空挺強襲作戦


 そして夜明け前、一寸先もわからないほどの夜霧につつまれたのです。

 八機のフォッケ・アハゲリスFa223は飛び立ちました。

 オートパイロットは見事に敵の司令部上空に導きました。


 「閣下、目的地上空です、ご指示願います!」

 敵の兵士がヘリの爆音で飛び出してきます。

 「ヘリは敵を銃撃せよ!」

 そして朝日が昇り始めたのです。

 ヘリの銃撃は絶大な効果を上げています。


 「作戦通り、降下せよ!」

 第一中隊の兵士が無事降下をすませ、敵司令部直属部隊と銃撃戦を開始しています。

 

 「当機は広場に強硬着陸する!」

 アニラのヘリが広場に強硬着陸、唯一の道を封鎖したのです。


 「諸君は敵の増援がきたら、搭載の重機でできるだけ阻止してくれ」


 アニラが飛び出ると、いわゆるヴィーナスの加護がかかったのか、敵の銃弾が届かないのです。

 「第一小隊は集まれ!」

 味方はアニラの加護の範囲に集まります。

 戦闘は一方的になり始めました。

 その後、散発的な敵の抵抗も弱まり、あけっけなく敵司令部を制圧したのです。


 着陸したヘリ以外は一旦戻り、今度は山砲を運んできました。

 75ミリの九四式山砲と105ミリの九九式十糎山砲です。

 試製三式軽機関銃も運び込んでいます。


 夜が明け、霧が晴れ、敵の山砲陣地が眼下に見えます。

 

 「山砲でも十分届くな、敵陣地を砲撃せよ!」

 敵の山砲陣地を砲撃、空からはフォッケ・アハゲリスFa223が銃撃しています。

 

 敵が沈黙したのを見計らって、第一大隊が降下、ほとんど抵抗なく占領していったのです。


 これで街道が通れるようになり、クル王国の副都パータリプトラは陥落、クル王国は無条件降伏となったのです。

 

 その後婦人陸上戦闘団は快進撃、アールヴヘイムンの内乱は終結、戦闘団は凱旋したわけです。


 その後、アニラはスジャータ執政官に呼ばれました。

「ハウスキーパーがお呼びである、義勇艦隊の『ひかわまる』に出頭せよ」


 アニラは現役武官のまま側女待遇格子となりました。

 ただアニラはちょっとばかり不満ではありました。

 婦人海上戦闘団のミーナ司令官が側女のうえ、さらにビバーシャ艦長も格子、陸上戦闘団は自分一人……


 なんとか、陸上戦闘団からもあと一人や二人……

 考えた末に、選りすぐりの美人をそろえ、『儀仗隊』を創設したのです。 


 ヴィーナスさんには受けたようですよ……

 この『儀仗隊』、ハイステップ・トロットで行進したのですからね……

 隊員はそのまま女官としたようです。


「このままいけば、『儀仗隊』からお手付きも夢ではない!」

 アニラの夢となっているようです。

 

 FIN

 

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