第1話 友達を助けに行こう遥か彼方の時を戻して

 添削の開始ですが、恐ろしく長いので、時間をかけて読み込んでくださいませ。

 このくらい細かな点を指摘していきます。

 けっこう怪しい部分が多い文章なので、添削もそれだけ多くなってしまいますね。

 ひとつずつ、よく飲み込んで、自身の血肉にしてくださいませ。

 そうすれば、今よりももっと「小説らしい」文章になりますよ。


 本作は「三人称視点」で書かれていますが、短編小説では「一人称視点」が基本です。「三人称視点」だと没入する前に話が終ってしまいますからね。

 この物語を男性に読んでもらいたければ、主人公はアルドにしましょう。

 女性に読んでもらいたければ、主人公はフィーネにしてください。

 アルドかフィーネを主人公にすれば、もっと小説らしくなりますよ。


 では、下記に添削を並べます。

 前もって言いましたが、かなりの分量があります。

 原文の二倍ほどの長さです。






アナザーエデンヴァンパイアの願い


第1話 友達を助けに行こう遥か彼方の時を戻して



 最初の段落が気になります。

 短文で区切ってテンポを出そうとして、意味がとりづらくなっているのです。

 ここは長文になりますが、素直に書いたほうが伝わりますし、インパクトも出ます。

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 時をかけて伝えたかった思いがある。

 雑居ビルの隅っこで出会ったヴァンパイアが持っていた、謎の鍵から物語は始まる。アルドはヴァンパイアと出会い、その願いを聞くことになった。

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 ただ構成としてこれを最初に出してしまうと、「謎の鍵」のインパクトや「ヴァンパイアの少女の願い」が薄れてしまいかねません。

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 時をかけて伝えたかった思いがある。

 アルド達は雑居ビルの隅っこでヴァンパイアの少女と出会い、その願いを聞くことになった。

————————

 こう書くと「謎の鍵」を出さなくても「ヴァンパイアの少女の願い」に焦点が当たります。

 またここで主人公ひとりだけでなくその場にはフィーネもいるのを強調したいので「アルド達」と複数形で表記しています。



 閉じカッコの直前の句点(。)は省く決まりになっています。

 また疑問符(?)や感嘆符(!)は、通常その直後に全角スペースを入れます。

 ただし疑問符、感嘆符の直後に閉じカッコが来る場合は全角スペースを入れません。

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「そんな、君はもう消えてしまうのか? 何とか君を救う方法は無いのか?」

「私は、〜贖罪の願いを私の友達に伝えて欲しい」

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 この間違えはこのあとにも次々と出てきますので、以後、疑問符(?)や感嘆符(!)の処理には言及致しません。ご自身で考えて訂正していってくださいね。



フィーネが言った。

「何か難しそうだけど、お兄ちゃん!願いをかなえてあげましょうよ?」

⇒通常「言った。」は発言の直後に置きます。前に置く場合は現在形の「言う」にしましょう。ただ「言う」は語彙の初歩であるため、頻繁に使うと語彙が少ないと思われかねません。たとえば「口を開いた」「言葉を発した」のようなバリエーションがふさわしいですね。



ヴァンパイアの少女の願いは、自分の友達に時を超えた願いを伝えることだった。

⇒この情報は頭のほうで「お願い。私のお友達に私の思いを伝えて欲しいの。」と告げているので、二重の情報となります。できるだけシンプルに表現するべきなので、こちらの文を削除しましょう。



ヴァンパイアの少女がアルドに託したカギはすると突然あるおんぼろな建物の前で輝きだした。

⇒まず「カギ」は他の場所と表記を統一するため漢字で「鍵」と書きます。

 次に「ヴァンパイアの少女」と書かなくても、アルドに託したのは彼女なのは自明です。またここで「ヴァンパイアの少女」を主語にしてしまうと主人公が彼女になりかねません。今誰が鍵を持っているのか。アルドですよね。であればアルドを主語にしたほうが、主人公を統一しやすくなります。

 軽度な表記ミスも修正すると、次のような文になります。

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 しかし、アルドが託された鍵は、あるおんぼろな建物の前で突然輝き出した。

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 これでアルドが鍵を持っているのも伝わりますよね。

 ここで接続詞「しかし」を使うと直前の「しかし、情報は何も得られなかった。」で同じになってしまいます。そこで前の文をもうひとつ前の文と合わせて処理します。

————————

 それからアルドとフィーネは、エイミと合流してさまざまな場所をまわってみたが、情報は得られなかった。

 しかし、アルドが託された鍵は、あるおんぼろな建物の前で突然輝き出した。

————————

 こうすると、より読み手に情報が伝わりやすくなりますね。



「魔法の鍵ならもしかしたらそこのおんぼろな建物の扉が、時を超えて私たちを導いてくれるんじゃないかしら?」

⇒「おんぼろな」は近いところですでに用いているので、あえてもう一度言い直す必要がありません。また「時を超えて私たちを導いてくれるんじゃないかしら?」は、かなりの説明文であり、なぜ「時を超えて導いてくれる」という発想になったのかがわかりません。

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「もしかしたらそこの建物の扉を開くための鍵なんじゃないかしら?」

————————

 こう書くと、なぜフィーネが「時を超えて私たちを導いてくれる」と物語の情報を知っているのかが解消されます。「どんな謎でも見通せる能力者」なのであれば、添削前の会話文でもなんとかわかりはします。その場合は、たとえば「占い師のフィーネが……」と書いてあれば繋がります。



アルドは魔法の鍵を扉に使った!

⇒この一文は、コンピュータゲームの表記を彷彿とさせますね。

 その意図があるのでしたら、こう書いてもよいのですが、もし真面目なファンタジー小説として書きたい場合は、単に感嘆符を句点に置き換えましょう。



 すると、扉が開いた。そして、扉に引きずり込まれるようにしてアルド達一行は半ば強制的に扉の奥の世界へ飛ばされた。そこは見渡すと、どこもかしこも草原だった。

⇒「扉」という単語が近場で三回でてきます。ここまでの流れだと「おんぼろな建物の扉が、」「魔法の鍵を扉に使った」も含めると五回です。

 また「アドル達一行」は、複数を暗示する言葉「達」「一行」の重複なので、ここでは「一行」のみにします。

 冗長だったり重複表現だったりを整理すると次のようになります。

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 カチリと音を立てて扉が開いた。するとアルド一行は引きずり込まれるように、その奥に広がる世界へと飛ばされた。

 改めて見渡すと、そこは草原だった。

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 すると、そこにいたのは先ほどのヴァンパイアの少女だった。少女の名前はララ、そして、ブレスレットを持っていた。

⇒「すると、そこに」は直近で使っているのでできれば回避しましょう。

 また相手が自己紹介もしていないのに、少女の名前を書いてしまうと、なにかの能力者のような印象を読み手に与えます。

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 その場に佇んでいたのは、あのヴァンパイアの少女だった。ブレスレットを持っている。

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 ただし「ブレスレット」を着けているのか手に持っているのかがこれではわかりませんよね。どちらかを明確にしたほうがよいですね。

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 その場に佇んでいたのは、あのヴァンパイアの少女だった。出会ったときにはなかったブレスレットを着けている。

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 アルド達一行は首を傾げた。

「君はさっきの子じゃないか。君も時を超える能力を持っているのか?」

 アルドが訪ねると、ララは答えた。

「私はララ!ううん、私はずっとここに居たよ?お兄さんたちこそ、ココで何をしているの?ねえ、よかったら私と遊びましょう?」

⇒「達」「一行」はともに複数表現ですよね。片方に寄せます。

 「君も時を超える能力を持っているのか?」ですが、アルド一行はいつ「時を超えた」と理解したのでしょうか。たとえば「夕方が朝になっていた」とか「冬なのに夏になっていた」とか。どこで主人公たちが「時を超えた」と理解したのか。そのエピソードを書きましょう。

 ここで少女が自己紹介します。それまでは少女の名前はわからないのです。また「ここ」と「ココ」とで表記が異なりますので、表記を統一しましょう。

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 一行は首を傾げた。

「君はさっきの子じゃないか。どうしてここに?」

 アルドが尋ねると、少女は答えた。

「私はララ! ずっとここに居たよ? お兄さん達こそ、ここで何をしているの? ねえ、よかったら一緒に遊びましょう?」

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 漢字は「尋ねる」が正しいです。「達」の字が統一されていないので、他で用いられている漢字に統一しました。



 それから、みんなで追いかけっこをして遊んだ。ララはすばしこくて、なかなか捕まえられない。エイミが一番追いかけた。アルドはなかなか楽しい時間だと思っていた。フィーネもアルドやエイミと一緒遊んだ。最後に、ララは話しかけてきた。

⇒フィーネとエイミが「うん、遊ぼう!」と言っているのですから、「フィーネもアルドやエイミと一緒に遊んだ。」は当たり前の情報ですよね。それでもフィーネも出したいのであれば、少し変えてみましょう。

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 それから、みんなで追いかけっこをした。

 ララはすばしこくて、なかなか捕まえられない。結局エイミが一番追いかけていた。アルドはなかなか楽しい時間だと思った。フィーネは心底楽しんだ。

 最後に、ララが話しかけてきた。

————————

 くらいであれば多少表現はよくなります。



それから、魔法の鍵がまた輝きだし今度は、アルドたちは見たことないきれいな月夜の小さなテラスにいた。そこにいたのは、長い髪をポニーテールに束ねた女の子だった。その子は突然言った。

⇒まず「見たことない」がどこにかかっているのかがわかりません。テラスを見たことがないのか、月夜を見たことがないのか。ここではとくに必要もなさそうなので削ってみました。

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 魔法の鍵が再び輝きだし、今度はきれいな月夜の小さなテラスに変わった。そこにはポニーテールの少女がいた。その子が突然口にした。

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 その子は突然言った。

「きれいなお月さま。今日もここでお茶会しましょうよ?」

 エイミが言った。

「確かにきれいな月だね。ここはどこなのだろう?」

⇒エイミは前の会話文と後ろの会話文のどちらを言ったのでしょうか。

 その前に「その子は突然言った。」があるため、おそらく前の文はポニーテールの子の言葉、後ろの文はエイミの言葉なのでしょう。

 近くに「言う」が二回出てくるので、混同しやすくなっています。

 ここは少女の問いに、エイミが答える形だと思いますので、「エイミが答えた。」と書きましょう。

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「きれいなお月さま。今日もここでお茶会しましょうよ?」

 エイミが答える。

「確かにきれいな月だね。ここはどこなのだろう?」

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 ちょっと気になったのですが、エイミは男性でしょうか、女性でしょうか。

 この会話文を読むと男性に見えてきます。ただエイミは基本的に女性名なので、女性だと思って読んできました。

 この男性口調を話す人物が女性なら、どこかが男っぽいはずです。であれば、ここまでのどこかで「エイミは男っぽいところがある。○○が××で……」のように書いておけば、あぁエイミって女性なのに男性口調なんだな、と読み手は理解しますよ。

 もし男性なのであれば、「エイミは男性」という情報を書いておきましょう。初登場したところで男性とわかるようにするべきですね。



 それから、アルド、フィーネ、エイミはお茶会をした。

⇒お茶会にポニーテールの少女は参加していないのでしょうか。

 もし参加しているのなら「それから四人でお茶会をした。」と書くべきでしょう。



 そして、フィーネが言った。

「ねえ、この鍵のことについて何か知らない?私たち、この鍵の持ち主を探してるの!」

 アルドも言った。

「そうなんだ。見知らぬ少女に頼まれたんだ。自分の伝えたい願いを伝えて欲しいと、この鍵はひょっとして、君のものか?」

⇒ここで「言う」が二回出てきますね。ここを進むと「答えた」「聞いた」が出てくるため、単に語彙選びを省いてしまったのでしょうか。

 たとえば次のように改めます。

————————

 そして、フィーネが尋ねた。

「ねえ、この鍵のことについて何か知らない? 私たち、この鍵の持ち主を探してるの」

 アルドが後を継ぐ。

「見知らぬ少女に頼まれたんだ。自分の願いを伝えて欲しいと。この鍵はひょっとして君のものか?」

————————

 会話文を読んでいると、アルドはぶっきらぼうなところがあるのかなと感じました。

 会話文だけで性格を書き分けるのはかなり難しいので、地の文でも補強していきましょう。



「アニーごめんなさい。あなたの国を焼いてみるも無残な姿に変えたのは、私なの、あなたは私が放った炎に飲まれて消えてしまった。あなたは、私の初めてできた友達だったのに!本当にごめんなさい。私が過去に戻れるなら、あなたを救いたいと思った。これは、私の贖罪なの。どうか、私の願いを聞いてくれる人がいるならお願いします。私の友達の国を救ってほしい。私の破壊の魔の手から」

⇒「見るも無残な」ですね。ひらがなで書くと「焼いてみる」という試す意になりやすいので注意してください。

 また「私の破壊の魔の手から」は助詞「の」が三連続するため、意味がとりづらくなっています。ひとつ削っても文脈で意味は通じるので「破壊の魔の手から」「私の魔の手から」のいずれかにしましょう。また文を少しいじります。

————————

「アニーごめんなさい。あなたの国を焼いて、見るも無残な姿に変えたのは、私なの。あなたは私が放った炎に飲まれて消えてしまった。あなたは、私の初めてできた友達だったのに! 本当にごめんなさい。私が過去に戻れるなら、あなたを救いたいと思った。これは、私の贖罪なの。どうか、私の願いを聞いてくれる人がいるならお願いします。私の友達の国を救ってほしい。破壊の魔の手から」

————————

 会話文はあまり直さないほうなのですが、ちょっと直しただけでわかりやすくなったはずです。



 そうして、また鍵が輝きだしてアルド達一行は、また見知らぬ場所に飛ばされた。

 そして、次は破れた手紙が見つかった。

⇒「達」「一行」の重複表現はすでにおわかりだと思いますので、ここは「三たび鍵が輝きだして一行は、」にしましょう。

 続く文はあまりにも唐突です。どこに手紙があったのか。地面に落ちていたのか。地面と書いてみましたけど、ここが屋外なのか屋内なのか、晴れているのか曇っているのか雨が降っているのか、昼なのか夜なのかなど。情報が完全に欠如しています。

 まずどんな状況にやってきたのか。そこのどこで破れた手紙を見つけたのか。

 順序を明らかにして書き進めていってください。



それを見たアルドは言った。

するとフィーネが言った。

エイミが言った。

⇒ここは「言う」が三連続で出てきます。

 試しに置き換えてみます。

————————

それを見たアルドは口を開いた。

するとフィーネが語った。

何かを思いついたエイミが提案する。

————————

 こうすると「言う」を使わずに書き分けられますよね。

 これ以降でも「言う」をそのまま用いている箇所がありますので、自力で語彙を選んでみてください。自分で考えないかぎり語彙は身につきませんからね。

 以後「言う」の重複は指摘しませんので。



 すると、宿屋にララの姿は無く、外には炎を放つ銀色の髪をしたヴァンパイアが暴れて街を攻撃していた。

 そして、アルドたちは力を合わせて戦うことにした。

 ヴァンパイアは炎を放ってくるので、魔法で水の壁を作り炎の威力を弱めた。そしてフィーネやエイミも頑張って攻撃して、ヴァンパイアを倒そうとした。しかし、ヴァンパイアは突然力を失うと、魔法が解けてその場に倒れていたのは何とララだった!

⇒ここは流れが不自然ですね。

 まず事態の流れを明確にして、それを順に書き上げていきましょう。

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 宿屋にララの姿は無く、外では銀色の髪をしたヴァンパイアが炎を放って暴れていた。

 炎を放つので、魔法で水の壁を作り炎の威力を弱めた。フィーネやエイミも頑張って攻撃して、ヴァンパイアを倒そうと奮闘する。

 突然ヴァンパイアは力を失い、その場に倒れる。倒れた姿を見ていると、それはララだった。

————————

 書く必要のないものは省いて、流れを意識してリライトしてみました。

 あと気になったのですが、アルドは魔法使いで、フィーネとエイミが近接戦闘要員なのでしょうか。そのあたりの説明がいっさいなかったので、役割分担がよくわかりませんでした。

 そこを意識して再リライトしてみてください。



 ララが目覚めるのを待ちながら、一行は考えていた。ララはどうして、ヴァンパイアの姿になり暴れてしまうのだろうかと、もともとララはヴァンパイアだけど、無害なはずだった。

⇒ここは改行を入れたほうがわかりやすくなります。

————————

 ララが目覚めるのを待ちながら、一行は考えた。

 ララはどうして、ヴァンパイアの姿になり暴れてしまうのだろうかと。

 もともとララはヴァンパイアだけど、無害なはずだった。



「ララはお兄ちゃんに鍵を渡した理由!それは、自分の起こしてしまった悲劇を伝えるため。それから、過去の過ちを変えるため!」

⇒ここは「ララがお兄ちゃんに〜」がよいですね。



「私の家族が合成人間の反乱でいなくなったように、アニーにも国があってそこで、葉っぱの国は焼かれてしまったんだ」

⇒ここは以下かなと思います。

————————

「私の家族が合成人間の反乱でいなくなったように、アニーの葉っぱの国は焼かれてしまったんだ」



ララにエイミが全力でこぶしで攻撃して、そして、アルドも剣で攻撃する。フィーネは魔法で防御力を高めた。そして、フィーネが持っていた鍵を見て、ヴァンパイア化したララは言った。

⇒ここで戦い方の疑問がひとつ解けました。

 魔法使いはフィーネで、エイミが格闘要員、アルドが剣による近接戦闘要員ですね。この情報は現代でララが暴れているときに書いておくべきです。

 また、鍵はアルドが託されたはずなのになぜかフィーネが持っていますね。これまではアルドが持っていたので、ここも描写が必要な部分です。



ヴァンパイアと化したララは炎を吐きながら、以前にもまして強く攻撃してきた!

⇒「以前にも増して強く攻撃してきた」ですね。



「くそ、どうやったら。ララを元に戻せるんだ!」

 すると、アルドが持っていたララからもらった赤いブレスレットが光った!そして、ヴァンパイアの手首にそれが治まると、ララは元の姿に戻った。ララは息も絶え絶えに、倒れていた。

⇒まず読点にするべきところが句点になっています。

 また「収まると」が「治まると」になっています。

 情景が浮かんでこない文章なので、順序を考えながらリライトしてみます。

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「くそ、どうやったら、ララを元に戻せるんだ!」

 すると、アルドが持っていた以前のララからもらった赤いブレスレットが光って飛んでいく。ヴァンパイアの手首に収まると、ララは元の姿に戻って息も絶え絶えに倒れ込んだ。



 ララのことをフィーネ、アルド、エイミは魔法の鍵で封印した。

⇒この文は蛇足ですね。実際に「魔法の鍵で封印」するのはこれから先です。その前に「封印した」と書けば読み手が「どうやって?」となります。

 なにせこの時代に来たのも鍵の力によるのですから。



 ララは伸びをすると、フィーネから鍵を受け取った。

「はい。あなたのものでしょ?」

 するとララは言った。

「そのカギはあなたたちにあげます。私は地下の国の姫ヴァンパイアの種族の生き残り、私はこれから。消えてしまうから」

⇒ララがフィーネから鍵を受け取ったのに、そのあとに「はい、あなたのものでしょ?」では順序が逆です。

 あと「姫ヴァンパイア」という種族がいるのでしょうか。ヴァンパイアの姫という意味でしょうか。

 あとは読点と句点があべこべです。

————————

 ララが伸びをすると、フィーネは鍵を差し出した。

「はい。あなたのものでしょ?」

「その鍵はあなたたちにあげます。私は地下の国に住む姫ヴァンパイアの生き残り。私はこれから、消えてしまうから」

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 なにかSimple Beat様の意図とは違うような気もしますが、今わかっている情報からはこのくらいしか訂正できませんね。



 ララは一人で裸足で、黒いフリルのドレスを着ていて、小さな銀髪赤目の少女の姿で、フィーネを見つめた。

⇒そもそもララは一人なので、あえて「一人で」と書く必要はありません。

 あとは文型を整えます。

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 ララは裸足に黒いフリルのドレスを着て、銀髪赤目の小さな少女の姿で、フィーネを見つめた。



「ねえ。ララ、ララが暴れちゃう理由は話したくなかったら。話さなくてもいいけれど、私たちと一緒にしばらく旅をしない?」

⇒ここも読点と句点がバラバラですね。

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「ねえ、ララ。ララが暴れちゃう理由は、話したくなかったら話さなくてもいいけれど。私たちと一緒にしばらく旅をしない?」



 ヴァンパイアのララもアルド達一行に加わり、こうしてヴァンパイアの少女は初めて独りぼっちではなくなった。

⇒「アルド一行」ですね。あと「初めて独りぼっちではなくなった。」ですが、少なくともアニーとは友達だったのですから「初めて」ではないように感じます。

————————

 ヴァンパイアのララもアルド一行に加わり、少女は独りぼっちではなくなった。



 アルド、フィーネ、エイミ、ララはこうして、仲間になり冒険をすることになった。

 しかしそれは、ララのさらなる秘密を解き明かすまでの、旅の始まりの序章でしかなかった。アルドたちは、またまたララの秘密に近づいていく、それはかつてない世界の秘密を知る旅路だった。

⇒アルド、フィーネ、エイミはすでに「アルド一行」なわけですから、この三名はリストから外します。

 「始まりの」「序章」は同じ意味合いなので重複表現です。「旅の始まりでしかなかった」「旅の序章でしかなかった」のいずれかですね。

 他にも不自然なところがあるので、まとめて修正してみます。

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 それは、ララのさらなる秘密を解き明かすまでの、旅の序章でしかなかった。アルド達は、ララの秘密に近づいていく。それはかつてない、世界の秘密を知る旅路だった。






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 と、添削だけでとんでもない分量ですね。

 それだけ文章が粗かったわけですが。


 文章評価は、正直に言って褒められるレベルではありません。

 もっと状況を書くべきですし、順序立てて文を構築していけば、もっと読み手に伝わりやすくなるはずです。


 構成評価も下です。

 場面を切り替えているのに、場面転換した先の状況が書けていません。

 もっと場面を意識して、切り替わったらその先の状況を最初から構築していくようにしてください。

 それだけでもわかりやすい構成になるはずです。


 物語評価ですが、こちらは単純ながらも面白くなりそうなタネがありますね。

 このタネをどこまで膨らませていけるか、がこれからの物語評価を左右します。

 分量的には二万字程度の短編小説ですので、単純な物語のほうが読み応えもありますからね。




 また時間を見つけて、添削と評価をしていきますね。

 一回の投稿がかなり長いので、一度にできる分量ではありませんでした。

 今日はお昼から今まで、添削し続けてようやく完成したくらいですので。

 では、後日をお持ちくださいませ。




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