「もしかして」と思わせます。


>「この教科書は他に、数百年に渡る人体生成の歴史が描かれていたりだとか、人体を生成する上での成分表が付録についていたりだとか、何から何まで丁寧な作りをしている。」

 で「人体生成」のお話だとわかります。


 ここまで順調に読み手の興味を引っ張っていますね。ここまで来れば錬金術、人体生成に興味を持った読み手を掴めます。


>「やっぱさー、ヒマリって何処か女の子らしからぬところあるよねー」

 ここにきて主人公の名前と性別がわかります。可能であればタグに「女主人公」タグが欲しいところですね。もし入れる余裕がなければ、もう少し早めに女の子が主人公だとわかると、読み手をさらに引き込めるはずです。


>「そうそう、やっぱりレディたるもの。紳士なホムンクルスを作りたいに決まってるでしょ!」

 「ホムンクルス」で錬金術の人体生成もので確定しましたね。

 これから始まるのが「ホムンクルス」にかかわる少女たちの物語だと宣言していますね。このくらいまとまっていれば、「ホムンクルス」でピンと来た方の注目は集められますね。


> 少しマセガキ気質のある、この子の名前はリン。

 かまってきた少女の名前も判明。ここでリンの設定を書いて主人公ヒマリとの距離感を書いていく。


>「明日は学校お休みじゃん。だから、人体生成の材料を森に探しに行こうよ! 先生も持ってきていいって言ってたし!」

 これからの物語の展開を付け加えて、次話への期待を高めていますね。


> 人体生成師は免許がなきゃ魔物の素材を買うことができない。

 重要かつ必要な情報ですね。


>「確かにね、ワタシ達二人の力を合わせたところで、ヒマリの戦闘力は0.5、ワタシの戦闘力は1だから、2.5。これじゃ、敵わない。そこで、一人助っ人を連れてこよう! 戦闘技科から! 一緒に戦って倒して素材を手に入れられればいいじゃん!」

 ちなみに 0.5 + 1 = 1.5 ですが、あえて 2.5 なのでしょうか?


>「なんだか、法律の抜け道を行こうとしている気分……つまり、最初からタダ働きさせるつもりでいるってこと?」

>「うん、そのつもり!」

 リンのちゃっかりしている性格を表現していますね。


> どうか明日になってだーれも見つからなかったから、結局中止になんないかな。

 ヒマリは乗り気でないのがわかります。


 ◇◇◇


 ここまでだと、物語がひじょうに狭く感じられます。

 いちおうこの後で森に行くようなのですが、主に学校内で物語が完結しそうな、狭い舞台に映ります。もったいないですね。

 もっと大きな舞台で物語が繰り広げられるのなら、たとえばこの世界について触れておくと「世界を股にかける大冒険」のような話になります。

 今のままだと学校、自宅、隣のリン宅、森しかありませんので、狭いのですね。


 この狭い話だと物語の広がりが今ひとつ感じられないので、「錬金術」「ホムンクルス」に釣られた読み手がこの先も読んでくれるかが怪しくなります。


 たとえ狭い世界の物語だろうと、第一話なら世界は広く見せたほうがよいですね。

 クラーケンの話が出ていましたから、「海の底に棲むクラーケン」のように書けば、物語世界に「海の底」が加わって世界がそのぶん広くなります。

 ラストに「小鳥」が出てくるのも、「小鳥が空へ向かってさえずっていた。」のなら物語世界に「空」が加わってやはり世界がそのぶん広くなります。


 こうやって物語の世界を広げていくと、読み手も「この作品は海や空でなにかあるのかもしれない」と思って継続して読んでみようと思ってくれます。

 結果として海の底や空に行かなくても、第一話ではできるかぎり「可能性」を広げておくべきです。

 それが読み手を捕まえる第一話には欠かせません。


 読み手は「可能性」という期待があるから、読み進めようとするのです。

 そして先のわからない物語でも「可能性」を感じながら読むことになります。

 ある程度読んでしまえば、いきなり中断する人もいますが、四半数は継続して読んでくれます。

 ですので、第一話は「世界を広くする」ように意識してみてくださいませ。


 以上で今回の冒頭添削を終わります。




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