第57話 ルーシーさん
「よし! これで完成! あとはこれを冷やしておけばいいんだけど、氷とかもないしどうしよう」
ラズベリーを摘み終わった3人はその後何をしたかは知らないがいつの間にか帰宅し、たくさんのラズベリージュースの原液を完成させた。
「それなら任せて」
「わぁ。すごいすごい! そういえばヴィークは魔法たくさん使えるんだった!」
「そうだぞ。俺は魔法についてはかなりすごいところまで出来るんだから。ただ八重魔法までは使えないけど。本当にそんな高位の魔法ってあるのかな。神様の領域だ」
「私は魔法のことはよく分からないけど、ヴィークが私を守ってくれたことはちゃんと分かってるから」
その言葉が心から嬉しい。お礼なんて言われなくても問題はないけど、こうして言われると心がジーンとくる。
「俺もアインが俺を守ってくれてるって思ってるよ。1人じゃあ何もできなかったと思う」
「ってか四重魔法使っただけでも相当凄いのよ。本当なら王都トップの魔法師よ」
「まぁ俺にはそういうのは向いてないから。ほら、こうして今、ここにいるってことが大切なんだよ」
そんな話をしている途中だった。
「おーす! そろそろ準備した方が良いよね! 早くアインちゃんのから揚げ食べたいし」
この空気を読まずにやって来たのはルーシーだった。天然なのか、どうなのか。そんなのはどうでも良いが今はタイミングが悪い。
「ルーシーさんにから揚げはあげません。他の食べてください」
このまか思いっきりイチャつくチャンスに乱入した人物にはアインは容赦なかった。お世話になったルーシーであろうとなかなかにきついことをする。
「えぇ! アインちゃん私何かした? よく分からないけどごめんなさい。ごめんなさい。謝るのでから揚げ食べさせてください」
ルーシーはルーシーでアインに言われた瞬間の土下座。何がいけなかったのかなんて分かってないのに。
自分の威厳を失ってでもアイン特製のから揚げを食べたいらしい。ヴィークも分からないでもないなと思っていた。だって美味しいし。
「ル、ルーシーさん! そんなことしなくていいですから! から揚げも食べてもらって構いませんから! ごめんなさい。ちょっといろいろあってあんなこといっちゃいました」
アインもここまでルーシーがするとは思っていなかったのだろう。すぐに土下座をやめさせて誤った。
「そう? 食べてもいい?」
「もちろんです!」
「ありがとう! それならもう結構いい時間だからそろそろ外で準備した方がいいんじゃない?」
ラズベリージュースを開発したり、ラズベリーを摘み終わってから話し込んだりしていたうちにかなり時間が経過していたらしい。
「そうですね。そろそろ準備しときますか。から揚げ以外にも俺たちで作った料理あるんですよ。楽しみにしておいてください」
得意げに言うヴィークにルーシーも得意げに言った。
「私も作って来たんだから。美味しくてヴィークくんが私に惚れないか心配だよ」
「それはないですよ。すみませんルーシーさん」
速攻で振られてしまったルーシーだった。
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