名物料理の食べ方


 この後、ヴィーナスさんといろいろお話した三名。


「そう、あのスパゲッティ、フロッグの名物料理なのね」

「サムラート様はお食べになったことがありますか?」

「登山鉄道の売り子さんから買ったことがありますよ、そう口に合わなかったのね」

「私たち、一口食べて、あまりの香辛料にへこたれました!」


 ヴィーナスさん、声を上げて笑いました。

「確かにそうね、でもあれよりもっとひどいものもあるのですよ、『担々麺』といってね、一口食べたら口から火が出るわよ、しばらく口が痛いのよね」


 でも、ヴィーナスさん、このフロッグ・スパゲッティの再調理の仕方なんて教えています。


「まず、かかっているソースみたいなものを取り分けるのよ、そしてね、そのソースはカタクリと醤油あたりでのべておくの」

「次に卵で大きなプレーンオムレツを作り、温かく白いご飯の上にかけるのよ」

「麺のほうは野菜と麺も増量、ケチャップあたりでいためればいいわ」

「作ってあげましょうか?あら嫌だ、肝心のフロッグ・スパゲッティがないわね」


「一人前ならありますが」

 チャンドラさんが声を掛けます。


 で皆でお風呂から上がり、ヴィーナスさんが一人前のフロッグ・スパゲッティから、三人前ほど作ったのです。


「ごめんなさいね、少ししかないわね、一人当たり半人前というところね」

 そういいながら、小さいお茶碗に天津飯もどきが六つ、小皿にナポリタン・スパゲッティが六つ、テーブルに並べたヴィーナスさんです。


「美味しそうです♪」


「まあね、食べてみてね」


 わいわいとヴィーナスさんも交じって、六人で食べたようです。

 その後、ヴィーナスさん自身が車を運転し、三人を寮まで送ってくれたのです。


 寮では大変な騒ぎとなりました。

 自分たちが将来仕えることになるご主人、サムラート様がやってきたわけですからね……


 結局、ここでもヴィーナスさんは夕食を食べていきました。

 そして大量のお菓子なんてのも、置いていったのです。


 なんでも、いまヴィーナスさん的にはブームである、『キッ●カット』なるチョコレートです。

 一人五箱あたりはありました。


「サムラート様って、女神さまとしか思えないわね」

「貴女、馬鹿ね、本物の女神さまよ♪」

 

 生徒さんたち、もう心はヴィーナスさんのジャーリアになり、お側近くで仕える未来を思うばかり。


「私、必ずジャーリアになり、ご寵愛をいただくわ!」

「私も!」

 生徒さんたち、口々に言っています。


「ねぇ、皆も誓っているけど、私たちも負けられませんね!」

「そうよ、私、叔母様にも負けません、必ず閨に呼ばれるように、女を磨くわ!」

 ラーニーはヴィーナスさんに会い、決意を新たにしたようです。


「それにね、私たちはサムラート様に裸をお見せしたのよ!皆より一歩先んじているのよ!」

「でも、私はラーニーやウルミラと閨で争いたくないわ……」

「大丈夫よ、スマン様から聞いたことがあるわ、ジャーリアは閨を共有することができるようよ、私たち三人、サムラート様との閨を共にしない?」


「それはいいわね、三人公平よ!」

「同盟ね、いいわよ、誓うわ!」

 こうして、三人の『閨同盟』は誓約されたようです。

 

 いついつまでも仲良くね……

 

「そういえばランチ、どうしましょう……」

「こっそりと夜食にしましょう♪」

「悪いことも共にね……」


 この後、ラーニー、ソミー、ウルミラの密かな『閨同盟』はいついつまでも続くことになったのです。


 FIN

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