05

臨海22世紀

作者 長宗我部 芳親


海中退治譚編

05



構文と誤字脱字など

> 二人ががスイッチを一斉に押すと、その筒から薄紫色のフラッシュが照射された。

⇒「二人がスイッチを」ですね。あと「一斉に押すと」とありますが、ふたりに「一斉」を合わせるのは横行ですね。ふたりなら「同時に押すと」くらいでいいと思います。

 ただ、この「滅苔灯」には複数(三つ以上)のスイッチがあって、ふたりで同時にすべてのボタンを押した、という場合は、「スイッチを一斉に押すと」でもあながち間違いではありません。ですがその場合は「二人が三つのスイッチを一斉に押すと、」と書くべきですね。このあたりが説明不足になっている可能性があります。



> 宇宙苔には上位種や下位種といった地位が存在していて、それが低くなっていけばいくほど滅苔灯に対する耐性が弱まっていく性質がある。

⇒だいたいが「上位種や下位種といった階層が存在していて、」なのですが、作者様の表現としてあえて「地位」という単語を用いているのであれば問題はありません。

 「低くなっていけばいくほど」で補助動詞「いく」を二回使っているので、「滅苔灯に対する耐性が弱まる傾向にある」でいいと思います。



> 足裏のスクリューを高速回転させ、攻撃を交す。

⇒「攻撃を交す」だと「攻撃を交える」ような情景つまり攻撃に出たことになります。よけたのなら「攻撃をかわす」とかなか「攻撃を躱す」と漢字で書きます。




> 勝機が果たしてどちらに傾いているかは歴然としている。

⇒ここは「どちらが勝機を見出したかは歴然だ。」「形勢がどちらに傾いているかは歴然だ。」「形勢がどちらに有利かは歴然だ。」のあたりが渾然としていますね。

 少なくとも「勝機」は「勝つチャンス」「勝つタイミング」のことなので「傾く」ことはありませんよね。



>「逃げていっちゃった……ごほっごぼっ」

⇒「ごほっ」でいいのでしょうか。すぐ後ろが「ごぼっ」で二文先も「ごぼっ」なので誤字かどうか迷いますね。



> ミオンはセーラの背中を優しくさすさすする。

⇒「さすさすする」は方言なので、とくに意図がなければ標準語の「さする」を使いましょう。



>それを辿っていけば、かなりの距離に及んでいることが分かった。

⇒「それを辿っていったら、」ですね。「辿っていけば、」は仮定を表しているので、「分かる」ことはありません。「辿っていったら、」は実際に行なってみたらということなので「分かる」わけです。




※構成と展開について

 ダイオウイカというワードが出ていたので、触腕の持ち主はそれなのかな?

 私は読みながらタコを思い浮かべていましたけど。

 「クラーケン」はタコともイカとも知れぬ(作品によって異なる)ものなので、この触腕の持ち主の全景がわかるのであれば、どちらかを書くべきですね。

 もちろん触腕しか見えなかったのなら、どちらかはわかりませんから、書く必要はありません。


 そろそろ構成と展開が見えてくる頃ですね。

 ミオンがひとりで海底遺跡を見て回る。

 海底都市でセーラと話す。

 ロストした船を探しに出かける。

 謎の触腕に襲われる。

 そうしてたどり着いた地下鉄の駅には……。


 とこのあたりの展開がかなりスムーズで、読み手を飽きさせませんね。

 このミッションが終わると構成としてひと区切りつくと思います。

 そして今回のミッションが次のミッションを呼び起こしていく。

 という単純な構成であっても、じゅうぶんに面白い作品ですね。


 セーラのキャラがじゅうぶんに立っているので『角川文庫キャラクター小説大賞』が最適だと思いますが、それだともう少しミオンの魅力を書き込みたいところです。

 大人なミオンなので、しぐさとか振る舞いとか所作などでセーラとの対比が出るように意識してみましょう。

 ミオンとセーラのキャラが両方立っていれば「バディもの」として多くの方に読まれて評価されることでしょう。



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