未公開作品のため、各所伏せてあります。

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 しどけなく上半身がはだけた黒衣、長椅子に横たわる男。その足もとで、女が酔いしれた声をあげる。

⇒これだと「黒衣」「男」「女」の三人いるように読めてしまいますね。

 たとえば、

⇒黒衣の上半身がしどけなくはだけた長椅子に横たわる男。

 とすれば、少なくとも「黒衣」と「男」とがつながります。



 男の唇が柔らかく若い女の素肌を這っていく。

⇒これも複数に読み取れる文になっています。

 「柔らかく」が「男の唇」なのか「若い女の素肌」なのか。

 ですがおそらく、

⇒男の唇が柔らかく、若い女の素肌を這っていく。

 「柔らかなタッチで」という意味だと思いますので、読点を打って明確にします。



 コックコクコク、奇妙な音。

⇒擬音語を使うのはよいのですが、この形だと童話の一文に近いですね。

 どうせなら、

⇒コックコクコク──奇妙な音(がする)。

 とダッシュで区切る表現だと単調さは薄れますね。(がする)はなくてもかまいません。ただ童話の一文にならないようにする工夫のひとつなので。



 ぞっとして全身から嫌な汗が吹き出した。

⇒ぞっとしてかいた汗は嫌なものでしょうけど、ここはあえて「嫌な」を書かないほうが「ぞっと」の力が増します。演出としてなら「嫌な」を省いたほうが的確ですね。



「はあぁ」

 ため息をすると、○○○が影から出てきた。

「殿下」

⇒これは、あえて書くべきなのか、書かないでつなげるべきかがわかりづらいですね。

 たとえば、

「はあぁ」

「殿下」

⇒と書くと、読み手は不意打ちを食らいますので、びっくりします。

 しかし主人公がびっくりしてないので、この選択はミスです。

 では、

「はあぁ」

 ため息をすると、影から○○○が出てきた。

「殿下」

⇒と書くと、主人公の認知としては、ため息、影から何者かが、○○○か。の順になります。

 原文だと、ため息、○○○が、影から出てきた。の順になり、認識がやや不自然な印象を受けます。

 ですのでここでは二番目の「ため息をすると、影から○○○が出てきた。」が最も正しいと思われます。

 ただ、これは添削している私の意図なので、作者様の意図で先に○○○が認識されたほうがこの主人公らしい、と思うのでしたら原文ママでかまいません。



 たぶん、こんな悪夢を見るのは、明日が自分の17歳の誕生式典であり、

俺は、ただこの無力な拳を握りしめる。

⇒一人称は「自分」なのか「俺」なのか。統一されたほうが読みやすいですね。

 あえて「自分」は立場上の一人称で、「俺」は本心の一人称、とすることもできなくはありません。ただシーンの微妙な一人称の使い分けが今後困難さを引き起こすかもしれません。



第一王位継承者

⇒通常は「王位継承権第一位」「王位継承順位第一位」と表現します。「第」をとらない書き方もありますので、そちらはお好みで。



 いや、そう溺れそうだったは、実は俺の方だったのかもしれない。

⇒「だったのは、」ですね。



 傷ついた少年の口もとで血が吹きこぼれ、苦しそうに咳き込んだ。

⇒これでは血を吹きこぼしたのは主人公になってしまいます。

 ここは

⇒傷ついた少年は口もとで血を吹きこぼし、苦しそうに咳き込んだ。

 ですね。




※前半と後半で別の物語にしてあるので、前半のミステリアスさをどう維持したまま、後半を読ませるかがポイントになりますね。

 次回も前半がこの続きとなっているのか、今回の前半はあくまでも導入だけで、続きは数話先なのか。

 そこが構成上での問題点になります。


 ただ、後半の話はすらすら読めるので、ある程度描写を削ってあるのかな、という印象を受けました。

 字数に制限があるのなら仕方ないのですが、初めて見る人物を目の前にして、あまり観察しない主人公なのかな? という感じに見えてしまいますね。

 それが意図どおりであれば問題ありません。



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