お義母さん

 彼のお母さんは私の理想のお母さんに近い。お料理も優しく教えてくれるし、私がきつい時には作って持ってきてくれたりもする。彼の好物はもちろん、私が義母の卵焼き、おはぎ、大根の甘酢漬けが好きと言ったことがあるので、それをよく作ってくれる。いつも色んなものを頂くばかりで申し訳ないと思っている。感謝だ。

 おしゃべりもよくする。電話では一時間ほど。会えばそれ以上におしゃべり。義母とは会話のキャッチボールがちゃんとできるから凄く嬉しい。私の話を真剣に聞いてくれるし、それに対して真剣に考えて答えてくれる。当たり前のことかもしれないけれど、母となかなかできない私はこの義母との会話にとても癒される。

 彼の話もよくする。

「あの子は一番身近な人は後回しやもんね。花香さんには辛い思いさせとるやろ? あの子のそばにいてくれてありがとうね」

 彼は義両親の理解の範疇を超えてる人らしく、(確かに彼は普通の人には理解できない面がかなりある)義母は時々それに戸惑って私を労ったり、彼の心や考えを尋ねてきたりする。というのも彼はほとんど自分の両親と連絡を取らない。私任せなのだ。私はある意味橋渡しになっているかもしれない。

 そして、義母のいう「後回し」。これは確かに彼にあるところ。まず遠い人から気遣うのが彼。彼の甘えでもあるんだと思う。私なら理解してくれると。それでも二人の時はちゃんと私に優しいから、私は彼が私のことを愛してるのだとはわかっている。だから後回しにされても今は平気だ。付き合ってる時はそれが理解できなくて辛かったけれど。

 普通のお姑さんとの関係は分からない。でも、義母は私にとってお母さん。義母も、息子を大切に思うとともに、私のこともしっかり考えてくれる。彼の愚痴を言い始めるのはなんと義母の方からなのだ。たぶん私にも「あの子の愚痴を言っていいのよ」という義母の気遣い。私にとって義母はとてもいい刺激と癒しをくれる方。もちろん義父も不器用な優しさをかけてくれる。私はありがたいなと思う。そして、これだけしてもらってるのだから、もう少し元気になって、介護で恩返しができるようになりたいと思う。今は私の方がお世話してもらってるから。

 結婚するって不思議。家族が二倍になる。最近では旧姓で呼ばれてもピンとこない。すっかり彼の家族になってるんだなあとそんな時思う。いや、もちろん自分の両親も大切。でも同じぐらい彼の両親も大切なのだ。


2020.11.28

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