新しいテレビ


4Kのテレビが欲しいとずっと言っていた彼。

私は「今のテレビが壊れてから」と頑なに拒否していました。

そこに義両親がうちのテレビが欲しいとのこと。彼はテレビが買い替えられると大喜び。

私もそこは仕方ない、と買い換える気にはなったのだけれど。

彼は大きなサイズのが欲しいと言い張り、私は置くスペースに収まるほどの彼の望みのよりワンサイズ小さなのが欲しいと言い張り。

決まらないままに、

「じゃあ、実物見て考えよう」

と電気屋さんに。

電気屋さんで実物を見ても結局意見が変わらなかった私たち。店員さんが苦笑いする中でちょっとした言い合いに。

結局、じゃんけんで決めることになり、店員さんが笑いまくる中じゃんけん勝負。

勝敗は……。

私が勝ちました。

やった!と思ったのもつかの間。


テレビを積んでの帰り道。

大きなテレビでゲームするのを楽しみにしていた彼は一言。

「俺の趣味って何だろう」

その言葉にグサリ。いつもワガママ言わない彼の珍しいワガママを聞けなかった自分。私、悪妻かな。

「じゃ、じゃあ、交換しに行く?」

耐えられなくなり、言うと、

「もういいよ。じゃんけんに負けたし」

と彼はため息。

私は自分のポリシーで選んだとは言え、彼のそんな姿を見るとなんだか胸が痛んで、これで良かったのだろうかと自問自答。

お風呂の湯に浸かりながら20分、ため息をつき、自分の度量の小ささにダメだなあと思ったのでした。

それでもやっぱり狭いうちのアパートには今回買ったサイズの方がぴったりだと思ってしまうんです。


ごめんね。許してね。


久々に二人とも折れないという出来事だったのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る