ラレの島は南国パラダイス


 ここら辺から女子トークの雰囲気が漂い始めます。


「隊長はお綺麗になったようですが、その……女になったからですか!」

「隊長は感じたのですか?」

「どんな感じでしたか?」

「サムラート様はどのような方なのですか?」

「閨はお上手でしたか?」

「初めての時、どうするのですか?」


 などなど……


 閨の事を事細かく聞かれたシュルティさん、最後にこう言ったのです。


「サムラート様は大変お上手で、私の体は骨抜きにされました!」

「いつもいつもあの時をおもうと、恥ずかしいことになります!」


「皆も私と同じ『変態』になって、一緒に『夜伽』をしたいと、考えています!」


 きゃー、なんて声が隊舎に響いたようです。


 独立歩兵第一大隊は一人もかけることなく、執政官府に所属することに決まったのです。


 隊舎の壁に独立歩兵第一大隊のモットーなるものが掲げられました。


 『めざせ、無敵の夜の兵士!』


 さて、ラレの民はどうなったか?

 何の問題もなく領地替えに同意したようです。


 カバラティ諸島に全領民がお引越し、何の問題もありません。


 カバラティ諸島は巨大なサンゴ礁に囲まれた島で、天然の良港に恵まれています。

 その上に、火山島で山岳地帯もあるのです。

 死火山ですけどね。


 でも、温泉もあったのですね。


 結果的には南国パラダイスといっていい島でした。


 タロイモは豊富にあり、穀物としてジャバニカ種が育ちます。

 執政官府というより、ヴィーナスさんが畑や水田を整備してくれ、食料も困らないのです。


 このことにより、ラレの民はサムラートをとても崇拝するようになり、こんな社会風習が定着してしまったのです。


 なんでも初めてサムラートの女になった、シュルティ・ラージャ・ラクシュミー・ラレは全裸になり、サムラートの右足の甲を両手で触りながら、

「シュルティ・ラージャ・ラクシュミー・ラレの全てを捧げます、どうか、お受け取りください」

 といって、湯舟の謁見に臨み、女になった……

 

 といった故事にならい、


 六歳になり四年制の初級小学校に入学するとき、入学式では全員でお風呂に入り、いわゆる土下座体制で両手を前に出し、以下の言葉を発するそうです。


「私は全てを捧げます、どうか、お受け取りください」


 そして全員で次の言葉を唱和するそうです。


「私はいついかなる場合でも、サムラート様をお慰めする覚悟はできております」


 アプサラス・レディス・スクールでも、このような誓いを述べますが、どうやらこのあたりが元のようです。


 とにかく、シュルティ・ラージャ・ラクシュミー・ラレはカバラティ諸島の人々にとっては、憧れの女となっており、独立歩兵第一大隊に入隊するのは、カバラティ諸島の少女にとってなりたい職業のトップのようです。


 FIN

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