ロマンティックなワルツ
指を故障し、先生との折り合いも悪くなり、私がピアノを辞めることになったのは間もなくだった。もう何かかもどうでもよい、そう思いゲームしかやらずに一日中過ごす日々、いわゆるニートというものになった。ピアノはたまには弾いていた、猫ふんじゃったやエリーゼのために等、習っていたころはそんなレベルの低いものを弾くなとさんざん怒られたピアノ曲たち。ふとそんな日々の中で、自分は何をしているのだろうと振り返ることが多くなった、それからしばらくして働いて大学に行こうと決心した。親のコネで入ったデパート事務をへて、履歴書を書き、応募して一件受かった、学校にもまた行きだした。家事をやってピアノを弾いて学校へ行って勉強する忙しい日を過ごすうちに私は気がおかしくなっていったのを長らく気づかなかった。そして授業中気分が悪くなり、トイレに駆け込んだ私に降りかかってきた発狂という地獄が待っていた。教科書に何が書いてあるのかわからない、質問者の意図がわからない。そんな状態になり必死で卒業し、働きながら大学に行くという私の目的は無謀で、私は昔から精神病だったのだと先生から聞かされた。発狂してもなお仕事は続けていて、君はギリギリだよと言われながら精神福祉手帳3級を受けることになった。手帳はバスが半額になったり美術館に無料で入れるようになるのだが就職活動をするのには邪魔なだけである。私は病気を隠して働くことにした。ほぼ無理矢理に、何かを忘れるように。
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