第2話 未来を助けに行こう。あるがままの未来を、失わず取り戻すために

 日付が空いて申し訳ございません。

 一話が長いお話なので、添削にかなりの時間がかかってしまいます。

 もう少し一話が短ければスピードもあがるんですけど。

 今回も原作より文字数を費やしていますね。

 それだけ直しが多いのです。

 どこが悪かったのかを、下記の添削をなぞって把握していってください。

 では、今回の添削です。





第2話 未来を助けに行こう。あるがままの未来を、失わず取り戻すために


ヴァンパイアのララは血を飲まなくては生きてけないけれど、ポーション飲めば栄養代わりにできるそうで、ポーションを飲んでいた。

⇒この一文は長いですね。「ポーション」「飲む」が二回出てくるのも気になります。

 ちなみに「ポーション」は「液状の薬または毒」なので、どういった種類のポーションなのかを書いておくべきですね。

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 ヴァンパイアのララは血を飲まなくては生きてけないけれど、栄養代わりになるそうで、ポーションを飲んでいた。



ララの鍵はフィーネが持っていた。

⇒この情報はここで書くべきではありません。前後で「鍵」の情報がありませんので。



ララがヴァンパイアだからだろうか?

⇒この判断は登場人物の誰のものでしょうか。

 本作は「三人称視点」で書かれているので、こういった「誰かの主観」は書かないようにしてください。この一文は削っても問題ありませんので削ります。



そう言って、ララを励ました。ララはネコに嫌われていると思っていたようで、安心していた。アルドはフィーネに言った。

⇒「言う」が直近で7回出てきます。なるべく別の言葉に置き換えましょう。

 また「ララはネコに嫌われていると思っていたようで、安心していた。」は前記した「誰かの主観」なので、これもなるべく主観を排してください。主観を削ると「ララはその言葉に安心していた。」になります。

 もし主観を書きたければ、登場人物の誰かを視点保有者にして「三人称一元視点」にしてください。



「そのブレスレットは、ララの力を封じ込めるんだろ?」

「うん。鍵があれば、私は強くなるの」

⇒この会話が成り立っていません。これでは「ブレスレットがララの力を封じ込めるが、それでも鍵を持っていれば強くなる」ことになります。

 ブレスレットと鍵はどちらに優位性があるのか。この会話だとわかりませんよね。



でもみんなはまだ知らなかった。ララの最大の秘密を・・・

⇒「みんなは」が誰を意識しているのかわかりません。普通「みんなは」と書くとララを含んでしまいます。省きたいなら「アルド達は」としてください。そうするだけでララを省けます。



それは、ララが暴走する理由だった。ヴァンパイアの姿になり、暴れてしまい。力を使い果たしたら消える末路。そして、ララの国の秘密、地下の国の姫としてのララの役割、それは何だろうか?今は防ぐことができたが、葉っぱの国を燃やして、ララたちの国が攻めてきた理由。それは、ララの国の秘密を解き明かすことで、みんなにもかかわる世界の秘密がわかってしまう冒険が今始まろうとしていた。

⇒読点(、)と句点(。)がおかしくなっています。

 整理して改行も使って意味合いを整えてみました。

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 それは、ララが暴走する理由だった。

 ヴァンパイアの姿で暴れだし、力を使い果たしたら消える末路。

 そしてララの国の秘密。地下の国の姫としてのララの役割。それは何だろうか?

 今は防げたが、葉っぱの国を燃やしてララたちの国が攻めてきた理由。

 ララの国の秘密を解き明かすことで、みんなにもかかわる世界の秘密がわかってしまう。

 そんな冒険が今始まろうとしていた。



時空を超えて旅をしてそこから、未来へなんとみんなはタイムトリップしてしまった。AD1100年汚染された大地から逃れるため、人々が天空へ移り住んだ時代。エルジオンという都市を中心として、浮遊都市で生活が営まれている時代。そこに、何の秘密があるのだろうか?そこは、エイミの故郷だった。合成人間に恨みを持つ彼女は鍛冶屋イシャール堂の看板娘だった。エイミは言った。

⇒ここもひじょうにわかりづらいですね。

 まず改行と重複表現を回避して仕立て直してみます。

 このレベルくらいまで噛み砕いて表現してくださいね。

 ほとんど同じ文でも、構文を直すだけで伝わる文になりますよ。

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 時空を超え、一行は未来へとタイムトリップした。

 AD1100年。汚染された大地から逃れるため、人々が天空へ移り住んだ時代。

 エルジオンを中心として浮遊都市で生活が営まれている時代。

 ここはエイミの故郷であり、ララにとって何の秘密があるのだろうか?

 合成人間に恨みを持つエイミは鍛冶屋イシャール堂の看板娘だった。

 エイミが口を開いた。



そう急に言ったのはララだった。ララのブレスレットが光り輝いて、地面が光り輝いた。そして、地下の国の姫の証ララはブレスレットを、はずした。

⇒ここも構文がおかしいですね。

 次のようにすれば構文は直るのですが、今ひとつ臨場感に欠けます。

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 急にララが言葉を紡いだ。

 するとララのブレスレットが光り輝き、地面を照らす。

 そしてララは、姫の証であるブレスレットをはずした。



 すると、合成人間たちが攻撃してきて、やがてエイミの表情が怒りに満ち溢れた顔になった。

「合成人間たち!!」

 エイミはこぶしで戦った。一体一体倒していく、エイミの復讐の心はめらめらと燃え上がっていた。アルド、フィーネはエイミのことを心配した。

⇒まったく姿のなかった「合成人間たち」が突然出てきます。

 また「表情」と「顔」は同義です。

 「エイミ」が4回出てくるので単調ですね。

 すべて留意すると次のようになります。

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 突如、合成人間が複数現れて攻撃してきた。エイミは怒りに満ちあふれた。

「合成人間たち!!」

 彼女はこぶしで一体一体倒していく。復讐心がめらめらと燃え上がっていた。アルドはその姿を見て心配になった。



ここで、照れるようなことを言ってくるフィーネは優しいアルドの妹だ。

⇒「優しい」のはフィーネですか、アルドですか?

 どちらにも解釈できる書き方なので注意してください。

フィーネが優しいなら「ここで、照れるようなことを言ってくるフィーネは、アルドの優しい妹だ。」です。


アルドが優しいなら「ここで、照れるようなことを言ってくるフィーネは、優しいアルドの妹だ。」です。



ララの鍵が光り輝いて、ララはエイミが戦っている合成人間たちの動きをヴァンパイアの姿になって止めた

⇒この文もわかりづらいですね。

 書き直すなら次のようになります。

 ただし「光り輝く」が3回目なので、単調な印象を受けます。

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 鍵が光り輝き、ララはヴァンパイアの姿になって、エイミが戦っている合成人間たちの動きを止めた。



 未来では何が起きるのかと思っていたが、ララは戦い始めた。そのあとで、フィーネは偶然聞いてしまう。地下の国の姫の悲しい物語を―

 それは未来で出会ったおじいさんが、教えてくれた物語。

⇒後の展開を読むと「偶然聞いた」わけではないですよね。声をかけられて聞いたのですから。

 ですのでこの三文はまるまる削除してください。削除しても意味は通ります。



「それは、4大精霊が世界を守っていた。遥か古の時代から始まる」

⇒普通「四大精霊」と漢字で表記します。また「古」には「遥か」の意味合いも含まれるため重複表現です。

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「それは、四大精霊が世界を守っていた古の時代から始まる」



むかしむかし、ヴァンパイアの一族は人を愛せなくなった代償として、日の光に嫌われて、地下の国を作り上げました。何故、ヴァンパイアが愛を失ったかというと、人の血を飲みエネルギーとする彼らは、人間を愛のない食べ物だと、認識するようになったからでした。要するに人間はエネルギーをくれる食物という認識が、大きなヴァンパイアの一族の考え方の過ちでした。いくらでも模索すれば、普通の人間と関わる道もあったはずなのに、ヴァンパイアたちはそれをしないで、地下に逃げ込みました。そして、地下の国の姫が現れました。それは、純粋なヴァンパイアの血を注ぎ込んで作られたヴァンパイアたちの復讐の兵器でした。ヴァンパイアは日の光に嫌われた理由を考えもせずに、人間を一方的に恨みました。その復讐として、人間たちの住む国々を燃やし尽くして、破壊しようとしたのです。しかし、ヴァンパイアの作り上げた兵器は、ある欠陥がありました。それは、地下の国の姫は心を持っていたこと、心は兵器には邪魔なものでした。そこで、ヴァンパイアたちは地下の国の兵器の姫に、ある仕掛けを作りました。それは、兵器が力を使い果たすと消えてしまい。地下の国の姫の心はその時肉体と共に失われてしまうという残酷な仕掛けでした。心を持たないヴァンパイアたちは、地下の国で暮らしていましたが、やがて数を減らしていきました。その理由は、ヴァンパイアの一族の悪行はやがてうわさを呼び、人々はヴァンパイアの国を見つけると、ヴァンパイアたちを亡ぼしてしまいました。そして、生き残ったのが、日の光の干渉を受けない独特な力を持ったヴァンパイアの一族、地下の国の姫、ララでした。

⇒まず改行がないので読みづらい。次いで内容がぐちゃぐちゃで系統立てていない。

 そこを意識して徹底的に直してみました。

 同じような単語を使っていますが、以下のほうが格段に読みやすいはずです。

 かなり頑張りましたが、ここまで改変するとSimple Beat様の文章ではなくなりますね。ここはSimple Beat様もさまざまな書き方を試していただきたいところです。

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 むかしむかし、ヴァンパイアの一族は人を愛せなくなった代償として、日の光に嫌われて地下の国を作り上げました。人間と関わる道がいくらでもあったはずなのに、ヴァンパイアたちはそれをせずただ地下に逃げ込みました。

 人の血をエネルギーとする彼らは、人間を単なる食べ物だと認識するようになり愛を失ったのです。その認識が、ヴァンパイアの一族の大きな過ちでした。

 そして、地下の国の姫が現れました。彼女は純粋なヴァンパイアの血を注ぎ込んで作られた復讐の兵器でした。

 日の光に嫌われた理由を考えもせず一方的に恨んで、人間の住む国々を燃やし尽くして、破壊しようとしたのです。

 しかしその兵器には、ある欠陥がありました。

 地下の国の姫は心を持っていたのです。

 兵器に心は邪魔なもの。

 そこでヴァンパイアはある仕掛けを作りました。力を使い果たすと姫の心は肉体と共に失われてしまうという残酷な仕掛けです。

 心を持たないヴァンパイアたちは地下の国で暮らしていました。しかし、やがて数を減らしていったのです。彼らの悪行はうわさを呼び、人々はヴァンパイアの国を見つけると次々と亡ぼしました。

 生き残ったのが、日の光の干渉を受けない独特な力を持ったヴァンパイアの一族、地下の国の姫、ララでした。



 フィーネはそうおじいさんに言うと、振り向かずに走り出した。そして、エイミとララと一緒に戦っているアルドたちにその物語を伝えに行った。

 合成人間たちをやっつけ終わると、フィーネはエイミ、アルド、ララにその話をした。

⇒もっとシンプルな書き方をしないと、読み手には伝わりづらいですね。

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 フィーネはおじいさんにそう告げると、振り向かずに走り出す。

 合成人間の群れを倒し終えたアルドたちにさっそくその物語を伝えた。



 ララはうつむいて黙って話を聞いていた。そして、ララはヴァンパイアは感情を持っていなくて涙を流さないはずなのに、一人だけ、心を持ってしまったヴァンパイアの少女は涙を流した。その姿は、ちゃんと心を持っている一人の少女の背中でしかなかった。

⇒ここもシンプルにしましょう。もったいつけた書き方は、ほとんどの場合読み手に伝わりません。

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 ララはうつむき、黙って話を聞いていた。感情を持たず涙を流さないはずなのに、心を持ってしまったヴァンパイアの少女は涙を流す。ちゃんと心を持っている、一人の少女の姿でしかなかった。



そういうと、ララを抱きしめた。

⇒おそらく「エイミがララを抱きしめた」のでしょう。

 しかしすでにアルドとフィーネとエイミはララを抱きしめています。

 たとえば「ララをさらに強く抱きしめた」のならそう書くべきですね。



 未来では、ララはまだ生きていた。そして、過去と未来がつながって、アルド、フィーネ、エイミたちは今があることをうれしく思った。未来の世界でアルドたちは絆を深め合い、そして旅をした。

⇒この書き方だと、この段落の時代がわかりませんね。「今がある」とあるので最初の時代つまり現代に戻ったのか。まだ未来にいるのか。「そして旅をした。」と過去形なので、さらに現代へ戻った印象を受けます。

 また、未来で生きているララを見たわけではないですよね。であれば最初の一文は明らかに間違いです。



そういって、アルド、フィーネ、エイミ、ララの4人は手を取り合った。

⇒これは単に「そう言って4人は手を取り合った。」だけで通じますね。



仲間の絆は永遠に、次はララの秘密の先、さらなる願いがヴァンパイアの心を動かし、みんなの心を動かす。一つの小さな波紋が、やがて、大きな波紋を呼び、そして、物語は大きく動き出す!一つの物語は絆から始まる。そして、次の物語はとある愛の物語、ミグランス王朝の時代に起きた。ひとつの物語から、アルド達一行は物語を探っていく、それは一通の手紙だった。猫が首に括り付けて運んできた一通の手紙、それはフィーネが受け取った。

⇒ほとんど要りませんね。単に「ララにじゃれていた猫の一匹は首に紙をくくりつけられていた。」と書けば済む話です。



「過去の時代から。未来の時代へいるあなたたちに伝えます。ヴァンパイアの生き残りは一人だけではありません。僕は愛しています。地下の国の姫、ヴァンパイアのララという少女を、どうか未来から僕に会いに来てほしい。僕はララが消える前に伝えたいことがあります。未来にも僕はいるでしょう。しかし、未来では遅いのです。僕は、未来でララには出会えなかった。そんな過去のもう一つの願いを、どうか聞き届けてほしいのです。」

⇒句読点がおかしいのと、流れが悪い点を直します。

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「過去の時代から、未来の時代にいるあなたたちへ伝えます。ヴァンパイアの生き残りは一人ではありません。僕は愛しています。地下の国の姫、ヴァンパイアのララという少女を。どうか未来から僕に会いに来てほしい。僕はララが消える前に伝えたいことがあります。未来にも僕はいるでしょう。しかし、未来では遅いのです。僕は、未来でララに出会えなかった。そんな過去のもう一つの願いを、どうか聞き届けてほしいのです。」



その内容に、フィーネは目を丸くして、それから。すぐに、アルドたちのところへ走っていった。次に始まるのは、とある少年の初恋と、愛の物語、果たして、手紙の主の少年は何者なのか?

⇒この段落はまるまる要らないですね。削除しても意味は通じます。



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 以上が今回の添削です。


 これ以上に細かな点もあったのですが、第1話に指摘しているので、同じものは今回省きました。

 「一を聞いて十を知る」ようにならないと、文章はうまくなりませんので。


 今回の物語の評価ですが、未来の出来事をよほど伝えようとしているのか、先を急ぎすぎているようですね。

 もっとひとつひとつの出来事を丁寧に書いて、それをインターミッションでつないでいけば、よりスムーズに物語を展開できたはずです。


 あと、今作は「二次創作」なのですが、原作に寄りかかってようやく成り立っているように見受けられます。

 「二次創作」は原作がある以上、原作の改変はできません。しかし原作に寄りかかっていると、「二次創作」単体では面白みがなくなるのです。

 これから何作も書いて「小説賞・新人賞」を目指したいのであれば、「二次創作」であっても原作では描かれなかった「あるエピソード」を書いたように読ませてください。

 今作は、Simple Beat様が表現力・描写力を付ければ、もっと面白くなるはずです。

 物語のタネはよいので、それを活かせるだけのテクニックを身につけていきましょう。




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