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 部屋のなかは消化剤の白い泡がところどろこ残り、火で黒ずんだ壁が剥き出しになっている。

⇒「消火剤」です。「火」なので気をつけてください。

 あと「ところどろこ」になっています。「ところどころ」ですね。



「これから現場検証をさせてもらいますが、立ち合いますか?」

⇒「立ち会う」ですね。「立ち合う」は主に相撲の「ハッケヨイ、残った」で双方が突進していくことを指します。他にも能などの例はあります。ただ「現場にたちあう」場合は「立ち会う」です。



「玄関の鍵は掛かっていましたな。窓の鍵も施錠してある。消火活動で窓ガラスを割りましたが、それ以外に特に割って侵入した形跡はない……」

⇒一ノ瀬が「消火活動で窓ガラスを割りましたが、」と報告すると、そのシーンを一ノ瀬が見ていたように感じられます。伏線ならそれでもよいのですが、単なる間違いであれば「消火活動で窓ガラスを割ったそうですが、」と伝聞にしましょう。



この事態に両親を巻き込むことに躊躇した。

⇒短い文なのでわかりにくいことはないのですが、助詞「に」の重複はあるので、「この事態へ」と方向にする手があります。こうすると到達点は「巻き込むことに」と明確にできます。



 実際は、親に説明することで巻き起こる騒動と、母の落胆した表情を見るのを避けたかった。幼い頃から良い子であることに慣れた陽菜子は、どんなことであり不幸な様子や失敗したことを親に話すことができない。

⇒「母の落胆した表情を見るのを避けたかった。」はパッと見で助詞「を」の重複に見えますが、実際は助詞「を」と助詞「のを」と別なのでこれは重複ではありません。

⇒「〜陽菜子は、どんなことであれ」ですね。



「ご滞在される場所をお教えください?」

⇒ここは「?」が不要です。



 一ノ瀬は背後に控えていた男にうなずいた。

⇒これは助詞「に」の重複ですね。以下が正しいので。

⇒一ノ瀬は背後で控えていた男にうなずいた。



「これをお貸しします。警察の一部の人間しか番号を知りません。こちらをお持ちいただけますか」

⇒「?」を付けるなら「こちらをお持ちいただけますか?」です。無くてもかまいません。



会社でも、どれほど仕事が立て込み、緊急スケジュールで周囲が苛々している時も、Englishman In New Yorkを、口笛で軽く吹いているような男である。

⇒小説賞を目指すのであれば、半角文字は極力使わないでください。

 たとえ英語であっても、基本は全角文字です。

⇒〜時も、Englishman In New Yorkを、〜

 なぜ全角にするかというと、半角文字だと印刷したさい文字が右に90度寝てしまうからです。



「お名前を聞いてもいいですか」と、一ノ瀬が手帳を出した。

⇒一ノ瀬の敬語レベルを揃えるのなら「聞いてもよろしいですか」ですね。



つまり生活に無関心に、無関心でいられるほど贅沢を知る人間という意味においてだが。

⇒ここは間違いなのか正しいのか確認させてください。

 一見すると「つまり生活に無関心でいられるほど〜」の間違いに読めます。

 しかし陽菜子の思考として「つまり生活に無関心に」と言って改めて「無関心でいられるほど〜」と言い直しているのなら原文ママです。



陽菜子はそれを王子様の権威と心のなかで揶揄していた。

⇒ここはいい比喩ですね。ぱっと読んだだけでどういう気質なのか読み手が理解できます。



※ちょっと気になったのですが、部屋が火事に遭って消防車が駆けつけて消火作業をしていたはずですよね。そのときまで窓ガラスが割れずに燃え続けるのはなかなか難しいですね。火は酸素を求めますから、窓ガラスが割れないと次第に火勢は弱まります。ただしその状態で窓ガラスが割れたら大量の酸素を食い尽くして大爆発を起こします。これを「バックドラフト」と呼びます。

 だから消火活動で窓ガラスを割ったら「バックドラフト」に注意、もし別のところから酸素が供給されていたのなら密室ではなかったことになります。

 ということで、これも「伏線」となりうる情報なので、「伏線」なら原文ママで。「伏線にしない」なら「現場到着してから窓ガラスが割れた」ことにする必要があります。



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