勇者の恋

 どうして好きになったのかなんて、至極単純な理由だった。

 自分を王子でも勇者としてでもなく、一人の男として接してくれたから。


「やっと会えたね」


 僕の乙女スピカ。本当は髪も瞳も真っ黒なんだね、綺麗だよ。人々に眠りを授ける夜の色。どうして君を浚ったドラゴンの影に隠れてしまうの。

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