給与は三級戦功章と同じ


 息も絶え絶えに訴えたお願いとは……

 ラレの者どもに、新しい土地を……


「ベッドの後で執政官を交えて考えましょう」


「もう♪サムラート様ったら、激しいのですから♪処女だったのに、あんなに恥ずかしい声を上げさせるなんて♪」

 やはり豹変しています。


 アニラさんも息も絶え絶えでしたが、

「シュルティの願いをかなえてやっていただけませんか」

 なんて、部下の為に懇願しています。


「アニラさん、いい人ね♪」


 この後、スジャータ執政官とパールヴァティさんも呼ばれ、四者で話をします。


「新しい土地ですか……」

「シュルティさん、山岳地帯でなくてもいいの?」


「もともと先祖の領地は山岳地帯ではなかったので……」


「ねぇ、ラレはガンダーラ諸島全域の王家だったのでしょう?小さいながら、どこかの島なんてどうかしら?」

「島ですか……」 

「旧カンボージャ王国領のカバラティ諸島なんてどう?先の戦争で艦隊集結地にした場所だけど」

「カバラティ諸島ですか……いいですね……執政官府の直轄領として、ラレ家に自治をゆだねる……」 


「このあたりでどうかしら?執政官も同意しているし?」

「私は同意します、あとは皆の意見を聞いて返事してはいけませんか?」


 ここでパールヴァティさんが、

「一言いっときますが、シュルティさんはもうお手がついていますので、たとえラレの民が拒否したとしても、シュルティさんはジャーリア、ラレの籍には戻れませんよ」

「わかっています、独立歩兵第一大隊の転籍を承諾したものも、ラレの籍には戻れないと伝えます」


 こうして独立歩兵第一大隊の転籍案は決まったのです。

 あとは関係者が同意するかですが……


 独立歩兵第一大隊でシュルティさんが説明しています。


「では、我々は執政官府直属の部隊となるのですか?」

「そうなります、私はラレの籍を離れました、転籍すれば皆もラレの籍を離れることになります」


「ではラレの民は誰が守るのですか?」

「ラレの民が領地替えに同意すれば、執政官府直属領ですので、転籍した我らが守ることになります」

「残った者はラクシュミーの民となりますので、婦人戦闘団が守ることになるでしょう」


「我らの待遇はどうなるのでしょうか?」

「ジャーリアとなり、末女の資格がいただける、給与は三級戦功章と同じとなる、他の婦人戦闘団に転属しても、現在の給与に五級戦功章が加算される」

 

 ここで、ざわざわとしてきました。

「ジャーリアとおっしゃいましたが、サムラート様に直接お仕えするわけですか?」

「そうなる、ジャーリアの一般女官となる」


「サムラート様のご寵愛をいただけるのではないのですか!」

「ご寵愛いただくためには、一般女官から昇進したとき、侍女を選択できる、その侍女になり、累進していけば、ご寵愛も夢ではない」


「つかぬことを聞きますが、隊長はラレの籍を離れたとおっしゃっておられましたが、サムラート様のご寵愛はいただけたのですか?」


「……その……処女をささげた……」

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