平安の世、陰陽師と姫君 2

陰陽師の呪縛 〜男を必ず落とす超モテ女の秘密〜

作者 雨 杜和

第一部 平安時代「深草の女房日記」前編

平安の世、陰陽師と姫君 2

https://kakuyomu.jp/works/16816452219750143893/episodes/16817330647878291114




※誤字脱字・構文など

> そろいもそろって権力を欲することに一寸の恥もなく、どん欲な藤原家一族。

⇒通常は「藤原一族」ですね。グーグル検索で確認しましたが、「藤原家」とすることもありますが、「藤原家一族」とは言わないようです。


> 時が流れ、女房の心配は姫が花が開くように成長した頃には、杞憂となった。予想以上に姫は美しく育った。美しいだけでなく聡い。

⇒この内容「姫が美しく聡い」こと自体は第一話前半に書かれています。重ねて書くことで読み手に刷り込もうという判断であれば問題ありません。

 序章から連続して読んでくると、同じことに二度触れているのでちょっと単調さを感じてしまうことがあります。

 このあたりは二次選考において問題にならないだろうと思いますので、あまり深く考えないでください。

 重ねて書くことに意味があるのなら、選考さんがどう判断するかでなく、書くべきなのです。


> 姫は美女として条件をすべて兼ね備えていた。

⇒「美女としての条件を」ですね。

 グーグル検索で「平安美人」を調べると、次のものが出てきました。

平安時代の美人にはこのような特徴があったといわれています。

・切れ長の細い目

・きめの細かい色白の肌

・ふっくらした頬(おたふく顔)

・サラサラしたツヤのある長い黒髪

・体型もふくよか

・大きな顔

・鼻筋が通った小さな鼻

・おしとやかな口(おちょぼ口)

 ここから察するに、「姫」は「ふっくらした頬」「体型もふくよか」「大きな顔」については反していると思います。

 まあ「細い腰」はあっても、「ふっくらした頬」「大きな顔」については言及がないので、ここはどうにでもなるかなと。千年も生きてきたら顔立ちも変わってくるでしょうからね。

 でも序章でモチが語った内容を考えると、同一人物に見えるわけですから、平安美人ではなかった可能性もありますよね。現代の美人枠で説明できる容姿だったかもしれません。どうせ顔や体型などは御簾で相手には見えないのですから。

 「姫」の武器は美貌よりも「声」にあったはずですから、顔の美しさを云々するより「声」の神々しさを出してもいいのかな、思わなくもありません。


> 女房は上目使いに兼家を伺い、それから、賀茂光栄への姫の想いを、それとなく伝えたほうが良いかと、おずおずと口にのせた。

>〜(中略)〜

>「賀茂光栄殿は、いかがかと……、す、少し年は離れておりますが」と、言葉を濁して兼家を伺った。

⇒「兼家を窺い、」「兼家を窺った。」ですね。「伺い」は訪問する、尋ねる・聞く意。「窺う」は様子を見る意です。


> そう言うと廊下で平伏する女房を置き去りして、兼家は去った。完全に足音が消えてから、ほっとして立ち上がる。

⇒前文は「兼家」が主体。後文は「女房」が主体です。しかし後文には主体を表す格助詞「は」がないため、一見すると「完全に足音が消えてから、兼家はほっとして立ち上がる。」ように読めてしまいます。

 また前文は「置き去りして、兼家は去った。」とあり、「去る」の字が近いですね。

 この二点を解消してみます。

> そう言うと廊下で平伏する女房を置いて、兼家は去っていく。完全に足音が消えてから、女房はほっとして立ち上がる。

⇒「去っていく。」としたのは、続く文が「完全に足音が消えてから、」とまだ足音が消えていない状態で始まるためです。


> 彼は加茂姓を名乗ってはいるが、実際には血のつながりはない。

⇒「賀茂姓を」ですね。


> 姫は何も答えず筆を持ち、しばらく考え、それから返歌を記した。

⇒「返歌をしたためた。」のほうが文章を考えながら書いているように感じられます。「記す」はメモのような書き方です。

 日記は記すもので、和歌は詠むものです。ただ「詠む」だけだとその場で声に出しているように感じられるため、紙に書いていくのなら「したためる」が適切でしょう。




※寸評

 「姫」と賀茂光栄との関係が強化され、法光の存在もきちんと説明されていますね。

 前は単に姫の様子がつらつらと書かれていて、その末に「法光の文を見つけて返歌をしたためる」というだけでしたから。

 情報量が格段に増しており、終盤まで縁のある賀茂光栄、法光との因縁を感じさせるだけの文章になっています。

 ただ、情報量を増やしすぎると選考さんに訴えかけるものが散らばりやすいので、ここは賀茂光栄、法光との関係を強調しておくとよいでしょう。


 今のままだと兼家が女房と「姫」の話題で語り合うシーンがちょっと弱い。まあ「賀茂光栄はどうか」と女房が切り出したので、ここに兼家がいることの必然性は担保できています。

>「悪くはないな」

 という兼家の返事は「悪くはないが釣り合いがとれないのではないか」なのか「姫との釣り合いを考えれば程よいところだろう」なのかがわかりづらいですね。

 曖昧にしておくのも叙述ミステリーのように謎を作れるのですが、とくにミステリーを意識していないのであれば、「うむ、悪くはないな」は程よいところ、「さて、悪くはないな」は釣り合いがとれない、というように、一語付け加えて兼家はどちらだと思っているのかをさりげなく読み手に匂わせるようにしてください。



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