おやすみなさい

その日、彼は酷く疲れていて、仕事は残っているけれど帰ると電話があった。


私は彼と入れ違いでオルガンを教会に弾きに行く。

ミサの後、聖歌の練習の伴奏までして帰ると21時を過ぎていた。


彼は用意していた夕飯を食べてくれたようだ。

私はシンクに置かれてるだろう食べ終わった食器を洗おうとする。


「あ!」


彼は後片付けをしてくれていた。


疲れているのに。そう思うと胸がいっぱいになって、すでにベッドで寝ている彼の頬に口付けしたくなる。でも起こしちゃ悪いので我慢我慢。


寝支度をして、そろりとベッドに入ると、温かかった。

規則正しい彼の寝息に安堵する。

私は彼の背中に自分の背中をくっつけて、こっそり笑む。背中に彼の体温を感じると、今日の疲れが和らいでいく。

おやすみなさい。

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