第十六話『終末の堕天使』

 ――ソレは、正しく終末を告げる者であった。


 巨大な体躯を誇り、見る者を圧倒する。

 その巨大さに見合った黒き翼を持った怪物。


 そう、三対六枚の翼を背中からはやしているのだ。

 そして、召喚されたモンスターの名をゴールドが告げた。

 

 「終末の堕天使ラグナロック・フォーリンエンジェル

 

 「ナ、んだ、とぉ?」

 その召喚された堕天使を見て。


 アマリリスは戦慄を隠し切れずに。

 か細くなった言葉を漏らしてしまう。


 それ程に召喚された堕天使の格は桁外れであった。


 自身の竜形態と同等の100メートルを超える体躯。

 顔は黄金の仮面を付け、表情は判別できない不気味さ。

 体に巻き付いた聖なる黄金の鎖は、堕天使本体の邪悪さと相まって、見ているものの不安を駆り立てる。


 その黒い肉体も金属の様な鋭い硬さを見る者に与える。

 そして背中から生えている黒き三対六枚の翼が、この堕天使の本質を露わにしている。


 見ただけでわかる力の塊。

 アマリリスは、それを正確に感じ取ってしまった為に戦慄したのだ。


 「バ、かな。戦力値1000、完全戦力値だと? 召喚モンスターが、我々と同等の力を持つ? そんな事が、あり得ていいのか?」


 彼女の言う通り『終末の堕天使ラグナロック・フォーリンエンジェル』のレベルは、1000。カンストレベルだ。

 

 「あり得ていい。これが私の力だ」


 戦慄したアマリリスに当然の様に返答するゴールド。

 これだけの問答でも両者の隔絶した差を感じさせた。


 例えレベルが同じでも埋められない差が両者には有るのだ。

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