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その惑星にはすでに、第二統合政府から派遣されたSOOが到着していた。搭乗者の名前はAN=マリー。SOO102インフェルノを駆るカラーズの一人である。このインフェルノもまた、シャイニングと同様に新しく製造されたサーチャー・オブ・オリジンであった。
そして、搭乗者のマリーの立場もイクスと似通っていた。彼女たちは、新人パイロットと新造された機体の組み合わせとなっていた。
「任務といっても体裁だけさ。これから先は自分の意志で行動していくんだから、任務なんて固い言葉を使う必要ないと思うけどね。」大地に片膝をついて鎮座し、補給や調整を受けているインフェルノを見上げながらマリーは呟いた。
マリーはイクスとは違い、単機でこの惑星に来たのではなく、SOO整備用の宇宙船とその乗組員たちと共にこの惑星に降り立っていた。
「確かにSOOは完璧なマシーンです。ですがもしもの事態は起こりえます。必要なバックアップは受け取れるようにしておいた方が良いでしょう。そのためにも任務という形をとる必要はあるかと。」
ブルーノ・マスは船の乗組員の一人で、SOOの整備を担当していた。
「おもりは大変だな、ブルーノ。でもSOOには自己修復機能まで備わっているんだ。広大な宇宙に打ち勝つためには、たった一人でも目標を達成できる強い意志と手段さえあれば良いとは思わないか。」
勝気なマリーに対し、ブルーノはいつもお手上げという感じであった。船の乗組員は皆、第二統合政府の宇宙軍士官学校を卒業していた。今回の任務ではSOOの単独出撃も視野に入れられてはいたが、整備面での不安の払拭のほか、政府内の軍上層部の意向もあり、船が同行し複数名での作戦の実行となっていた。
「でもまだインフェルノはロールアウトしたばかりの新品ですから、微調整はした方が良いですよ。それに自己修復も専用のリキッドに浸しておいた方が再生が早いです。」女性通信士のエミ・リンは、言った。
「分かっているよ。自分がまだ新米だってことぐらい。今はまだ政府の意向に従うだけさ。しっかりと目標が見定まるまではね。」
この、第二統合政府のマリーはイクス・ウィルとは対照的な性格をしていた。あまり感情を表に出さないイクスに比べ、マリーは直情的にものを言った。共通点は、二人とも統合政府に所属する教育機関を卒業したエリートだという事であった。
SOOに搭乗するものは、志願する者もいればスカウトされる者もいる。皆ある種のエリートや、何かしらの特異性を持った者であることは確かだが、選任方法はばらばらであった。
因みに、マリーは赤いロングのストレートヘアーをしており、目の色もまた髪の色と同じ赤色が特徴的で、やや鋭い目つきをしていた。透き通った深紅の色をしたインフェルノと共に、赤色は彼女のパーソナルカラーであるかのようだった。
「まさかあなた方のような存在に頼ることになろうとは。SOOと言いましたか。このような他に類するもののない機械がこの世に存在するとは、はっきりいって驚きを隠せません。」
その惑星の争いの片側に協力を申し出たマリーたちは、惑星の人間の用意した軍事施設に待機している。マリーたちと交渉するための代表として選ばれた人間は、軍部の人間であるらしかった。頭に角のような突起物があり、肌は灰色がかっている。
「最早この星の現状は末期的です。人々は戦いに明け暮れ、戦闘マシーンは増殖を続ける一方で、大地は汚染され人の住める地域は段々と失われつつあります。一刻も早くこの戦いに終止符を打たなければならないのです。我々があなた方のような人間に助けを求めたのは、数世紀続くこの戦いに終わりが見えないからなのです。」事態は急を要するといった具合に代表者は述べた。「あなた様のお力があれば、無事戦いを終わらせることが出来るでしょう。」
「終わらせてやるさ。邪魔さえ入らなければね。まあ、要は傭兵扱いってわけだ。でもあんたらの指図は受けないし、こっちは好きにやらせてもらうよ。」マリーは強気な態度を見せた。「しかし原因も分からず戦いを続けているなんて、何か秘密がありそうなものだけど。」
この時点でマリーはすでに惑星の戦乱のことなど眼中になく、何か別の目的のためにこの惑星に介入するつもりでいた。SOOは兵器としての側面を備えていたが、その機能は言い換えると、あらゆる極限状態での探索を可能とする機能とも言えた。
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