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 つまるところ、私たちの人間のは魂が人間の羽衣で包まれることで肉体を維持し、生きているのだ。

⇒「私たち人間は魂が〜」でしょうか。



人間の胎児は交わりによって生まれた魂が人間の羽衣で包まれることで肉体が生成され、母親の体内ですくすくと育つ。

⇒「母親の体内」という表現は「胎内」が一般的なのですが、おそらく「胎児」があるから「体内」にしたのだと思います。しかし「肉体が生成され、」とあるので「体」の字も重複しています。よって原義の「母親の胎内」を用いるべきですね。



 逆に死ぬときはこの羽衣の一部がすり減ることで裂け目ができ、包まれていた魂と羽衣の関係が崩れてしまうことが原因だ。

⇒ここを主要な構文だけで表すと「逆に死ぬときは、〜崩れてしまうことが原因だ。」となり呼応していません。成立させるなら「逆に死ぬときは、〜崩れてしまうのだ。」か「逆に死ぬのは、〜崩れてしまうからだ。」、原文に近づけると「逆に死ぬのは、〜崩れてしまうことが原因だ。」ですね。

 このように文の「主部」と「述部」を直接結びつけて、呼応しているか確認してみましょう。



 人間によって寿命が異なるのも同じく。

⇒ここは「人によって寿命が異なるのも同じく。」としたほうがよいでしょう。

 おそらく種族としての「人間」という言葉でこれまで書いてきたので、ここも「人間」としたのでしょうけれども、ここでは「種族」によって寿命が異なるというよりも、「個体差」によって寿命が異なると言いたいのだと思います。であれば個人個人を表す「人」を使ったほうが的確ですね。



 羽衣はそれぞれ、神々の世界『高天原』に住む機織りの神によって織られ、そして神々によって現世の魂へと直接届けていた。

⇒「神」の字が多いので少し手を入れたいのですが、このまま減らしても意味不明な文にしかなりません。

 そこで前半と後半を分けて、一文の「神」の数を減らしてみます。

⇒羽衣はそれぞれ、神々の世界『高天原』に住む機織りの神によって織られている。そして神々の手によって現世の魂へと直接届けられていた。

⇒ここで「られる」を使っているのがおかしいと感じるかもしれませんが、いちおう神なので敬語調で語ったほうが的確かと思います。

 もしその神が俗物だった場合も、ここではあえて敬語調で語っておけば、落差が生じて俗物の印象をより強く読み手へ与えられます。



 天駆ける神こと、ヒバリが属していた組織は隹部。

 一部だけ鳥の姿をした神々から成り立つ組織で、死んだ人間から魂と擦り切れた羽衣の回収を主業としていた。

⇒「組織」の単語が近いところに出てくるので、後者を省きます。

 また「死んだ人間から〜主業としていた。」だと噛み合いませんので、「死んだ人間から〜回収することを主業としていた。」とします。

⇒天駆ける神こと、ヒバリが属していた組織は隹部。

 一部だけ鳥の姿をした神々から成り立ち、死んだ人間から魂と擦り切れた羽衣を回収することを主業としていた。



 与えられた仕事は至って単純。

 死んだ人間の枕元に立ち、その身に宿していた魂を虫取り網で捕らえ、そして羽衣を回収するといった仕事だ。

⇒ここも「仕事」の単語が近いところに出てくるので、後者を「具合」に変更します。「そして」はなくてもかまわないのですが、作者それぞれの語り口がありますので、残しておいても問題はありません。

⇒死んだ人間の枕元に立ち、その身に宿していた魂を虫取り網で捕らえ、(そして)羽衣を回収するといった具合だ。



 上空から目当てとなる家屋の屋根を見つけ、言い放つ。

⇒「屋根」が必要かどうか。これは長宗我部様の意図次第です。単に上空から家屋を見つけたのか、元々「屋根」によって家屋を見分けているので探していたのは「屋根」だったのか。もし屋根を探していたのなら「家屋の屋根を見つけ」でよいです。もし家屋を探していただけで、とくに特定の屋根を探していたわけではないのなら「目当てとなる家屋を見つけ」でかまいません。



 そうして門の前へ降り立った。家屋の扉を開いて、勘を頼りに寝かせられていた布団の方へと辿っていく。

⇒「なにが寝かせられていた」のかがわかりませんね。ここまでの流れだと「死すべき者が寝かされていた」と解釈できるとは思いますが、ここでそれを伏せておく必要はあるでしょうか。おそらくこの流れだと伏せなくてもよいと思いますので、「勘を頼りに回収するべき魂と羽衣が寝かせられていた布団の方へと」が妥当です。

 ちなみに「寝かせられる」と「寝かされる」はほぼ同義で方言のような違いなので、ここでは「寝かせられていた」でかまいません。



よほど強い霊感を持った人間にしか映らないのだ。

⇒行頭一字下げができていないので、行頭に全角空白文字をひとつ入れて下げてください。



 どちらかといえば、暴れない魂の方がもはや珍しい。

⇒「どちらかといえば、」は「もはや」があるので不要です。

 そして語順を整えると、

⇒もはや暴れない魂の方が珍しい。

 とシンプルになります。



 大抵の魂は自分が死んだことを受け入れられてない状況下で、網を被せられるという手段を取られるのだから。

⇒「受け入れられない状況下で」だと思います。「受け入れられていない状況下」かもしれません。「受け入れられない」は拒絶しているさま、「受け入れられていない」はまだ受け入れられるほどの状況にないさまを表します。後者の場合は「い抜き言葉」の「受け入れられてない」よりも誤字に間違われないよう「受けられられていない」と「い」をきちんと入れましょう。

 一人称視点の場合は、主人公が「い抜き言葉」を使う場合は省けるのですが、三人称視点の場合は基本的に正しい文法で書きます。「ら抜き」も「い抜き」もするべきではありません。



これで今日は帰って家で暖まれると、彼女は冬の白い空の下で思っていた

⇒ここも行頭一字下げができていないので、行の頭に全角空白文字をひとつ入れて下げましょう。

 また、ここで「彼女は冬の白い空の下で思っていた。」とありますが、これはこのシーンの設定と主人公の設定を含んでいるので、もっと前のほうで説明するべきです。

 ヒバリが女性なのは「彼女」でわかりますし、今が「冬の白い空」であることもわかります。

 この設定はさかのぼって、

⇒「この辺りじゃ、今日はここが最後か……」

 の前後に入れるべきですね。 

 残りの「これで今日は帰って家で温まれると思っていた。」はここに残さないとつながらないので、ここに置いておきましょう。



 ゴホゴホっ。影に潜んでいた病が頭角を現す。

咳が止まらない。息切れを起こした。

 みるみるうちに顔が青ざめていく。

⇒どこの「影に潜んでいた病」なのかがわからないですね。可能性としては「魂」か「羽衣」のいずれかですが、どちらかとは書かれていない。

 「頭角を現す」は「大勢の中で、ひときわ目立ち始めることのたとえ。」なので、意味合いがずれています。

 「咳が止まらない。」は行頭一字下げができていないので、全角空白文字をひとつ入れて下げましょう。

⇒ゴホゴホっ。羽衣の影に潜んでいた病が突如襲ってきた。

 咳が止まらない。息切れを起こした。

 みるみるうちに顔が青ざめていく。



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