第18話 初心者狩り ◆オンライン◆
俺達は格上のプレイヤー達に取り囲まれていた。
彼らはニヤニヤしながら俺達のことを値踏みするように見回している。
どうやら、こちらのステータスを探っているらしい。
このゲームでは相手に許可を得ないと全てのステータスを閲覧することは出来ない仕様になっているが、名前とレベル、そして職業などの基本情報は誰でも見られるようになっている。
「レベル11の
金髪頭の
すると、仲間の
「やっぱり、
「ははっ、言えてる」
二人は揃って冷笑した。
――やはり、こいつら初心者狩りだ。
丁度、俺達くらいのレベルの人間が狩りをしていそうな場所に張り込み、獲物がやって来たところでPvPを仕掛ける。そういう手口だろう。
彼らのレベルは
レベルこそ俺達より低いが、そこは二次職だ。
一次職のステータスを引き継いでいるので、基本ステータスは一次職の同レベルより高い。
とはいえ、クラスチェンジすると再びレベル1からになるので、早くレベルを上げたいという衝動に駆られる。
そんな時、確実に格下だと分かり、少ないながらも経験値もそこそこ入り、運が良ければ金や良いアイテムが奪えたりする。そんな方法があったらどうだろう?
ステータスを覗けばレベルは分かるが、相手に通知が出てしまうので近付く前に警戒されてしまう。
そこで、このやり口だ。
俺達のレベル帯のプレイヤーは、ほとんどが初期装備に身を包んでいる。
そういった装備のプレイヤーだけを選んでPvPを仕掛ければ、ほぼ返り討ちに遭う心配はない。
クラスチェンジしたばかりのプレイヤーが、二次職のレベルを安全に上げるには効率の良い方法と言えるだろう。
だが、こういった行為は大体に於いてプレイヤー達の間で嫌われる。
敢えて悪役を貫き通すことが出来るのも仮想世界の醍醐味でもあるが、ここまで来ると迷惑行為と紙一重だ。
「そんな事より早くやらせてくれよぉ! 俺がエルフの方だからな! 女キャラが苦痛に顔を歪ませる姿が大好物なんだよぉぉ!」
「出た出た! こいつのヤベぇ性癖が!」
これにユーノは敏感に反応して、怯えた顔で俺の傍に身を寄せてきた。
「つー訳だから、申し訳無いが俺達の糧になって死んでくれ」
――まさか、こんな所でPvPをやる羽目になるとはな……。
だが、レベルでは劣っているとはいえ、ステータスは圧倒的に勝っているはずだ。
今の俺なら、簡単にねじ伏せることが出来るはず。
俺は持っていた杖を体前で構えた。
「防御の構えだと? ははっ、物理防御力が紙みたいな
次の瞬間、
ガキンッ
金属同士がぶつかり合うような音が鳴り響いた。
「な……んだと!?」
騎士は眼前で起きた出来事に瞠目していた。
身幅のある
「馬鹿な……こんな事あるわけが……」
――思った通り、衝撃すら感じないぞ。
物理防御力225って、レベルにしたらどれくらいで到達するレベルなんだろうか?
二次職の
じゃあ、こっちはどうだろう?
俺は杖を持っていない方の手で拳を握ると、すかさずそれを
「あがぁぁぁっ!?」
途端、
その直後、コンソール上に、
[アーマーブレイク!]
の文字が浮かび上がった。
どうやら装備を破壊してしまったらしい。
しかも
魔法を使わず、拳だけでそこまで追い込んでしまっていた。
「な、ななな、なんだ……!? お、お前っ……本当に
目の前で起こった出来事に
「レベルを偽ってる……?? いや、そんな事は有り得ねえ……。じゃあ、なんで……??」
彼はブツブツと独り言を呟いている。
だが、すぐに我に返った。
「そうだ……物理攻防を上げる特殊なアイテムを使ったに違いない……。カタカタの実の亜種みたいなのもあるらしいしな……ならば――」
「俺の呪術で葬ってやろうじゃねえか!」
彼は杖を構えると、呪術の詠唱に入った。
その長さから、かなり強力な魔法攻撃のようだ。
――それなら、こっちもやらせてもらおうか。
「鈍化!」
俺はスキルを使った。
途端、
「な……これは……鈍化スキルか……? だが、この重さ……レベル7が使う鈍化のレベルじゃねえ……!」
レベル3の鈍化だ。
知識と敏捷が30%も下がっているはず。
呪術が発動するまでには相当な時間が掛かるだろう。
さて、奴がのんびりやっているうちに決めてしまおう。
俺は再び杖を構えると魔法を唱える。
「ヘルファイア!」
「……!?」
地面を這うように噴き上がる紅蓮の炎。
周囲にある森の緑が、一瞬にしてオレンジ色に染め上がる。
その光景に
「ヘルファイア……だと!? それは
彼は全てを言い切る前に、転がっていた
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