第7話峰山雪

「こんなんでいいのかなあ」留美子は不服そうに優香里に言う。優香里は発育がよく姉、留美子と背丈、体型もほとんど同じだ。中三になりかけなのに胸の大きさもだ。服もほとんど同じサイズ。

「だって自転車の練習でしょ、それにその僚て人の話し聞くと、いかにも女の子というより活発さを出したほうがいいのよ、なによりお姉ちゃんらしいと思うけど」いや、顔が笑ってるんですけど。お姉ちゃん弄りしてない。

青のポロシャツ、Gジャン、オフホワイトのジーンズ。あまりにも女の子らしさが出てないんですけどと言い返そうとしたら続けて。

「短めのスカートなんか選んだら自転車転倒したときパンツ丸見えよ、まあ、いつものお姉ちゃんはテニススコート姿でパンツ出して走り廻ってるけどね」「あれはアンダースコートで最近はスパッツにしてるから」「私にしたら同じに見えるんですけど」優香里は真顔で顔近づけてくる、少しニヤけてもいる。

優香里の言うことももっともだスカートは辞めておこう、少し残念だと思う気持ち半分な留美子だった。ていうか不安は拭えない、初めてのデートだ、オシャレしたかったよー。


翌日、「ねえやっぱりこの服装で」と不安げに言う留美子、「大丈夫大丈夫」としか言わない優香里。「あら、やだもう9時まわってる」留美子の心臓はバクバクし始めた、自分の家の地図は僚に渡してる、自転車の乗り方を教えてもらってその勢いでお昼はモックバーガー、午後からも練習して後は公園のベンチで春休みまえ、元気無さそうだったのはなんだったのかソフトにそうソフトに聞きだす。

一番の目的はそれなんだ、頑張れ私。


その時スマホが鳴った、あわてて取り出すとすぐ切れてしまった真からだ、何一緒に連れてけってか、だが今日がデートだとはまだ伝えてない、首をふりスマホを見直すと。LINEが入ってる真からだ。すぐ開けるてみると

「大変です大変です」なにが大変なんじゃこっちも大変だと送りかえすと「僚が女の子と一緒に電車に乗ってます」とすぐ真からの返信。


うう、大変ですう。真壁真は靴を揃え座席の前に置き自分は座席の上で窓側に向かい正座していたのだ、いつの時代の小学生やねん、

真は映画「鬼滅の出刃包丁」をみようと電車に乗り込んだ、車両の端に僚を見掛け話しかけようとしたがセーラー服をきた女子と一緒だった。あわてて真は背を向け考えついたのが今の姿だ。よけいに目立つやろ。


横目に僚を観察するがセーラー服と楽しそうに話し、こちらには気がつかないみたいだ。

そしてあわてて留美子に連絡したのだった。


「何」意味がわからない。だがすぐに留美子の頭はフル回転した。

僚には妹が居た。

僚の後輩が南山高校に今年入学して通学方をたまたま教えることになった。

僚は女子に優しいから何かの理由で一緒にたまたまいるだけ。

そうだ、一番ありそうな事だ、僚なら。

頭はフル回転しすぎ真っ白になった。

ピロン、スマホにLINEのマークが、恐る恐る開く。「南山駅で一緒におりました、尾行を続けます、おかっぱ」

「今、商店街にはいりました」おかっぱの連絡は続く。

それって家へ向かってるじゃん。


ふうふう、と留美子は息を整えた。留美子は決心したのだ、相手が誰であろうとも青井留美子は負けない、頑張れ留美子。


チャイムが鳴る、留美子は「はーい」平常心な声でドアを開けると、高橋僚が立っていた。青いポロシャツ、Gジャン、オフホワイトのジーンズ姿で。

ひぇー来たーーー被ったー服が完全に被ってるー妹よ、よくやった。少しのあいだ幸福感に浸るが僚の後ろからひょこりとセーラー服が出てきた。

「おはようございます、峰山雪です、青井留美子先輩」

風が吹き峰山雪の腰まであった長い髪を真横に吹き流した。

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