1-2

「星の名前はインセンリー…めちゃくちゃという意味か。なるほどね。」


 イクス・ウィルはこれから自分の向かう惑星の情報を頭の中で整理しながら呟いた。彼はSOOを駆る者であるカラーズと呼ばれる人間の一人だ。青い海のような色の髪と目の色をした青年は、まだ20代前半といったところであった。


 彼にとってはこれが初めての演習や訓練以外の、任務と呼ばれるものであった。任務といっても一度SOOに乗り込み宇宙へ飛び立てば、その無尽蔵のエネルギーにより、破壊や損傷といったことがなければ半永久的に活動することが出来る。SOOのエネルギーを特殊な光波により生体エネルギーに変換させることが可能なのだ。そのためSOOに搭乗している間は、老化といった現象も起こらないのであった。


 彼らカラーズに与えられた任務とは、その意志の導くままに広い宇宙を、次元を超えてまでひたすら飛び回ることなのである。時に政府の意向に背いてでも自らの意志を行動に移す。そういったものが、SOOを駆るカラーズの役割とすら言えるのであった。


 イクスは、いかにも優等生という雰囲気を漂わせる人間であった。性格は内向的、真面目で誠実であり、理知的な行動を心掛ける人間であった。


 彼に託されたSOOはシャイニングと名付けられていた。半透明のブルーの装甲に覆われた機体は空の青さを思わせた。SOOの持つ性能は驚異的である。地上においては重力を無視して飛び回り、無限に生み出されるエネルギーにより、使い方次第では星をも破壊することが出来ると言われていた。

 

 次元すら超えた多次元に広がる宇宙を探索するため、SOOにはあらゆる極限状態に対応できる機能が備えられていた。その様な事までして探し出すものが何なのか、答えを知るものはまだ存在していなかった。

 

 SOO101シャイニングは初のお披露目であり、惑星中から注目されていた。搭乗者であるイクスもまた注目の的であった。シャイニングについての情報は、ある程度オープンにされており、段階に応じて取得できる情報に制限はあったが、誰でも情報にアクセスできるようになっていた。これは各国々のSOOに対する不安を払拭するための、統合政府側の思慮であった。第一統合政府にとって101機目となるサーチャー・オブ・オリジンが今まさに飛び立たんとしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る