星に願いを。

七瀬モカᕱ⑅ᕱ

たくさんの幸せを

 今日は、たくさん雨が降った。雨が降った日は私が仕事をする日だ。


 なんの仕事かって?


「ミル、仕事の時間だよ。」


 仕事の相棒のルナに呼ばれて、読んでいた本を閉じる。


「待ってて、すぐ行くから。」

 私の仕事は、星を作ること。この場所は、人間の住む世界で言うところの【空の上】なんだ。


「今回はなぜ星を作らなきゃならないの?」

 私はルナに質問する。


「今日はいつもより悲しい出来事が多かったみたい。理由は分からないけど、下の世界で人間がたくさん涙を流してた。」


「また見に行ったの?私には散々下には降りるなって言うくせに。」


「下に降りるのは、すごく力を使うんだよ?星を作るのはミルにしかできないんだから。」


 ルナと言い合いをしながら、星を作る準備を始める。

 今日は、どんな辛いことが下の世界の人達を襲ったんだろう.......。住む場所の違う人同士の喧嘩....?それとも、地震とか台風とか.....自分たちではどうしようもできないこと?

 だけどどんな理由にせよ、私には星を作ることしかできない。

 星を作って、空を見上げた人達のことを.....少しでも元気づけるのが仕事。


 ・・・だけど

 たけど本当は、悲しみの中にいる人の肩を優しく包み込んで......そっと支えてあげたい。

 でも何度願ったって、それはできないから......。私は作る星たちに、その願いを託す。


「さぁ、始めるよ。」


「あぁ、とびっきり綺麗なのをね。」


「うん。」


 どうか、どうか.......この空を見上げる人達みんなに.....今度は、幸せが雨のように降り注ぎますように。

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星に願いを。 七瀬モカᕱ⑅ᕱ @CloveR072

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