非公開作品のためタイトル、著者名、URL等は割愛致します。(02)

足先をひんやりとした外気に晒して、外履きを履いて向かう。

⇒ここも行頭一字下げができていません。

 基本的に行を変えたら一字下げましょう。

 下げなくていいのは会話文の記号があるときだけです。



 冬の白い空の下、彼女が見つけたけたのは――、

⇒「彼女が見つけたのは──、」ですね。



遠目で彼女の口元から白い息が上がってるのを見えた。

⇒ここも行頭一字下げができていません。

 あと、ベランダに倒れていたわけですから、「遠目で」はふさわしくないですね。

 「見えた」は助詞「を」ではなく助詞「が」をとりますので、それを踏まえて添削すると、

⇒彼女の口元から白い息が上がってるのが見えた。

 ですね。



彼女は地に伏せたヒバリを担ぎ、ストーブで温まった室内に連れ込んでいく。

⇒ここも行頭一字下げができていません。

 またここを進行形にするより、常体で書いたほうが動作がわかりやすいです。

 いくつかの候補がありますが、原文により近づけるなら、

⇒彼女は地に伏せたヒバリを担ぎ、ストーブで温まった室内に連れ込んだ。

 と「すでに動きましたよ」と書くこともできます。

 さらにもう少し動きを整理したいのであれば、

⇒彼女は地に伏せたヒバリを、ストーブで温まった室内まで担いで運んだ。

 とすると、動作がわかりやすくなります。

 ただこちらは文章の味が変わりかねませんので、前述の「連れ込んだ。」を使いましょう。そのほうが筆者らしさが出ます。



 ソファの上にヒバリをそっと仰向けに置いて毛布を掛けた。

⇒「置いて」と書くと物のように映ります。仮にも「神様」と思っているわけですから、「寝かせて」のほうが丁寧に扱っている感じが出ますよ。



 他方、ベランダに転がっていた荷物を回収に向かう。

 ヒバリが現場には虫取り網に鳥カゴが転がっていた。他にが散らばっていたのは、彼女のものと思わしき鳥の羽。

⇒ここは、文章をすっきりさせたほうが断然よいので、すっきりさせますね。

 まず「ヒバリが現場には」は明らかに誤字なので、「ベランダには」とし、通常並列では使わない助詞「に」を助詞「と」に置き換えます。「他にが」も誤字で「他に散らばっていたのは、」ですね。

 まとめると、

⇒ベランダには虫取り網と鳥カゴが転がっていた。他に散らばっていたのは、彼女のものと思わしき鳥の羽。虫取り網と鳥カゴを回収する。

 くらいでよいですね。

 後で「ひとまず彼女は室内に戻ることにした。」とあるので「回収に向かう」のではなく、すでに回収したところを書いたほうが格段に読みやすくなります。



神様のことはよく分からない。ただ、体調が悪いということだけは分かった。

⇒ここも行頭一字下げができていません。



 看病をしよう、とアスカは彼女の様子を案じて思う。

⇒本話の冒頭で阿須華と書いてあったのに、ここでカタカナにすると別人かと思う方もいらっしゃいます。

 たとえばヒバリと話して「私のことはアスカって呼んで」のように書けば、以降はカタカナで表記しても問題ありませんので、憶えておいてくださいね。



「お節介かもしれないけど」と思いつつもアスカは近所のスーパーに買いに出掛けて行った。手軽な靴を履いて、急ぎ足で向かう。

⇒ここの行頭はカギカッコなのですが、会話文ではないので行頭一字下げしましょう。

 また「出掛けて行った。」あとで「手軽な靴を履いて、急ぎ足で向かう。」だと出かけていったのに途中で靴を履いて、さらに急ぎ足になったように映ります。

 動作の順番を入れ替えながら適正と思われる文章に仕立てると以下のようになります。

⇒「お節介かもしれないけど」と思いつつもアスカは近所のスーパーに向かうべく、手軽な靴を履いて、急ぎ足で買いに出掛けた。



 ものの数分で着いた彼女は、食品コーナーで足を止めた。

手頃なインスタントスープを掴み取って会計を済まし、家に戻る。

そうして給湯器でお湯を沸かし、いつ彼女が目覚めてもいいように見守った。

⇒「着いた」より「到着した」のほうがよいですね。目的地に「着いた」わけですので、「目的地に着いた」を指す「到着した」が適切なのです。もし「着いた」にしたければ「ものの数分でスーパーに着いた彼女は、〜」としましょう。

 二行目、三行目は行頭一字下げができていません。

 「〜会計を済まし、家に戻る。」は人によっては「会計を済ませ、家に戻る。」と書きますが、これはどちらでもかまいません。方言のようなものです。「済ます」「済ませる」のどちらが元の単語なのかで「済まし」か「済ませ」かが変わります。そして「済ます」はやや古語の香りがし、「済ませる」は現代語の印象が強いので、それで使い分けると良いでしょう。



顔色が悪く、息が上がったまま、ゆっくりと目を開いた。

⇒ここも行頭一字下げができていません。



見ず知らずの場所にいたことをヒバリは驚きもしなかった。

⇒ここも行頭一字下げができていません。



ヒバリは胸元を激しく上下させて咳き込む。

⇒ここも行頭一字下げができていません。



すっと手を近づけるとジワジワ染み込んでくような痛覚をもたらすソレ。

⇒ここも「い抜き言葉」がありますね。三人称視点では正しくは「染み込んでいくような」ですね。



 彼女の育ての親であった祖父が神社の神主だったからだ。

⇒「神主」は神社にいるものですから、取り立てて「神社の」と書く必要はないのですが、今の若い人だと「神主」という単語からストレートに「神社」が出てくるか、という問題もあります。

 ただ、下の方に「〜私を育ててくれたお爺ちゃんが神社の神主をやっていてね。〜」という会話文があるので、ここでは単に「神主」でよいでしょう。



小さい頃に祖父が祓っていたのを何度も何度も目に焼き付けていた。

⇒ここも行頭一字下げができていません。



アスカは意気込み、苦しむヒバリの額にそっと手を置いた。

⇒ここも行頭一字下げができていません。

 また「意気込み」は名詞としての用法が強い言葉なので、「意気込んで」と動詞であることを示したほうがわかりやすくてよいでしょう。



 徐々にその光はヒバリの全身に隈なく溶け込んでいき、その代わりとしてヒバリに宿った穢れを空気中に分散していく。

⇒「穢れが空気中に分散していく。」ですね。



倒れ込み、一体なんなのこの子!?とでも言いたげに崩れ思いっきり咳き込む。

⇒ここも行頭一字下げができていません。

 ここは情報を詰め込みすぎですね。

 「倒れ込み」と「崩れ」はほぼ同じ言葉なので、「崩れ」を消します。

⇒倒れ込み、一体なんなのこの子!? とでも言いたげに思いっきり咳き込む。



故に今はこうして落ち着いた表情で寝息を立てて眠っている。

⇒ここも行頭一字下げができていません。



 その光景を屋外の空から訝しむ少女の姿が一人。

⇒「少女の姿が。」と書いたでけでもひとりであることは伝わります。

 もし「ひとり」を強調したいのであれば「少女が一人。」と「姿が」を消します。

⇒その光景を屋外の空から訝しむ少女の姿が。

⇒その光景を屋外の空から訝しむ少女が一人。



この隙を見てアスカは近所のスーパーに改めて買い出しに来ていた。

随所コーナーを巡りに巡って、テキパキと品物を買い物かごに投入していく。

会計を済ませた頃にエコバックにまとめて上げ、スーパーを出た。

⇒ここも行頭一字下げができていません。

 またここで「済ませた」と書くのであれば、先ほど指摘した「済まし」は「済ませ」にしたほうがよいですね。方言の統一です。

 「まとめて上げ」は「まとめて」でじゅうぶん伝わります。



 コートを着こなしてもやはり冬の白い空は寒い。

⇒ここは「着込んでいても」ではないかと。



 歩道の傍らや窪みには昨日の残雪が残っている。

⇒「残雪が残っている。」は「落馬から落ちる」と同じで、同じ言葉を二度使っています。

 ここは「残雪がある。」か「雪が残っている。」ですね。



 街頭の上にも雪の塊が積もっており、今にも落ちてきそうだった。そこの下を通らないよう用心して自宅へ歩みに進めていく。

⇒おらそく「街灯」ですね。

 「その下を」でよいのですが、ここも方言と同じなので「そこの下を」でも間違いではありません。



 買い残しがなかったか今一度ざっと確認をする。

⇒「ざっと確認する。」と書いてかまいません。



 ちょくちょく意識を取られながら、足先を進めていたアスカであったが、何か背後からしてきた気配にそれらが遮られた。

⇒「歩を進めていた」ですね。「何か背後からしてきた気配に」が一読で意味がとれないので、とりやすいように改めてみます。

⇒ちょくちょく意識を取られながら、歩を進めていたアスカであったが、背後から迫る気配にそれらが遮られた。

 これでもちょっとわかりづらいかもしれませんね。



 アスカは馴れた動きで腰を捻って交わした。

⇒「腰を捻ってかわした。」とかな書きしましょう。漢字は正しくは「躱した。」です。

 また「馴れた」は動物が人間を警戒しなくなることを表す漢字なので、「慣れた動きで」にしましょう。



次の瞬間、彼女の視界に映ったのは尖った槍先だった。

⇒ここも行頭一字下げができていません。



 その槍を掴んでいたのが少女が後に続いた。大きな翼を広げ、攻撃が外れたのももろともせず、再び上空へ舞い上がった。

⇒「その槍を掴んだ少女が後に続いた。」ですね。「もろともせず」ではなく「物ともせず」ですね。



 攻撃を交わされたことに同様を隠せず、槍の主は歯を食いしばる。

⇒「かわされた」はかな書きで。「動揺を隠せず」ですね。



神経をとがらせ、睨みを効かせている。威圧感がすごい。

⇒「睨みを利かせている。」ですね。



 フワフワの羽毛が材料であろう狩衣に、大きな茶色い翼を広げ。毛皮のマフラーに瞳を覆う眼帯。

⇒「大きな茶色い翼を広げ、」と読点で区切りましょう。



 やはり誤解をしてるのだろうか。少なからず、アスカにヒバリを襲った覚えは微塵たりともない。

⇒ここも「い抜き言葉」ですね。「誤解している」です。ここで「アスカに」は不要です。「微塵たりともない」は「微塵もない」の誤用とされています。強調しようとして間違えて使われているパターンですね。



 と言いつつもヒナは片手間も槍を離さなかった。

⇒「片手間も」ではなく「片時も」ですね。



ヒバリが寝かされているアスカの家まで少しずつ歩いていく。

⇒ここも行頭一字下げができていません。

⇒ここが「寝かされている」だと、第01話の「寝かせられて」は「寝かされて」でもよかったことになります。このあたりは方言なので表記を統一しましょう。



 アスカが小さく頷くと、ヒナは「そのとおりだ」と受け答えた。

⇒ここは単に「答えた。」でよいのですが、「受け答え」を使いたければ「受け答えした。」としましょう。文法的には「答えた。」で問題ありません。




※和風ファンタジーですが、ここを読むとどうやら「現代ファンタジー」のようですね。第01話は神話の世界の話かと思っていたので、少し拍子抜けしました。

 第01話で家屋を上から見ていたときに、もう少しビルとかマンションとか駅とか、そういった現代のキーワードを入れておくだけで「和風現代ファンタジーなんだ」と認識してくれるのでオススメです。




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