スニーカー
義父の誕生日祝いに鰻を食べに行った時のこと。
早く着いた私と彼はアーケードの中をぶらぶら歩いていた。店がポツンポツンとしか開いていない寂しいアーケード。
私は靴屋の前で止まった。
半月板を痛めてから、スニーカーしか履けなくなっている私。今履いているのがくたびれてきていたので、ちょっと覗いてみようというくらいの感覚だった。
ところが暇を持て余していた店員がやってきて、あれこれ靴を出してきた。
その中に履きやすくて軽いスニーカーがあった。私の足は25センチと大きくて、いつもはネットで購入していて、購入後履いてみて残念なものもあった。
実際履いてみて、まあまあだなと思うものがあったことに、私は買うかどうか迷って彼の方を見た。彼はいつものように自分で判断しなさい、という目をしていた。
私は結局そのままにスニーカーを買った。少し安くしてもらって4500円だった。
ところがこの話には続きがある。
ネットでならいくらで買えたのかなと、よせばいいのに検索してしまったのだ。そして私は2900円で売っているのを見つけてしまった。
「あーあ。損しちゃった」
私が彼に言うと、彼は言った。
「花香がそのスニーカーでたくさん歩くのなら、損なんかじゃないよ」
彼の考えはいつも達観していると思う。
でも、こんな風に言える彼は凄いと思う。
そうだね。ダイエットしなきゃだもんね。頑張って歩いて、買ってよかったと思うようにするよ。
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