第14話おかっぱの対決 何者なの高橋僚

二年二組の教室。僚がとなりの席にいる、そう思っただけで顔がニヤけてしまう、でも僚の左隣の窓際の女子。中畑由美子が僚のことを気にしているのを見逃さない真壁真だった。


ー中畑由美子ー

なんだかなあ、たいしたイケメンいないクラスに入っちまったなあ、まあ、わたし一年のとき大分遊びすぎたからな。それで落としの由美とか男から男へと次々に変えていく女峰不二子て(峰不二子は初めから女なんだがそれはあまり突っ込まないで下さい、話しを続けます)言われてるしな。それでもクラス内を観察してたらさ、となりの男子て公園でミーちゃんを助けてくれた高橋僚じゃない、わたしの情報じゃ、その向こうのおかっぱ委員長(真壁真は例のごとくクラス委員長に選ばれていた)と僚て男子の後ろにいる青井留美子。

二人が高橋僚をガードしているて聞いたけど

わたしの趣味じゃないな。わたしの感じじゃペアルックで公園にいたけどまだ付き合ってないな、少しヒマだから揺さぶってみようか、悪い子だよねわたして、ミーちゃん、あなたを助けてくれたのに。次は国語だからベタな展開でやってみますか。

そして休憩時間、「高橋くん、次の国語の授業なんだけど」上目遣いで僚に話しかける由美子。「何、中畑さん」低い声で答える僚、へえ声はいい感じ。「国語の教科書忘れてきたの、一緒に見せてくれない」わたしの上目遣いで嫌と言う男子はいなかったんだから。

「それなら私のを使って下さい」あら、おかっぱ委員長が即答してきたよ。「えー、でも真壁さんに悪いし」「いえ、委員長ですからこれぐらいのことはして当然です」さっと国語の教科書を差しだす真。「うーん、やっぱり委員長に悪いしさ、高橋くん見せてくれない」上目遣いを続ける由美子、さあ、勝利はわたしのものよ、高橋くん動揺してるわ。

「じゃ、僕の使ってよ」と教科書を由美子に渡す、「真、悪いけど教科書見せてもらうよ」。う、スカされた、わたしが、わたしの上目遣いは一級品よ。そんな由美子の思いをよそにさっさと机を高橋僚にに寄せていく真。真は一瞬後ろの留美子を見やる、留美子は親指を立て真壁真にニヤリとした。

由美子がチラリとこちらを見たなと感じた留美子は知らん振りをして教科書をドンと机の上に置く。「それじゃ、高橋くん悪いけど教科書かりるわね」と笑顔を見せる由美子だが目は笑っていなかった。


ふむ、おかっぱ委員長と青井留美子は共同戦線を張ってるのね、しかし高橋僚、あなたは何者、わたしの上目遣いをあっさりとスカすなんて、まあ、二日後に実力テストがあるからそれが過ぎたら高橋僚、しばらくターゲットにしてヒマつぶしさせてもらうわ。負けず嫌いな中畑由美子であった。


そして、実力テストの日がやってきた。

プリントが配られ教室内はシャーペンを走らせる微かな音だけがする。

(なんだ、これぐらいの問題か、とりあえず成績だけは上げときゃなきゃ一人暮らしさせてもらえないもんな、こんな問い楽勝だわ)と気が緩んだ由美子。

「プー」屁である、静かな教室内に豊かな放屁の音が響いた。

(しまった。中畑由美子、一生の不覚。わたしのキャラが崩れていく、この事態を収集するには後ろの男子には悪いけど変わり身になってもらうわ、なにおならなんかするのよと言うしかない、わたしのキャラは絶対崩してはいけない。

あとでごめんね、ありがとうて涙目で言っとけばネット小説にテスト中おならをした美少女を助けたらなつかれてとかいうラブコメ書いてPV稼いでよらこぶわ)

時間にして0、3秒で由美子の脳内はこの問題を解決した。

「すいません、緊張しちゃってやっちゃいました」ガタンと椅子を引いて立ち上がり謝罪する男子。そうそう、わかってるじゃない後ろの男子くんあとでご褒美あげるからねて

えー高橋くんなんで謝ってんのよ!

クラス内は爆笑だ。「くっさ」「まど開けろよ」「テスト中におならなんて信じられないんですけど」男子、女子は言いたい放題だ。

「はい、みんな、テスト中ですよ。でもの腫れものところ構わずよ、高橋くん座って」若い担任の女性先生も笑いながら皆に注意した。クスクス笑いが消えるまでしばらくの時間が必要だった。

高橋くんは何くわない顔をしてシャーペンを走らせる。

横目で高橋くんをみつめながら、頭の中を整理しようと勤めていた、テストどころではない、何、何、なんで助けてくれるのよ。

ミーちゃんを助けてくれ、わたしを助け。

何者なの高橋僚、笑えないじゃない、由美子。

教室内で笑わ無かった女子が二人、シャーペンを走らせる。

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