第46話 幸せ?

ルーシーの家から戻って来た3人はもう寝る準備を整えお喋りしていた。


「良かったよ私が作った唐揚げ最高って言ってもらえて」


「いやいや、アインの作ってくれた料理は全部美味しいぞ。心がこもってて。ただほんのちょっとくらい食べるの待っててくれてもよかったんじゃないかな? 言ってくれれば直ぐに上がったのに」


結局ヴィークは1人でご飯を食べた。横にはアインたちがいてくれたけどやはり少し寂しい。


そしてアインも少し謙遜してしまうところがあるけど、料理の腕はかなり高くもっと自信を持って欲しいとヴィークは思ってる。


「ほんとにエルさんには感謝だよ。たくさん教えて貰ったから」


「やっぱりアインの笑顔は最高だな。今の笑顔すごい俺は好きだ。アインのこういう笑顔が見れて本当に嬉しく思うよ」


「ふぇっ? そ、そんなこと急に言われちゃったら照れちゃうよ。私も……お兄ちゃんのこと大好きだよ」


「うん。ありがとうアイン」


「好き」の意味が2人の中で違うということはここでは置いておく。そしてもちろんこのやりとりの後はアリスの番だった。


「それでさ2人とも、家はどんな感じにしたい? さっき見た丘の上とか良いと思うんだけど」


アリスにも同じようなことをした後、話題は自分たちの家に関することに。


丘の上の家。なんて良い響きなんだろう。そんなに高い丘でもないしまさにベストな場所と言える。


「村長さんも好きなところに建てていいよってくれたんだ。村には結構平野があるからどこでもいいよって」


「そうなんだ。明日一度村をぐるっと回ってから決めたいな。いい?」


「私ももそうしたいな。よく、じっくり見て考えてから決めたいかも」


「もちろん。俺たち3人の家なんだから俺だけで決めないよ。俺とアイン、アリスが互いが納得した場所にしよう」


「うん! 私ね家はそんなに大きくなくていいかなって思ってるの。いつもお兄ちゃんと一緒に居たいから」


アインの思い描く新しい家は自分とヴィークが仲睦まじくいれるような、そんな家。


「それは良いかもね。一部屋でも良いくらい。そうしたら毎日同じ布団だね」


アリスは一人一人の部屋を作ったら一緒に寝るとか、一緒にいる接点が少し減ってしまうと考えた。


別にそこまで減るわけではないがそのちょっとすらも嫌なのだ。


「それで俺は暖炉が欲しい。そこで2人と温かいスープとか飲んでみたいな」


冬に温かいスープを飲みながら外に降る雪を見たり、時折談笑したり……意外にもロマンティックなことを考えるヴィークだった。


「こうしてお兄ちゃんとテントで過ごすのも好きだけど、やっぱり私たちの家って素敵だよね。こうして考えてるだけでも楽しい」


「確かにそうだね。アイン……今幸せ?」


ヴィークがそう問うた。自分は本当にアインを幸せにできているかこうして知っておきたいのだ。だって幸せにするって約束したんだから。


「私が幸せじゃないときなんてないよ。あの日私を連れてここまで連れてきてくれて。私はお兄ちゃん横にいるってだけで幸せなんだから。それだけじゃなくてこうやって楽しい生活まで送らせてもらえて。私、今最高に幸せだよ」


「ねぇお兄ちゃん。お兄ちゃんは今幸せ? 私もお兄ちゃんと約束したから。お兄ちゃんを幸せにするって」


「俺は幸せだぞ。俺もアインと居れて幸せじゃなかった日はもないよ。俺と一緒に居てくれてありがとう」


ありがとう。


この言葉にヴィークのすべての気持ちが籠っていた。それを感じたアインもありがとう。と返す。


「ヴィークくんアインちゃん……すっごく良い話の中悪いんだけど、これはどういう状況なのかな? もしかして2人って恋人とかなの?」


「いやっそういうのじゃなくてさ」


「じゃあその幸せにするとかってどういうこと?」


「これは……」


ジト目のアリスにグイグイ来られて事情をこと細かに説明させられたヴィーク。そして寝る時間はかなり遅くなったという。

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