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機体の各所に取り付けられたブースターから漏れ出る青く透き通った光と共に、シャイニングは静かな駆動音をたてながら砂漠へと降り立った。イクスが目標としていた施設は砂や岩石に覆われており、視認することは難しい。
「解析したところ、ここに巨大な縦穴があるようだ。どこかにゲートの鍵はないだろうか。」
シャイニングの索敵システムは周囲の構造物をスキャンし、ゲートの全体構造を割り出した。巨大なゲートの電源設備はまだ機能しており、シャイニングの遠隔操作を受け付けた。
砂漠の荒野に巨大な切れ目が出来たかと思うと、地響きと共に円形のゲートが開いた。それと共に、縦穴になっているゲートの中に大量の砂が流れ落ちた。砂漠に開いた巨大な、何らかの施設と思われる穴の中にシャイニングはゆっくりと舞い降りていった。
インフェルノはマリーの猪突猛進的な性格の一部を体現するかのように、勢いよく海面に突っ込んでいった。インフェルノに通信が入る。
「マリー、この先は何があるか分からない未知の領域だ。もしかしたら君の言う通りのロストテクノロジーが何らかの妨害を加えてくるかもしれない。そうなるとSOOと言え対抗できない可能性があるぞ。」
「手柄を得るときなんて大抵そんなものさ。もし私たちの星の謎を解く手掛かりに出会えるとしたら楽しみでならないじゃないか。」勢いよく海底へ進みながら、マリーは言葉を返した。
海底に沈んだそれは何らかの人工物であることは確かであったが、海底に沈み、堆積物に覆われ、全貌を把握するには視認するだけでは不十分であった。
「これは…何だ?ここにマザーコンピュータが?」
怪しげに開いた横穴から、インフェルノは施設の内部へと入っていった。
「マリー、何かあったか?」
「…狭い空間だけで何もない。一度構造を解析しなければならないみたいだな。この施設が生きているとも思えないが…謎が深まるよ。」
インフェルノの索敵システムは施設の全貌を明らかにした。
「この形は…船だ。これは朽ちた宇宙船だぞ。なんで私はこんなところに来たんだ?」
その時だった。朽ちた宇宙船めがけて、そこからか無数の魚雷が発射された。宇宙戦艦の中には燃料やミサイルなど、多量の爆発物が保管されていることが推測された。インフェルノのコックピット内にはアラートの警報が鳴り響く。
「はめられた!誘爆させて宇宙船ごと私を葬ろうって訳か!」
マリーは即座に魚雷群の前に出てバリアを展開させた。魚雷による攻撃は全てバリアの前に無効化された。
「目にもの見せてやる。動けぇ!!」
インフェルノは戦艦に手を触れるだけで、電子制御された戦艦のコントロールシステムを掌握した。戦艦の機能は完全には失われておらず、インフェルノの支配を受け動き出す。マリーは戦艦を敵の方へ向け突進するようコマンドした。海底から引っ張り出された巨体は、土埃をあげながら浮上し、魚雷の飛んできた方向へその身を転換した。朽ちた戦艦は、自らに残された最後のエネルギーを振りしぼるようにブースターを点火させ、敵のいる方向へ突進していった。
そして、魚雷を放った機械たちの群れに到達した時であった。インフェルノの放った強力な、エネルギーの収束されたビームが戦艦のエンジン部を貫いた。SOOの放つビームは水中であろうと威力の減衰することはなく、戦艦に到達していた。戦艦はゴオッという衝撃波と共に周囲の機械ごと爆発した。
「デコイだったか。機械にしてはやるじゃないか。」
「どうするんだ?マリー」ブルーノは通信を入れた。
「上だ。この星の人口衛星を支配下に置いて実際の居場所を割り出す。奴らは人口衛星を使って私たちを監視している可能性がある。」
宇宙を漂う人工衛星に謎を解く手掛かりがあると踏んだマリーは、海底とは真逆の、空の上の目標物を目掛けて飛び立った。
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