08
臨海22世紀
作者 長宗我部 芳親
夢見るガイノイド編
08
構文と誤字脱字など
>その目が行く先では、人体解剖に没頭するシナプスロードの姿がある。
⇒「その視線の先には、」「その目線が向かう先には、」のほうがよいですね。
> 麻酔なし、激痛で暴れる男を心底愉快そうに見つめながら、作業の手を休めない彼にはどうも彼女のことなど眼中にないらしい。
⇒「彼には」「眼中にないらしい」とつなげると少しおかしいことに気づくはずです。
ここは「彼の目には」「入らない(映らない)らしい」だと収まりが良いですよね。
>「作業の手を休めない彼の目にはどうも彼女のことなど入らない(映らない)らしい。」
>「せいぜい死んでも構いませんが、それじゃあ」
⇒ここで「せいぜい」は使いにくいかなと。意味合いは2つあります。
1つが「多く見積もっても。たかだか。最大限。」です。
しかし「たかだか死んでも構いませんが、」だと少しおかしいですよね。
もう1つが「一心に努力して。力の及ぶ限り。できるだけ。」
こちらだと「できるだけ死んでも構いませんが、」となり、やはりちょっとおかしいですね。
この食い違いを起こしているのは「構いませんが」なんです。
たとえば「せいぜい死なない程度にしてくださいね。」と書けば、二つめの「できるだけ」に引っかかります。「できるだけ死なない程度にしてくださいね」で通じますので。
副詞は要求する品詞がある程度決まっているものがあるので、注意しましょう。
> 輪郭でさえもあやふやだが、それが獣の型をしていること、そして至るところに翡翠色のクリスタルが埋め込まれていることだけは見て取れた。
⇒「翡翠色のクリスタル」は「輪郭もあやふやな獣の型をしているもの」に埋め込まれている、ということでよいのでしょうか。確認です。
> そんな夜空を見上げながら、ベットに絵本を山積みにし、星空で室内に灯った光を頼りに読むのが、セーラきってのお気に入りの夜の過ごし方だ。
⇒「きっての」は「(複数の)〜の中で一番の〜」という連語なので単数である「セーラ」に付けるのは誤りです。たとえば「アンドロイドきっての早撃ちの名手」なら「(複数の)アンドロイドの中で一番の早撃ちの名手」ということになります。
> ベットの上に仰向けになり、セーラと一緒に天井に映し出された無数の星々を眺めていたミオンは、ふと思い出したかのように話題を振ってきた。
⇒「話題を振ってきた。」のように「〜きた」と書くと「動作が向かってくる」ことになります。つまり語り手のほうへ向かう動作になるのです。この場合語り手に向かうとなると、語り手がセーラになってしまいます。三人称一元視点であればそれでもよいのですが、これまでがミオンの三人称一元視点だったので、この視点の変更が意図的かどうか、確認させてください。
>「今度ね、リブオス誕生20周年を記念して、お祝い行事があるんだって。都市の外に夜光虫って青く光るプランクトンが大量に放されるらしいよ。都市の明かりを一斉に消して、そのヤコウチュウが放つ光だけで照らされた空を眺めるんだって」
⇒「夜光虫」を漢字で書くのかカタカナで書くのか統一したほうがよいですね。おそらく「夜光虫が放つ光」で「光」の字が重複すると考えたのかもしれませんね。「夜光虫」はとくに固有名詞なので仮にここに「光」が入っていても重複にはカウントしません。
>そのガラスランプには、ネコを模したものだったり、ハートを模したものだったりど、様々な形があるのだという。
⇒「ハートを模したものだったりと、」ですね。
> そのことをミオンが告げると、いかにも待ちきれないといった表情でセーラは期待の鼻息を漏らした。
⇒「告げる」は動作主が相手に向かって話す行為なので、ここは語り手が「ミオン」ということになります。「セーラ」が語り手なら「ミオンから告げられると、」「ミオンから聞くと、」のようになります。ここを見ていると、語り手は「ミオン」なのではないかと考えられます。
> 若きにして各海底都市を行脚する天才プログラマー。
⇒ここは「若くして」と現代語で書いたほうがよいでしょう。
※構成と展開について
今回は語り手が揺れているところがありますね。セーラだったりミオンだったり。できればひとつの投稿の中では語り手を統一したいところです。
最低でも段によって切り替えましょう。
あまり頻繁に語り手を切り替えると、読み手が映像を浮かべるのが難しくなります。
構成としては「次なる戦い」に向けてのインターミッションであり、ここでの情報が「夢見るガイノイド編」内で役立つといいのですが。
ある程度は後ろに残してもよいのですが、できれば章の始まりで出た情報は章内で完結すると読み手の満足度も高まります。
そのうえでひとつふたつ後に残すのがうまいやり方です。
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