たびたびご機嫌伺に


 期限内にフント租界にもどり、ラージマータとカマラさんにご挨拶なんて……


「ご両親のお墓には参れましたか?」

「おかげさまで心置きなく別れを言ってきました」


「そちらは?」

「姪のカンガナです、売られそうでしたので私が買いました」


「そう……ところで、マハラバードへ戻るの?」

「はい」

「姪御さんをつれて?」

「そのことについて、お願いがあるのですが……」

「わかりました」


「まだなにも……」

「姪御さんのことは私に任せなさい」

 

 カマラさんはそういうと、

「カンガナさんといったわね、お願いがあるのだけど、聞いてくれるかしら?」

 カンガナさん、カーンティさんを見ています、そしてカーンティさんが頷くと、


「私でできる事なら……」

「賢い子ね、お願いというのは、ここにいる母のメイドとして働いてくれない?ララさんという方がおられるけど、もう一人、雇いたかったのよ」

「お願いします!私は料理も裁縫も半人前ですが、一生懸命に働きます!」


 結局、ララさんの叔母も、カーンティの姪も、カマラさんのご厄介になったわけですが、カーンティはこの後、たびたびラージマータにご機嫌伺にやってくるようになりました。


 内心はラージマータを母のように、カマラさんを姉のように慕っているのです。

 そして姪のカンガナさんは妹のように……


「カンガナ!ラージマータ様にご迷惑をかけてないでしょうね!ララ様のお言いつけを守っているでしょうね!」

 それはガミガミと注意するようになりました。


「大丈夫です!」

「そお、それならお菓子を買ってきたの♪仕事が終わったら食べましょうね♪」

 クッキーのようですね。

「あら、私にはないの?」

「ラージマータ様とララ様には、こちらをお持ちしました」


 豪華な高級菓子、バームクーヘンのようです。

 

「そんなに気を使わなくてもいいのよ、ではね、そちらのクッキーとこのバウムクーヘンで、お茶にしましょうね」

 ラージマータがそのようにいいますと、ララさんの叔母さんが、

「私がお茶でも入れましょう」

 といって台所へ……


「カンガナ!お手伝いをしなさい!」

「そうね、わかったわ!」


 でも、そのあと、仲良くお茶などした五人……いや、六人になったのです。

 カマラさんがフルーツ・ケーキをもってやってきたからです。


 結構和気あいあいと、お茶をしていた六人でした。

 そうそう、 カンガナもなんとか采女になり、そののちに格子にまでなりました。


 FIN

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