第48話 村を探索

あの後アインの気の済むまで頭を撫でてなんとかアインはヴィークを許した。そして今はアインが心を込めて作った朝ご飯を食べ終わったところ。食器を洗い終えた3人は簡単に身支度を済ませ外へ。


ちなみに食器を洗うのは最初はアインとアリスが2人でやるとか言っていたけど、それは悪いよとヴィークが言ってそれでひと悶着あったというのは過去の話。最終的には2人が折れた。


「さて、じゃあ天気もいいし村を散策しよう。本当は畑の手伝いだったり、狩猟だったりを手伝わないといけないんだろうけど今日はいいだろ」


マンテ村にも、コルン村のように大まかに役割がある。それはどこでも変わらないらしい。ただ、だいたいそれは午前中に終わるので後は各々自由時間になる。王都のように働き詰めということにはならない。


畑で野菜を作っているけど、午後からは趣味の魚釣りをしたり、家族でゆっくりしたり筋トレする人もいる。それで村の運営ができているのだからすごい。もちろん、ヴィークたちが家を建てるって言えば午後からは家の建築を手伝ってくれるだろう。


「じゃあ、いこっか。まずは村長のハロルドさんにあいさつしとかないと」


「分かった。行こう。はい、お兄ちゃん」


「本当にこうしてるのが好きだな。はい」


「はいヴィークくん。私も」


「はいはい。離しちゃダメだよ」


手をしっかりと繋いで2人は村長のところへと向かっていった。




◆◆◆




「「「おはようございます」」」


朝から畑で野菜を収穫していた村長夫妻に挨拶をする。今は丁度トマトみたいなのを収穫していた。


「おはようヴィーク君、アインちゃん。アリスちゃん。もう村には慣れたかな? あぁ、まだ一晩しか経っていないからよく分からないか」


「そうよあなた。3人は来たばかりなんだから。それでみんなそろってどうしたの? なにかあった?」


収穫したばかりのトマトを2人に渡しながら副村長で村長の妻のカミーユがそう言ってくる。受け取ったトマトはみずみずしく、2人が知ってる王都で売ってあったトマトより大振りだった。


「いえ、ただ今日は村を散策したいなと。この村で何をするかはまだ決めてないんですけど、2人と家をどこに建てようかとか今日決めるつもりです」


「なるほど。なるほど。なら私が案内した方がいい? この村で誰も知らないイチャイチャスポット知ってるのよ」


「「ぜひともお願いします!」」


速攻でとびついたのはもちろんアインとアリスだ。カミーユと固く手を握り合い恋する乙女同盟が今ここに結成された。カミーユもまだ若い。旦那さんとの恋はまだまだ燃え盛っている。


「それじゃあ、あなたちょっとお願いね」


そっとカミーユとハロルドがハグをする。アツアツの夫婦だ。でも長い間寄り添ってきた貫禄もある。10歳くらいしかヴィークたちとは離れていないけど10年後にはヴィークたちもこんな感じになっているのだろうか。


「じゃあ案内するね。こっちよ」




そこからいろいろなところへ案内して貰った3人。川の畔だったり、丘のところだったりもちろんカミーユが言ったイチャイチャスポットも教えてもらった。ただ実行出来るかは別問題。


「ざっとこんな感じかしらね。どうだったかな?」


「すごいです……お兄ちゃんが言ってたみたいな最高なところですね!」


「こういう素晴らしいところを見ると王都なんて比じゃないわね」


「俺も前寄ったときはこんなにしっかり見ることが出来なかったので細かい場所まで知れたので良かったです」


ヴィークがあの時立ち寄ったときには大雑把にしか分からなかったけど、今回はしっかり見ることができた。


村長宅へ戻ったらお礼を言って自分たちの家に戻ることに。


「どうだった? 家建てたい場所とか決まった?」


「うん。やっぱりあそこだね。それにしてもカミーユさんたちすごい仲の良い夫婦だよね。私憧れるよ」


「そうだねでも私たちだって負けてないよ」


「ねえヴィークくん。。夕方になったらカミーユさんが教えてくれたところ行ってみよう?」


「あ、私も行ってみたいかも」

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