第5話留美子とおかっぱ

「ええーまいにち壁ドンしてもらって電車通学してる!」昼休みの校舎の屋上に通じる踊り場である、留美子は真から僚とどういう関係なのか知りたくここへ真を呼び出したのだ

ペタンとその場で女の子座りする留美子だ。

屋上へ出るための大きめの戸を背にして指をお腹のあたりで絡ませおかっぱ頭が可愛い委員長は続ける。「僚は女の子を守る人なの」

少し勝ち誇った目で留美子を見つめる。


うぐぅ、女の子をまもる男子。私が好きになった中尾裕介と大違いだ、顔はイケメンじゃない、見つきも悪いけどよくその瞳の奥を見つめると何かアスリートのような輝きをもっている、ゴールに向かってひたすら走る人が持つ瞳、それがこの何日間か真と僚を挟んで観察して感じたことだ。

留美子が僚に魅了されるのに時は掛からなかった。いや、今、真の女の子を守る人と言う言葉でサービスエースを取られた。

いやいや、そんな優良物件が自分のすぐ後ろにいたとは・・・

真が勝ち誇った見で私を見つめる。

いや、まてまて留美子は自分に言い聞かせた

そして真に言った。

「それで告白されてるの」

沈黙。おかっぱ頭を下げる真、絡めた指を何度も絡め直す。

「されてない・・・」

「自分からは」

「まだしてない・・・」

よかったよ留美子と自分に言う。ゆらゆらと立ち上がり真を見つめる。うぐ、可愛い。

おかっぱ頭が小さい身体をよけいに可愛くしている、美人という雰囲気より男子がよく言う守ってあげたい系だ、それに胸の大きさが微妙にひきたてている。

女子からも好かれそうな顔と体型だ。

性格も一歩控え目という雰囲気、なんとか気を取り直し「僚のこと、す、好きなんだ」

「うん、私、僚のこと大好き」と丸くてしっかりした瞳を輝かせ、可愛いくちびるがハッキリと動く。

「恥ずかしいけど私も僚に魅力を感じてる」

留美子が言うやいなや

「魅力を感じてるだけなのね」とおかっぱ頭は詰め寄ってくる。

「あ、いや、す、好きだ」と留美子も応戦体制に入る。

「嫌、僚は・・・」と今度は真がペタンと女の子座り。

そうか、おかっぱ頭はは内気なんだと理解する、内心ほっとする留美子。

「私いつかこんな日が来るのわかってた」

おかっぱ頭は床を見つめながら続ける。

「私みたいな子、守ってくれる人をさらっていく人が来るのを」

沈黙

「私の悪い癖だ、いつも人に譲る、いつもいつも、でも今回だけは諦めない、闘う」きりと頭を上げ留美子を睨みつけるおかっぱ頭。

瞳が潤んで光っている。

うわ、スイッチ入いちゃたよ、まあ入れたの私だけど・・・

「まけない、私も負けない」

「でも僚はわたしのこと、まことて名前呼びしてくれるもん」

「まてまて、おかっぱ、とりあえず休戦しておこう、僚を狙う女子がこれからも現れたらどうする」

「うっ」

「二人でまずは私たちという女子が僚のガードになり誰も狙わなくなってから勝負だ」

「うっ、わかった」素直なおかっぱ、多分恋愛に疎いみたいでよかったよと胸をなで降ろす留美子。

「とりあえず、情報を教えろ」

「誰のですか」

「僚のことだ」

「嫌です、自分で集めて下さい」

おかっぱ・・・

「僚も言ってたじゃないですか」

「ああ、頑張ってる人が好きてな」

最新の言葉は留美子の虚栄心からか力をこめて返事した。




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