ウッジャイン攻防戦


「……ヘリコプターで降下するのは先ほどもいいましたが、犠牲が大きくなります……だからグライダーで強行突入……いや、やはりそれなりに広場がいりますし……」


「突入前にそのあたりを集中的に砲撃して、一時的に黙らせれば降下は可能か?」

「そうですね……ウッジャイン全域に砲撃を実行し、徐々に港湾側に移し、敵に港湾側から揚陸戦部隊が強襲をかけると思わせて、そのすきに強行着陸すれば……ただヘリコプターは廃棄になりますが……」


「なるほど……」


「独立歩兵第一大隊は降下後、万難を排して敵司令部を強襲、さすれば敵の指揮系統は乱れるはず、あとはお願いします」


 この案が採用されたのですが、執政官府から提案がありました。


「USー3の使用を認め、独立歩兵第一大隊の搭乗を勧める」

「執政官府がUSー3に乗せてくれるそうだ、しかも敵司令部の近くにおろしてくれるという」

 USー3に搭乗できるということで、独立歩兵第一大隊の士気はあがったようです。


 さて、当日、といってもやはり夜間です。

 夜明け前の黎明強襲となりました。


 海上婦人戦闘団の艦艇から砲撃が始まります。

 王都はさらに瓦礫にまみれます。

 その後、砲撃は港湾側に、そして揚陸戦部隊が上陸をはじめました。


「さて、我らの出番である!」

 USー3はあっという間に、降下地点に、搭載のビーム砲が周囲を制圧してくれています。


 独立歩兵第一大隊は目的の敵司令部に突入、白兵戦となりましたが、これを制圧したのです。

「ご苦労、独立歩兵第一大隊は今少し、その場所を死守してくれ!」


 その後、シュルティ指揮下の独立歩兵第一大隊は孤軍奮闘します。

 なんせ敵中に孤立した状態、敵司令部の応急陣地を利用して、応戦しているのです。

 四式自動小銃と三式軽機関銃が威力を発揮しています。


 重砲などはなく、手持ちの八九式重擲弾筒を打ちまくり、何とか持ち込んだ、らく号一式三十七粍砲と九二式歩兵砲で敵の火力に対抗しているようです。


「降伏などありえんぞ!男どもに一泡吹かせてやれ!」

 

 ウッジャイン中心部に立てこもって、敵の背後から九二式歩兵砲などを乱射する独立歩兵第一大隊。

 この結果、まず港湾方面が味方の揚陸戦部隊により突破され、徐々に抵抗が小さくなりはじめます。

 次に瓦礫となった城壁内側に、防御陣地を築き、市街を死守していた防衛部隊の一角が崩れ、そこから機械化旅団が突入、ついに市街戦が始まったのです。


 それから半日、戦闘を続けた独立歩兵第一大隊にも、ついに味方の機械化歩兵の増援がやってきたのです。


「やれやれ、もう弾薬がなくなりそうだった……もうすぐ大隊を率いて、最後の突撃をするところだった……」 


 最後の防衛拠点でもあったウッジャインは陥落、アヴァンティ王は自決し、王国は無条件降伏したのです。


 この後、独立歩兵第一大隊は戦うことなく、マハラバードへ凱旋したのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る