第21話 お昼ご飯!
お昼近づいてきたのでヴィークたちが家に戻ってきた。
ヴィークたちの顔を見るにかなり充実した時間になったんだろうなとアインは思った。実際、2人が真面目にヴィークの話を聞いていたためテンポ良く出来た。
「おかえり、お兄ちゃん」
「うん、ただいま。って言ってもそんなに離れたところに行ってはいないけどね」
「それでもおかえりって言うのがあたりまえでしょ」
「それもそうだな」
ヴィークたちからすればそうやって言える、帰るべき家があるということがどれだけ幸せなことか。
「それにしてもすごい良い匂いがするな」
「そうでしょ! 私が作ったんだよ」
「おおそれはすごいな。修業一日足らずでここまでか」
「えへへ。お兄ちゃんに美味しい料理食べて欲しくて。ちょっと包丁で指切っちゃったけど」
ヴィークが確認するとアインの人差し指には包帯が巻いてあった。
「大丈夫なのか? いや、心配だから見せてみて」
「ちょっとお兄ちゃん恥ずかしいよ。ほら、そんな深い傷じゃないから」
横ではアインの気持ちを知っているエルとスカーレットが微笑ましく眺めていた。これはアリス危うしと思いながら。
「私もただいま〜」
とここでスカーレットに遅れてアリスもサムの家に戻って来たらしい。
「アリスおかえり……ってこの2、3時間で何があったの!?」
そこにあるアリスの姿はもうくたくたの仕事終わりの男性たちのようになっている。これにはヴィークもアインも驚いた。
「い、いや〜。世の中の女性たちはこんなことしてるんだって知ってさ。アインちゃんこんなこと出来るなんて。みくびってたかも」
「えー? そんなのじゃないよ。アリスちゃん大袈裟だよ」
アリスの発言がいまいちよく分からないアイン。もう慣れてしまったアインからしたらここまでなる理由がわからなかった。
「もうお腹空いた! さっきから良い匂いがすっごいしてるし早く食べよ!」
待ち切れないと言わんばかりにアリスは料理の並んだテーブルに直行する。残りのみんなも集まって食事を開始。
「どうかな? お兄ちゃん。お魚の煮つけ。美味しい?」
お昼ご飯はご飯に魚の煮付けにお味噌汁、すごく一般的なお昼ご飯だ。テーブルには修業したみんながついて食事を始めた。もちろんヴィークを真ん中にアインとアリスが両隣。
「いやぁ、朝だけでかなり変わったよ。今まで使っていた同じ魔法なのにまるで別物のようになったんだ。あれにはびっくりしたな」
ここでサムが午前中の成果をみんなに話した。すこし興奮気味に。
「そうそう。ユリンも少しだけ
この短期間でここまで変わるとはサム、ユリンのセンスが良いのか。それともヴィークの教え方が良かったのか。はたまたそのどちらともなのか。たぶんどちらともだろう。
「アインたちの方はどうだったんだ? 今は料理作るの頑張ったくらい?」
「えっ? あのっ、そのっえーと……うん! そうだよ! 私は午前中は料理をがんばりました!」
目をキョロキョロさせて何かを隠すようにアインは言った。そりゃ言えるわけがない。「エルとアインがヴィークを落とす作戦を考えていました」とか。
でも、嘘は言ってない。料理を作るのを頑張ったのも事実。ちょっと他のことは言わなかっただけ。そう。これは乙女の秘密。
「そっか。とりあえずアインが楽しそうにしてるんならいいんだ。アインはやっぱり笑顔が一番かわいいからな」
何気なく言ったヴィークの一言。それもそうだ。女の子の笑顔が一番かわいいのはの当たり前だ。ましてこんな可愛い義妹の笑顔なのだから。最高なことに異論は認めない。
しかし、その言葉がクリティカルヒットしたアインは顔を真っ赤にしてヴィークの方をポカポカ叩いていた。
そしていつもならここでツッコむはずのアリスは食べることに夢中で2人の話を聞いていなかった。
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