第6話留美子のあの手

とりあえず話しは第一話にもどります。

放課後、教室の掃除を真と僚、留美子でやり終えふっとため息をもらし「まったくなんでみんな帰っちゃうのよ」留美子。

「それでも真と俺に付き合ってくれてありがとう」「二年生になっても同じクラスだといいな」「そうだね、真と留美子といるの楽しいからな」その言葉に頬をそめる真

よしよし、良い感じだ、二学期と三学期頑張ったかいがあるわと留美子は思うと同時に今がチャンスと「あのさ」「なに留美子」「春休みに一日付き合ってよ」顔いろが変わる真、留美子を見やる。

「自転車さ、恥ずかしいけどまだ乗れないんだわ、教えて欲しいんだ」少し考えてから「うん、アルバイトの休みに教える、よく掃除当番手伝ってくれたからね、休みに連絡する」

「ありがとう、助かるわ」となりで真がジト目している。

「俺、用事があるから今日はさきに帰るよ、あと、真にも一年間、学級委員長頑張ったから何かしなきゃな」と軽く真の頭に手を置く。ぎゃふんとした顔で明るくなる真、わかりやすい子だ。


「留美子さんの手ってこの事だったのね」と

留美子に詰めよる真。「うん、まあ情報収集だ」「今回は一日だけですからね」「今回は」「次、こんな合う日を設定したときは私も呼ぶということですよ」目尻が上がっている真。「一年間頑張ったご褒美てなんだろうね、おかっぱ」おかっぱと言われても目尻を下げ「うふふ、何でしょうね」


春休みに入り数日たった。休みまえの日、真は花柄のハンカチを留美子に見せびらかして、「僚からの初めてのブレゼント」と自慢気に見せびらかしていた。

まあ、自分には一日デートの約束があるからとちら見でハンカチをみたが高そうな値はしていたと思った。

夜テレビを見ているとスマホが鳴る、僚からだ。あわてて部屋に入りスマホを耳にあてる「明日さ、急だけど休み取れたんだ」「明日!」「うん、急だけど自転車の練習手伝うよ、時間大丈夫?」

来たーーー自転車来たーーーこころのなかで叫ぶ。「うん、大丈夫大丈夫、時間は朝の10時ね」

うぐぅ、明日とは急だがそんなことは言ってられない留美子。服だ服装だ何着ようかとクローゼットを開ける。「お姉ちゃん」妹の優香里が入ってきた、「何、お姉ちゃん急がしいんですけど」「デートですか?」ぐっ

感のいい妹だ、顔がにやついている。「だってお姉ちゃんの好きな番組の途中に部屋へ行っちゃったもん」ショートボブの可愛い顔、目尻を下げ姉に近づけてくる。

いかんいかん、妹を僚に合わせては、ましてや明日ついてくるなんてこと言い出しかねない。何しろ自転車練習が目的の公園デートだ。


「大丈夫よ、私お姉ちゃんのこと応援したいのよ」顔が笑ってるんですけど。

「自転車デビューか」と考えこむ妹、優香里。二つ年下でこの春から中三になる、少しませていて姉の恋路をあれこれと聞いてくる、僚のことをうっかり話したばかりに進展を根掘り葉掘り聞き、姉の恋の疎さにじれったさを感じていた。こっちはこっちでガード固めるのに必至だったのだが。

「とりあえず、私の服きていきなよ」と妹の部屋へ連れて行かれた留美子だった。

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