地下鉄に揺られて

仕事帰りの地下鉄。

席が空いてきたら僕は座って毎日することがある。


カタンコトンと規則正しい揺れを心地よく感じながら、僕は遠く離れた家にいる妻と子供たちのことを想う。


僕が単身赴任になって二年が経っていた。


年に何度かは帰れるが、その度に子供の成長には驚かされる。自分の知らない子供の成長にちょっと寂しさも覚える。




僕は毎日単身赴任先の社宅へ一人で帰り、真っ暗な部屋に電気を灯して、近くのコンビニで買ったお弁当を食べるのだ。そんな時、孤独にめげそうになる。


だから、帰りの地下鉄で、息子はどのくらい大きくなったかな、とか、妻はおしゃまさんな娘とうまくやってるかなとか、とにかく家族のことを思い出すようにしてるのだ。

僕はその愛する家族のためだから、頑張れる。そう思える。


すると、いつの間にか幸せな気分になって、電車の揺れの気持ち良さもあり、僕はいつも眠ってしまう。見る夢は家族みんなでアトラクション遊園地に行ったり、バーベキューをしたり、とにかく楽しい夢だ。


「お客さん、終点ですよ?」

「あ、すみません」

終点といっても降りる三駅後ろなので、僕は欠伸をしながらホームを反対に回ってもう一度地下鉄で社宅の最寄の駅で降りて帰る。



今度家族のもとに帰るのは来週だったはず。

まずあと一週間頑張ろう。



                         了

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