第6話 アナザーエデンヴァンパイアの願い

 今回で添削のラストです。

 添削だけではどうにもならない問題もありますが、それはコメント欄の講評で述べていますので、そちらもご参考くださいませ。

 ではラストの添削です。




「僕はお目付け役失格だ。お姫様をこんな目に合わせて、おまけに僕は愛を知ってるから。ヴァンパイアも、失格だ」

⇒「お姫様をこんな目に遭わせて」ですね。



ラストヴァンパイアは、ラストの数式の書き換えによって、世界を亡ぼすことはできなくなっていた。代わりに、ラスクとララを飲みこもうとしていた!世界にとって邪魔なヴァンパイアの一族を!ラスクとララはやっと生き残ったのに、また消えようとしていた。

⇒おそらくですが「ラストヴァンパイアは、ラスクの数式の書き換えによって、世界を亡ぼすことはできなくなっていた。」ではないでしょうか。あと「方程式」なのか「数式」なのかは統一してください。



 しかし、無情にもラストヴァンパイアは滅びる前に、ヴァンパイアを消してしまう。

「私はあなたと一緒がいいの。ずっと、愛してるわ。ラスク」

「ララ、僕も君を愛してる」

 そういうと、ラスクはララにキスした。最後にヴァンパイアの姫は、愛を知った。

 ラストヴァンパイアは二人を飲みこもうとしていた。遠くで、アルドたちの声が聞こえる!そして、二人はラストヴァンパイアに飲み込まれて消滅した。

⇒また前フリしてしまっています。

「ラストヴァンパイアは滅びる前に、ヴァンパイアを消してしまう。」これは前フリではなく「結果」で読ませるべきです。

 ここでは「二人はラストヴァンパイアに飲み込まれて消滅した。」で解決しています。

 しかし「遠くで、アルドたちの声が聞こえる。」だとララかラスクかの心の中が見えていますよね。そしてすぐに両名とも消滅する。つまり視点保有者がいなくなってしまうのです。

 この構成では話がめちゃくちゃになってしまいます。

 たとえばララが「遠くで、アルドたちの声が聞こえる。」と感じているシーンが書きたい場合は、しっかりとララの心を丁寧に書きましょう。

 他の文と交ぜ書きしてしまうと、せっかくの感情が空回りしてしまいます。



世界の方程式は書き換えられて、ヴァンパイアのラスクとララは消滅した。アルドたちは、最初は悲しみに暮れていたが、それではラスクとララの繋いだ思いが無駄になってしまうと感じて、前を向いて歩きだすことにした。ところが、世界の方程式はどうやらアルドたちの記憶にも干渉したらしく、アルド、フィーネ、エイミはそれっきり、なぜかヴァンパイアのララとラスクのことを忘れてしまった

⇒ここも設定をただ書いているだけです。ただ説明するのではなく、物語として流れの中に自然と表現できるようにしてください。



こうして、ヴァンパイアの物語は幕を閉じた。平和な世界で、平凡な日常が今日もアルド、フィーネ、エイミたちを待っている。それは、日々の魔法のように素敵な物語があるのかもしれない。これは、一つの種族の物語、そして永遠のテーマ、愛とは何か?について、語っている。もし、何か迷うことがあってもきっと猫たちはあなたの側にいて、時空をつないでくれるだろう。

⇒ここも設定を語るのではなく、物語の流れで読ませたほうがよいですね。

 それができていないので感動の押しつけになっています。

 もっと日常シーンを描いて、その中で見つけた小さな違和感。それに思わず涙してしまう。そういう流れをもっとたいせつにしてください。




========


 今回でなんとか添削は終了です。

 講評はすでに第6話のコメント欄に書いてありますね。

 第1話・第2話くらいのボリュームで第3話から第6話までを書けたら、もう少し物語を詳しく書けたはずです。

 あと、書きたい物事をいったん分解して、最少の言葉でより多くの物事を語れるようになってください。

 それを意識するだけで、より小説らしく仕上がりますよ。


 それでは添削にお付き合いいただきましてありがとうございました。

 そして修正作業お疲れさまです。



カイ.アルザードSSTMより



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