十和里山伝説「紡ぎの時計」第九幕 元カノの存在

十和里山伝説「紡ぎの時計」

作者:神崎 小太郎

第九幕 元カノの存在





※誤字脱字・構文など

> ツインレイの店内の壁には郷愁を誘われる壁掛け時計も掛げられている。

⇒「掛けられている。」ですね。


>彼女は遠野物語の研究家であり、郷土史編さんの学芸員でもあったらしい。

⇒「編纂」の「さん」の字は難しいですが、「郷土史編纂」を「編さん」と書くと「郷土史編」さんという人のようにも受け取れます。新聞のように基本的にルビを振れない媒体であれば「編さん」と交ぜ書きしてもよいのですが、小説ですしこれまでルビを振ってきていますので、ここを交ぜ書きにする必要はないと思います。「へんさん」とルビを振って書いても問題ありません。


> 根本さんは訝し気に笑った。

⇒「訝しげ」は「不審がる様子。疑わしそう。」のことなので、根本さんが「なにかを不審がりながら笑った、誰かを疑わしそうに笑った』かのように読めます。おそらく「根本さんは笑っているが、(どうにも)訝しい。」のように「訝しい」と感じたのが視点保有者の勇希くんであることを表しましょう。


>「なら、いいだけどね。ひとつずつ、順を追って話そうや。さっき、時計の成り立ちのやり取りをしていただろう」

⇒「なら、いいんだけどね。」かなと。


>せっかくだから、僕が小説の内容が必ずしも虚構とは思えなくなった理由も話してあげよう。

⇒主語を指す格助詞「が」がふたつあるので意味が取りづらくなっています。

 ただ、この構文での適切な置き換えがなかなか見つかりません。もっとも手っ取り早いのは読点を打って「僕が、小説の内容が〜」とする方法です。

 ちょっと考えましたが、「僕が小説の内容を必ずしも虚構とは思えなくなった理由も話してあげよう。」と格助詞「を」にするとすっきりと解決しそうです。


>それは、時計の針でした。

⇒ここも丁寧語の「でした。」ですね。意図的に交ぜ書きしているのかな?





寸評

 いよいよ「命をつむぐ時計」の話に移りましたね。

 小説の中に小説を出すのはとても難しいんです。

 「虚構の中のリアリティー」を二段階で書き分けないといけませんからね。

 本作はそこをうまく書いていて、文章を読み上げるのではなく、内容を語っている体裁をとっています。

 この仕組みで違和感なく「小説内の小説」をうまく演出できています。

 小説の作者と根本さんの関係の意外さも、この話のスパイスとになっていますね。




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