16 魔女・下
八時の魔法~記憶喪失の僕は、猫になってクール系タラシの女子大生に拾われる~
作者 水涸 木犀
2章 猫と魔女
16 魔女・下
https://kakuyomu.jp/works/16816700429221531909/episodes/16816927859321805624
物語の内容はいいですね。
緊迫感もあるし、焦燥感も募ってきます。
ただ、ハチだからなのか昴だからなのか、ここまで読んできていまいち感情が薄いんですよね。
笑いをとりにいく場面もあるのでまだよいのですが、それ以外で感情の起伏があまりないように感じられます。
緊迫感や焦燥感は「焦り」を覚える表現で、笑いは「楽しみ」の表現です。他に「喜ぶ」「怒る」「悲しむ」といった感情、俗にいう「喜怒哀楽」には乏しい気がします。
ハチの感情がもとから乏しかったのか。昴はサバサバした性格だから感情表現は少ないほうだとは思います。ハチはペンダントをもらって嬉しかったという描写はあるもののそれ以外であまり感情が見えてこない。
とすればハチをもう少し感情豊かに書いていたら、もっと楽しく読めるだろうし、今回の緊迫感や焦燥感ももっと増してくるはずです。
私がもともと感情に乏しいほうなので、半分ほど読んでようやく気づいたのですが、普通の方はもっと早くに気づいたはずです。
第二章でハートが少ないのも、原因のひとつはそこにあるのかもしれません。
物語自体は面白いので、もう少し感情豊かな主人公なら、サバサバした昴と対比ができて双方が映えると思います。
「次世代作家」のほうに出す前に、一度キャラクターとくに主人公の感情面をチェックして、乏しいと感じたら増し増しで書いてみると一気にウケる可能性が高いですね。
それとも猫にされたときに感情も持っていかれた、という話なのでしょうか。
でもそれだと記憶がなく感情の薄い主人公と、サバサバしてこだわりのないヒロインということで、対比がなく乾いた空気感の小説になってしまいます。
せっかくのアイデアとその見せ方なので、足りないのは感情だけだと思います。
「仏作って魂入れず」という感じで、読んでみると面白いのですが、肝心の「感情」が薄いようです。
もう少し幅広い読み手が楽しめるような要素が必要ですね。
人は感情を持つ生き物ですし、小説を読む大きな理由も「娯楽」つまり笑いたい・泣きたい・怒りたいといった感情を満たすためです。
本作はここまでかなり平板な印象を受けるため、どうしても感情の移ろいを期待した層が離れやすいのです。
猫になって記憶喪失だから、感情も薄い、とは限りません。
記憶がないからこそ理性の歯止めが効かずに「なんにでも興味を持つし、どんなことでも感情的になる」のが普通です。
添削の後に推敲してリライトするのであれば、感情周りを強化してみてはいかがでしょうか。
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