1-13
切り裂かれた岩盤の下は巨大な地下空間になっていた。イクスの発見したその場所に何が隠されているのか、答えは先に進むことでしか導き出すことはできない。彼らはまさに、この星の謎、隠された歴史を掘り起こそうとしているのかもしれなかった。
その空間は巨大な通路になっており、地下要塞とでもいうような体裁をとっていた。シャイニングは緑色の明かりの灯された通路を道なりに進んでいく。
「この星の古代文明というやつか?電源が作動している所を見ると、この施設は何者かによって動かされている可能性が高い。僕を捕らえようとした機械たちとも関連があるだろう。中枢を目指すしかないようだ。」
と、そこで施設の防衛システムが動き出し、突如としてシャイニングに攻撃をし始めた。さらに施設のどこか別の場所では異物を排除するためのマシーンが目覚め、動き出す。
「ワタシハ、ZX248。シンニュウシャヲ、ハイジョスル。」
施設の防衛のために目覚めた特殊兵器は、己に課せられた役割を果たすため長い眠りから目を覚ますのであった。
「ワタシノ、ニンムハ、シンニュウシャノ、ハイジョ。」
動き出す要塞のシステムを他所に、シャイニングは行く手を阻む防衛設備を突破しながら、要塞の中枢を目指していた。しかしそんなシャイニングの前に突如として赤い閃光が走る。
「来たか、予想よりも早いな。」
「抜け駆けなんて許してたまるか!私との決着はどうした!」
2機は戦闘に入り、この要塞の防衛システムは、インフェルノとシャイニングの激しい戦闘に巻き込まれる形で次々と破壊されていく。2機ともに、高速で移動しながら互いに攻撃の手を緩めることなく、要塞内を中枢へ向かって進んでいった。防衛システムは2人の眼中になく、互いに先を越されないためにもあらゆる手段を講じてデッドヒートを繰り広げた。
猛烈な戦闘を繰り広げながら中枢を目指していた2人の前に、突如としてそのマシーンは現れた。撃ち放たれた大出力のエネルギービームは2人に警戒心を抱かせる。
「何だ!」
「今のエネルギービームは出力が大きい。その辺の兵器とは違う?」
2人は一瞬、戦いを止めてビームの放たれた方向に目をやった。そこには右手に高出力のエネルギーライフルを持ち、もう片方の手には近接戦闘用のブレードを備え付けた、黒色のボディを持った人型の兵器が戦闘態勢をとっていた。
「モクヒョウヲ、ホソク。セントウコウドウヲ、カイシスル。」
スラスターを噴かせ、高速で接近してきたその機体はインフェルノに切りかかった。マリーはそれを自分のブレードで受け止めると、鍔迫り合いのような形となった。人型兵器のブレードは高速で振動しており、激しい火花が辺りに巻き散っていた。その間、イクスは先を急ごうとしたが、黒い機体はシャイニングにビームを浴びせ、弾幕を張った。
「君がお宝かい?他のやつらとは違うらしいが。」ブレードをかみ合わせながらマリーは、黒い機体について思案した。「怪しいな、君は。捕獲させてもらう。」
インフェルノは黒い機体のブレードを弾き飛ばすと、その首根っこを掴んだ。インフェルノの指は黒い機体の首にめり込み、そのまま制御を乗っ取った。インフェルノに制御を奪われた黒い機体のAIはマリーの言いなりとなる。その間、シャイニングを駆るイクスは先を急ぐ決断をしていた。
「ふん、行かせておくさ。こいつから情報を抜き取るのが先でもいいだろう。これはこの要塞の管理システムから送られた刺客に違いない。こいつを調べればこの星の全貌が見えてくるはずだ。」
語気を強めたマリーの精神に反応して、敵の神経回路を乗っ取ったインフェルノは、黒い機体のAIから情報を吸い出そうとした。
「さあ、お前は何者だ!この星で何をしている!」
「ワタシハ、ZX248。コノヨウサイノシュゴ。シンニュウシャノハイジョ…。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます