原作から剥離してるんですが！(1/12更新)

逢瀬

　ぼんやりと闇に溶けたシルエットの中、長い髪が揺れて黒く塗り潰されているのに笑っていると認識できた。愛しきゴーストが少女に近づく。逃げられぬように伸し掛かり、親が子供にするように柔らかく抱きしめ、口付けの前にお決まりの台詞を呟くのだ。

　少女は薄く瞼を開いて、小さな唇を微笑ませる。絹糸のような癖のない髪の感触が頬を滑る、それすらおぞましくて、恋しいと思いながら、魔王の星は実体のない唇を受け入れようと口を開け舌を伸ばした。