第5話  新興宗教信者達と遅れて来たお巡りさん


https://kakuyomu.jp/works/16816452218840507385/episodes/16816452218937851555



 あたしは、ちらり、と声のしたほーを見る。

⇒ここは読点がなくてもよいですね。少なくとも「ちらりと」はひとつの言葉なので読点で切らないほうがよいですよ。


「須藤さん。確かに中学生のお嬢さんに勝手に触ってはいけませんよ」

⇒「助詞の重複」を解消するのが、読みやすい文章を作る第一歩です。

 この文も一見助詞「に」が三回出てくるように見えますよね。

 でもこれは重複していないのです。

 「確かに」は副詞で、「勝手に」は形容動詞の連用形です。

 助詞「に」は「お嬢さんに」だけなのです。

 機能が違っていれば、一見同じ助詞でもすんなり読んでくれます。

 同じ機能になった場合に読みづらくなるので、そういうところは注意しておきましょう。

 ただスマートフォン執筆だと予測変換で意図しない助詞が付いたりするんですよね。

 そこが難しいところです。


 お師様は、「さっさと」のあとに、「いね!!」と、言ったみたいだけど店のドアに着けてあるでっかい鈴の音が鳴って、その言葉は聞き取れなかった。

⇒「ドアに付けてある」ですね。

 「着ける」はある場所を占める意です。くっついている場合は「付ける」が正解。

 これも予測変換らしいミスですね。


 霊力も魔力も世界の狭間に隠れていたとある大陸が姿を現した時に、全て存在することが証明されちゃったこの時代に、各お役所ってのは、それでも本当に必要最低限しか変化しなかった。

⇒今度は確実に助詞「に」の重複です。

 ただ、めぐるの考えとして書き出している意図があると、ある程度は仕方ないところはあります。中学生が完璧な構文を使えるとは思えませんからね。

 最初の読点までの文と、ふたつめの読点までの文は並列になっています。この中はそれぞれ独立した文なのでふたつに重複してもある程度は仕方がない部分でもありますね。でもこれ、ふたつの文と言い切れるかどうか。最初の文を受けてのふたつめの文にも見えます。

 中学生が完璧な構文を使えるのも変なので、ある程度おかしくても大まかにわかれば良しとしますか。助詞「に」の重複はここでは手を入れないでおきます。

 ただ「各お役所」の「各」は要らないですね。「お役所」という言葉自体に行政機関の意がありますので。


 この国と来たら……目に見えないモノは確かに存在すると認めたけれど、他所の国から入って来た魔法やら、何やらには反応が遅いわ。法律も追い付かないやら……

⇒助詞「やら」のかかる範囲が不明瞭ですね。

 「他所の国から入って来た魔法やら何やらには」で助詞「やら」は成立しています。これに「法律も追いつかないやら」をかけるには間にある文節が邪魔をしているのです。

 これは「法律も追いつかない有様だし……」「法律も追いつかないし……」あたりでも同じような表現にはできますね。

 以前から述べていますが、主人公であり地の文を語っている張本人であるめぐるが女子中学生なので、あまり理路整然とした地の文は話せないとは思います。

 それでも可能なかぎり整合性をとらないと、「小説賞・新人賞」レースから脱落しやすいので注意してくださいね。


「えーと、変な宗教の人達とは同じパトカーに乗りたくありません。だから、あとからお師様と一緒に行きま――あ! ダメですね。ミニパトだと、宗教の人達しか乗せられませんね……」

⇒こけだとお巡りさんが女性になってしまいますね。ミニパトは婦警さんが乗るものです。男性がまったく載らないとはかぎらないと思いますが、ミニパトは交通|警ら隊が使用するもので、主に女性警察官がその任に当たっています。

 ですが、どれくらいかわかりませんが未来の話です。男性が警ら隊に配属されない確証がありません。

 警察組織に詳しい方ほどここで引っかかってしまうかもしれません。

 でもいちいちめぐるが「今は男性のお巡りさんでもミニパトに乗る時代」などと解説していくのも野暮ですからね。

 このあたりが難しいところです。



────────


【寸評】

 威勢のよいおっちゃんではなく、控えめな女性がリーダー。これは意表を突かれましたね。まぁ女性リーダーだから許せる問題でもありませんが。

 居座りを決め込まれたら、女性リーダーでも法律に触れますしね。

 最後のセリフで「応援でも呼んだかな?」と思ったのですが、次話のサブタイトルを見て当たりましたね。

 水守風火様はこのあたりの前フリが実にうまい。

 言葉を無駄にしていないな、と感じました。

 伏線は地の文や会話文の言葉遣いに乗ってきますからね。

 主人公が女子中学生で、この時代ではある程度自我も確立していそうなところは、ここまでの地の文で思わされました。

 であれば、ある程度構文も正しくしたほうが「この時代らしさ」を表せるかもしれません。

 「未来の女子中学生陰陽師」の精神性を、心の声である地の文でどう表現するか。

 これを念頭に置いて地の文を読み直すと、適切な表現が身につくでしょう。

 自身で推敲するときは、その点を意識してみてください。

 「未来の女子中学生陰陽師」が地の文の基準ですからね。



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