Arthur1 学園都市アーサー

アーサーオブナイト 学園都市に眠る生命の泉

作者 サファイア

chapter1 聖石(ルリック)によって繁栄した世界

Arthur1 学園都市アーサー

https://kakuyomu.jp/works/16816452219451956549/episodes/16817139555932753069




※誤字脱字・構文など

> 不思議な鉱石である聖石によって繁栄している世界。人々はそれを使って戦う騎士に守られながら平和に暮らしてた。

⇒まず書き出しですが、物語の方向性がここだけであらかた決まってしまいます。

 この2文を読んだ人が、この物語になにを期待するのか。それを考えてみましょう。

 まず「聖石」というものが存在し、「聖石」を用いて戦う騎士がいる世界。

 10万字の物語として書くには大きすぎるような気がします。

 また語り手視点の説明文なので、人物に感情移入しづらいですね。

 このあとの展開次第ですが、主人公が決まっているのなら「主人公からスタート」してもよいところです。10万字で終わらせる予定があるのなら、ですが。

 30万字くらいかけたい物語であれば、この書き出しでも納得できるのですが。

(1)> 南西にある平民寮のオンボロ部屋で、学園のジャージを着た少年が物理の勉強に励んでいた。

⇒ここからスタートすると10万字できちんと決着がつく物語にしやすいですね。すぐに人物も出てくるので感情移入がしやすい。ちなみに読み手がわかりやすい語順に入れ替えてあります。

 また、ここまでに書いてあることは説明であり、第一話の中に差し込んでおけば問題ないので、説明を文頭に持ってくるのはオススメできません。

⇒あと「平和に暮らしてた。」とありますが、語り手視点の場合「ら抜き言葉」「い抜き言葉」「さ入れ言葉」は避けましょう。選考さんのウケが悪いですし、読者選考であっても印象が悪くなりますので。


> 東京湾に面している東西南北五キロの面積を持つ人工島兼学園都市ラウンズ。

⇒「東西南北五キロの面積を持つ」がおかしいですね。東西南北にそれぞれ五キロある、つまり東西で十キロ、南北で十キロあるのでしょうか? その場合「百平方キロメートルの面積を持つ」ことになります。それとも東西に五キロ、南北に五キロでしょうか? その場合「二十五平方キロメートルの面積を持つ」ことになります。

 もし「二十五平方キロメートルの面積を持つ」ほうであれば「五キロ四方の面積を持つ」とは書けます。同じく「百平方キロメートルの面積を持つ」ほうであれば「十キロ四方の面積を持つ」とも書けます。

 どちらなのかが判然としない書き方なので、明確にイメージして書いてみてください。


>「そもそも、差別する制度が悪いんだ。それさえ、無ければ」

⇒唐突に話すにしては大きすぎる話題です。これは短編や中編であればよいのですが、10万字の長編小説にするのであればあまりにも唐突ですね。

 短編や中編は文字数が限られるので、強引な展開をしなければ物語を書ききれないので唐突にこういう話が出てきても仕方がありません。

 今回の場合は、この前までの展開をいきなりぶった切って入っているので、唐突感がひじょうに強く出てしまっています。

 たとえば、書き出しのところで省いた文をこの前に移植して説明を付加しておくと、多少は唐突感が薄れます。


> 上から順に財閥、上流、中流、下流、平民の五つに分かれている。

> 上から二つまでは、質の高い授業や充実した寮の設備などといった好待遇を受けれる。しかし、中流以下はレベルの低い授業や欠陥だらけの寮に住むなどの冷遇を受ける。

⇒「ら抜き言葉」です。「受けられる。」ですね。

 また「上から二つまでは」ではわかりづらいですね。「上から順に」という文を分解して、「上から二つまで」「中流以下」に割り振るとよりわかりやすくなります。

> 財閥と上流階級は、質の高い授業や充実した寮の設備など待遇がよい。しかし、中流、下流、平民階級はレベルの低い授業や欠陥だらけの寮に住むなど冷遇される。


>そもそもランクを決めるのは、生まれた家系だ。

⇒であれば、受験するときからランクが決まっているのですから、「他の学校へ行く」という当たり前の選択をなぜできなかったのでしょうか。


>小さい頃から孤児院にてごはん大盛で食べていたので、ツケが回ったのだ。

⇒孤児院だとごはんを大盛りでは食べられませんね。孤児は皆与えられた食事量で我慢するしかないのです。それにただ暮らすだけでなく、掃除や洗濯や勉強それに運動はある程度強制されます。生活するにもしっかりとした時間割があるのです。ちなみに私は養護施設育ちなので、このあたりの事情には詳しいです。


> 一呼吸をしたあと、気分転換をするため部屋から出る。

⇒「一呼吸したあと、気分転換のために外へ出た。」ですね。

 こうすると少し先の文で「外に出ると、」と書く必要がなくなります。


>ここの寮では、塀に囲まれた古びた二階建てのアパートが立ち並んでいた。

⇒「ここの寮では、」は要りませんね。ただ寮がどのようなものなのかを明示したいのであれば、

>塀に囲まれた古びた二階建てのアパートの寮が立ち並んでいた。

 とすればよいのです。


>財閥と上流には生徒として見るが、それ以外は生ごみを見るような目で、人間扱いをしてくれない。

⇒「財閥と上流は生徒として接するが、それ以外は生ごみのような扱いだ。」くらい踏み込んで書くべきですね。


> 中山は彼の視線の先を見ると、北東には目もあやな外観を持つ財閥専用の寮である十階建てのマンションが見える。

⇒この文は同じ情報の羅列になっています。「中山は」「彼の」は中山くんを追って書いているので書く必要はありません。「視線の」「見ると」「見える」はすべて「視覚」に関することです。

 これをすっきりさせると、

> 視線の先には、目もあやな外観を誇る財閥専用寮の十階建てマンションが北東区画にそびえ立つ。

 ここまでシンプルにできます。


>生徒が手から火の魔術を使って中央で集めた生ごみを燃やしており、黒煙が塀を軽く超えている。

⇒「手から火の魔術を使って」だと情景がわかりづらいですね。

>右手を突き出した生徒が魔術で炎を操って、広場の中央に集められた生ごみを燃やしており、黒煙が塀を越えている。

 くらいの情報量が欲しいところです。


> このままでは、財閥と上流の生徒や先生に見つかれば大変なことになるため、彼は手による水の魔術で消火していく。

⇒「このままでは、」「見つかれば」は同じようなことを言っているので前者を削ります。またここでの「彼」は誰なのかがわかりません。三人称の語り手視点だということを忘れないでください。

> 財閥や上流の生徒や先生に見つかれば大変なことになる。中山は右手をかざして魔術によって現出した水で消火していく。


> 途中で生ごみを片付けていた三年生や他の生徒による水の魔術の応援のおかげで、十分で消火が終了した。

⇒ちょっと言い回しが説明に過ぎますね。もう少しシンプルな文を心がけましょう。

> 生ごみを片付けていた他の生徒が応援に駆けつけたおかげで、十分で消火できた。


>「どうして、こんなことをしたのだ?」

>「当たり前だろう! クソ教師共が改善してくれないから、燃やしているのだよ!」

>「確かにそうだが、だからといって燃やすのはルール違反だ。聖石選別の儀でルールを聞いていないのかい」

⇒「したのだ?」「のだよ!」「のかい」はいずれも説明くさいセリフ回しです。

 もう少し年齢相応のしゃべり方をさせましょう。また彼らは待遇が悪いのですから、ただの年齢相応よりも悪ぶっていておかしくありません。

>「どうして、こんなことをした!」

>「当たり前だろう! クソ教師共がいっこうに改善してくれないから、自分で燃やしているんだ!」

>「だからといって燃やすのはルール違反だ! 聖石選別の儀でルールを聞いていないのか?」


>今の彼らの魔術はそれを使用して発動したもの。

⇒「今の」は要りませんね。

>彼らの魔術はそれを使用して発動したものだ。


>「あぁ、知っているよ。校則の一つで『正当防衛、授業、訓練以外は使用してはいけない』というルールは。けどな、こんな人間以下扱いを受ける俺達にとっては守っていけるか。分かるだろう」

⇒「校則」は「ルール」なので意味が重複しています。「人間以下扱い」は「人間以下の扱い」ですね。あとは口調を調整します。

>「あぁ、知っているよ。『正当防衛、授業、訓練以外では使用してはいけない』というルールくらい。けどな、こんな人間以下の扱いを受ける俺達に守っていけるか、分かるだろう」


>「もちろんさ。けど、ルールを破ったら退学だ。今から遅くない、みんなで」

>「おやおや、なにが『今から遅くない』んだぁ?」

⇒「今からでも遅く(は)ない」ですね。


> 声のした入口方面を見ると、茶色のスーツを着た学園長のジェイ・マーカスがいた。彼の背後には数人の教師が中山達を睨みつけていた。彼は場に緊張が走るのを感じ取る。

⇒「声のした入り口方面を見ると、」は「声のしたほうを見ると、」のほうがすっきりします。また「彼」が二回出てきますが、指している人物が異なるため、一読で理解するのに難儀します。

> 声のしたほうを見ると、茶色いスーツを着た学園長のジェイ・マーカスがいた。背後では数人の教師が睨みつけている。中山は場に緊張が走るのを感じ取った。


> 言ってる途中に背後にいた教師の一人が彼に向けて、火の玉を放った。

⇒「背後にいた」はすでに述べているので書く必要はありません。「彼」も誰なのかわかりづらいのでしっかりと「中山」または「隆」と書きましょう。「彼に向けて、火の玉を放った。」だと状況が緩いので、「火の玉を撃ち込んできた。」で狙い撃ちにしていることを表現します。

> 言っている途中で教師の一人が火の玉を撃ち込んできた。


>「嘘をいけないぞ、豚の中山。俺らはな、将来有望の財閥と上流の生徒からの報告があって来たんだ。まったく、存在価値の無いお前らは、どうして嘘や舐めた態度をするのだろうな? それとも、ミジンコ以下の脳みそしかないのか?」

⇒「嘘はいけないぞ」ですね。ここを読んでもそうなのですが、こんな扱いをされるくらいなら学校を辞めたほうがよくありませんか? なぜこんな扱いを受けているのに学校に留まっているのか。そこを掘り下げて説明しましょう。


> 学園長と他の教師は嘲笑した。

⇒「学園長と教師達は嘲笑した。」でよいでしょう。


>学園長達なら、やるかもしれないからだ。

⇒「学園長達ならやりかねない。」でよいでしょう。


>「申し訳ありません。学園長、お願いしたいことがあります。学園内では新参者ですの私ですが、生ごみや燃えないごみは前回の回収から三ヵ月と聞いております。ですので、財閥と上流と同じようにしてくれませんか?」

⇒「学園内では新参者の私ですが、」ですかね。あと目上に対して「くれませんか?」では横柄な物言いです。「同じようにしていただけませんか?」と敬語を使うべきではないでしょうか。


> 中山が頭を下げると、学園長と教師は鼻で笑った後、立ち去っていた。

⇒教師は複数なので「教師達は」ですね。




※寸評

 以前の話でも気にはなっていたのですが、なぜ階級の低い人がその立場に甘んじてこの学園で暮らしているのでしょうか?

 そもそも生まれた家系でランクが選別されるというのなら、受験前に処遇はわかりますよね?

 仮に入学するまで知らされないのだとしても、奴隷扱いされるのがわかっているのなら、普通転校しませんか?

「どういう人たちは必ずアーサーに通わなければならない」という法律があるのなら逃げられませんので奴隷扱いされても仕方がないかもしれない。ですが、そういう法律がないのであれば、転校して然るべきです。

 それなのに退学を危ぶんでいるところを見ると、平民階級であってもアーサーへ通っていることでなにか社会的なメリットがあるのでしょうか?


「なぜ中山隆くんや他の生徒は平民階級で奴隷扱いされているのに、それでもアーサーへ通わなければならないのか」


 この説明に説得力がなければ、その先は読まれないと思ってください。

 学校へ通うにしても進学前に家系でどの階級に配属されるかわかるはずですから、アーサーなんてほとんどの人は受験しないのではありませんか?

 納得のいく説明があれば、「成り上がり」ものとして読まれると思うのですが。

 そこをもう少し掘り下げてみましょう。



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